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歴史に学ぶ、グラフィックデザイン 9つのスタイル変遷

こんにちは!
アートディレクター/デザイナーのシクです!🦉

グラフィックデザインは日々進化を続ける、とてもクリエイティブな分野。
その最先端を走るデザイナーの多くは、単にイラレやMacなどのツールを熟知しているだけでなく、とても勉強熱心な一面を持っているんだよね。
電通に入社したクリエイターの新入社員は、業務とは別に、過去10年のカンヌで賞を獲ったCMをひたすら見て研究しないといけないんだとか。
要は、「故きを温ね新しきを知る」!
決して自分の感覚のみでクリエイトせず、歴史を知った上で今を考えるというベースを作っているってこと。
継続的に学びに時間を投資する能力は、優れたクリエイター/デザイナーであるための重要な要素であると僕は思うわけ。

ここで質問🦉
みんなはグラフィックデザインの歴史を学んだことはある?
きっと美大を卒業しているなら学んでいるはずだよね。

じゃあ、、
「アール・ヌーボー」って何?
「アール・デコ」って何のこと?
「アール・ヌーボー」と「アール・デコ」違いは?

答えられた人は優秀!


目まぐるしく変わるグラフィックデザインのトレンドだけど、歴史的に、デザインスタイルやトレンドは周期的に繰り返す側面があるんだ。
「流行りは繰り返す」なんて言うけど、まさにそのとおりで、古典的なアイデアに現代風のスパイスが加わってリバイバルしているってこと。

グラフィックデザインの歴史や変遷を知っていると、いつかどこかできっと役に立つはず。
というわけで、今回はグラフィックデザインスタイルの歴史を紹介するよ!

それではスタート!

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アール・ヌーボー/Art Nouveau

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アール・ヌーボーは、19世紀後半に西欧と米国で目立つようになり、1920年代までにピークに達した建築、装飾芸術、グラフィックデザインのスタイルだよ。

このスタイルの主な特徴は、大胆な輪郭と、フラットでありながら複雑な手描きのデザインと書体だね。
このデザインスタイルで描かれたキャラクターとフォルムは、自然界に見られるフォルムみたいな、流れるような曲線を持っている。
デザインスタイルは気まぐれでロマンチック、そんでもって非常にテクニカルって感じ。

アール・ヌーボーの特徴
・複雑で精密な描画
・大胆で太い輪郭
・自然体なフォルム
・ナチュラルな色調
・比較的女性がモチーフにされやすい


アール・デコ/Art Deco

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アール・デコは、第一次世界大戦の厳粛ムードに反発するように登場した、贅沢、富、洗練を象徴するデザイン、視覚芸術、建築の一形態のことだね。
アール・デコという名前は、1925年のパリジャンにちなんで付けられたんだって。
アール・デコの特徴は、大胆な曲線、強い垂直線、大文字のタイプ、豊かな対照的な色、ダイナミックなフォルム、エアブラシ、モーションライン、パターンと表面の幾何学的処理ってところかな。

当時のアール・デコは、高級ブランドやファッション関連、旅行代理店などの広告に利用される、人気のあるスタイルになったんだ。

アール・デコの特徴
・幾何学的形状
・水平垂直なライン
・テキストは大文字
・ハイコントラストなカラーリング
・フラットな描画


アール・ヌーボーとアール・デコ違いは?

冒頭に提示したこの問題。
超絶簡潔に言ってしまうと、、
→「アール・ヌーボー」=くねくね、しっとり
→「アール・デコ」=スッッッ!、シャキーン!

って感じかな!
わかりやすいでしょ!?


アメリカンキッチュ/American Kitsch

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アールデコの影響は1930年代以降も長く続き、新しいデザインスタイルの急増をもたらしたんだけど、そのスタイルの1つがアメリカンキッチュってやつ。
このデザインアプローチは、1940年代から1960年代にかけて、漫画のようなイラストスタイルで目立つようになったんだ。
グラフィックデザインのスタイルは、大胆な造形、コントラストの高い色の使用、手描きと色付きのイラスト、大胆な曲線が特徴だね。
アメリカンドリームを想起させるような雰囲気は特徴的で、「アメリカ」といえばこのスタイルを想像する人は多いはず。
当時の映画のポスターは、アメリカンキッチュスタイルで埋め尽くされていたんだとか。

アメリカンキッチュの特徴
・インパクトのあるレイアウトや構成
・漫画のようなイラスト画像
・大胆で鮮やかな色
・映画のワンシーンのようなポーズの人物



スイススタイル/Swiss International

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1940年代にスイスで生まれたスイススタイルのデザインは、国際タイポグラフィースタイルやインターナショナルスタイルとも呼ばれているね。
とても影響力のあるこのスタイルのデザインは、20世紀のデザインの進化の基盤となったと言っても過言じゃないよ。
客観性、シンプルさ、読みやすさを重視したこのデザインスタイルは、チューリッヒ芸術工芸学校とバーゼルデザイン学校のデザイナーによって始められたんだって。

サンセリフのタイポグラフィと並んで、グリッドと非対称レイアウトの使用は、グラフィックデザインに革新をもたらした要素の1つと言えるね。
タイポグラフィと写真画像の組み合わせも重要な特徴だけど、カラフルで幾何学的なブロックのイラストもよくみるね。

このスタイルでは、要素間にかなりのネガティブスペースが必要なほか、一貫性のある装飾やオブジェクトを配置するスペースも必要だったりする。

アールデコと同様に、この時代のポスターデザインは、スイス/インターナショナルデザインスタイルが独占するようになっていったんだ。

スイス/インターナショナルの特徴
・ネガティブスペースの使用
・マットなカラーリング
・シンプルさと清潔感
・サンセリフフォントが好まれる
・非対称なレイアウト


サイケデリック/Psychedelic

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サイケデリックなデザイン、アート、音楽は1960-70年代の代名詞だね。
当時のファッション、哲学、文学、文化のスタイルに影響を与えたし、その後10年を通してデザインカルチャーを支配したんだ。
その影響は今日まで及んでいるよ。

サイケデリックデザインは、当時のアメリカのドラッグカルチャーやミュージックシーンを色濃く反映してる。

1960年代から1970年代のバンドやコンサートのポスターって、このスタイルで溢れているんだよね。
チカチカと反発し合うする色、判読できない手描きの曲線のタイプ、抽象化された描画などを用いたサイケデリックスタイルなどなど。
特に手描きタイプと女性をモチーフにするグラフィックは、アール・ヌーボーに影響を受けていると言われているよ。

サイケデリックの特徴
・ドラッグカルチャーの影響
・強烈かつ不調和なカラーリング
・アール・ヌーボーの影響を受けたタイプと画像の使用
・手描き文字は読みにくくなっていることが多い
・抽象化されたデザイン要素


パンク/Punk

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1970年代当時の反体制的な風潮が、パンクデザインのあらゆる側面に浸透しているよ。
当時このパンクデザインは、多くのデザイナーやアーティストに衝撃を与えたんだ。
なぜかというと、パンクデザインの発端はデザイナーに起因したものじゃなく、バンドアーティストのような非デザイナーが作り上げたものだったから。
彼らは限られた手段(適当なマーカーやハサミ、カメラ、コピー機など)を利用して、好きなようにデザインしたんだって。

パンクデザインスタイルの特徴は、手書きや活版印刷の切り貼り(コラージュ)だね。
そこから転じて、デザイナーたちは不調和なタイプ要素を使用してテキストをコラージュしたり、大胆にセリフとサンセリフの書体を混ぜ合わせたりして、クラシックなパンクスタイルを実現したんだ。

パンクの特徴
・解像度が低い画像
・粗いマットスクリーン的装飾
・コラージュされた文字
・実写写真の使用
・ハイコントラストかつ大胆なカラーリング
・全体的にラフで質感がある


グランジ/Grunge

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グランジは、ニルヴァーナを筆頭とする90年代の音楽とサブカルチャーの動きを色濃く反映しているスタイルだね。
汚れたようなテクスチャや表現、暗い雰囲気のカラーリングなどが重要な要素だよ。

グランジの汚れたような表現は、それまでのグラフィックデザインでは好まれなかったんだ。
だから、デザイナーからの評価は賛否両論だったんだけど、これもパンクスタイル同様、デザイナーではなくカルチャーが生み出したスタイルならではと言えるね。

グランジスタイルはスケートボードなどのストリートカルチャー向け雑誌や広告、ロックやパンクバンドのポスターなどで多く利用されるようになっているよ。

グランジの特徴
・汚れたテクスチャと背景画像
・不規則な線と曲がった要素
・コーヒーをこぼしたような汚れた表現
・暗い雰囲気のカラーリング
・手描きのテキストやイラスト


ミニマル&フラット/Minimalist & Flat

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ミニマル&フラットなデザインスタイルは、まさに2021年現在主流のスタイル。
2010年代に人気になってきたんだ。
このスタイルの特徴は、単色または限定的な色の使用、最小限の陰影、太字の線画、グリッド順守、鮮明な写真画像、簡略化された線形イラスト、サンセリフ書体、といったところかな。
すっきりと読みやすい表現手法は、スイススタイルが現代に回帰したものと言えるかもしれないね。

ミニマル&フラットデザインは、とりわけ清潔感や高級感をブランドイメージとしている化粧品やファッションブランドなどの広告に多用されているよ。

ミニマル&フラットの特徴
・深度のない2次元的な描画
・彩度の低いカラートーン
・直線的な要素の多用
・ネガティブスペースの使用


3D/3-Dimensional

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技術が進歩し、あらゆる技術がより一般的に利用できるようになるにつれて、デザインの歴史も進化していくよ。
これまで一般には難しかった3D表現が、一般デザイナーにも比較的簡単に表現できるようになったことで、3Dスタイルの表現は、ここ最近急激に増えているね。

このスタイルは、特にゲーム、オンライン、デジタルブランドの間で人気だけど、最近はファッションブランド界隈でも用いられているよ。

3Dの特徴
・立体的な3次元描画
・さまざまな照明効果を使用
・カラーやトーンに決まりはない


以上、今回は9つのスタイル変遷を紹介してみた。
細かく見れば、もっともっといろんなスタイルやトレンドがこれまで登場してきたんだけど、その中でも代表的なものをピックアップしたよ。

こうした特徴的なグラフィックデザインスタイルは、名前を聞いたことはなくても、みんなどこかしらで見た覚えがあるはず。
デザインスタイルの歴史や特徴を学んで、意図的にそれらを作り出せるようになると、デザイナーとしての適応力が高まるし、今後のトレンドの移り変わりにも敏感になれるんじゃないかな。


---🦉---


という感じで今回はこれにておしまい!
ハッピーデザイニング!🦉

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