良い写真を撮る思考について
写真って技術も大事だけど、写真に対する考え方っていうのも写真を上達させる上ではものすごく重要なことです。
皆さんはカメラを買ってまず使い方を覚えて、次に様々な被写体に対する撮り方を覚えますよね?
でも写真表現には、F値が11じゃないとダメだとか、そういう決まりは1つもなくて、この写真がいいっていう基準が曖昧なんです。
もちろん構図だったり露出だったりそういう良し悪しはありますが、絶対に値じゃないダメ!っていうはありません。
そこで、いい写真とは何か?どうすればいいのか? っていうのを、考えや思考と言って点に着目して解説します。
思考が良ければカメラなんてオートでもある程度上手な写真が撮れると僕は思っています。
今回の記事の目次はこんな感じ
1 )「気力」「気迫」「体力」
2)技術
3)観察
4)写真の主題
こんな流れで書いていきます。
1つ目 「気力」「気迫」「体力」
よく心技体っていう言葉があります。
でも写真は技術より、気力、気迫が重要で、技術は二の次3の次なんです。
そのため心気体って言った方がいいかもしれません。
気力っていうのは、その活動に耐えうる精神力、気迫っていうのは立ち向かっていく強い精神力。
精神論で撮れって言ってるわけじゃなくて、気っていうのは、あることをしようとする時の心の動き、そのことに惹かれる関心であり、特有の香りや味っていう意味があるんです。
これはそのまま写真に置き換えることができて、そのことに惹かれる=被写体。
特有の香りや味っていうのは、その被写体の持つ雰囲気。
もちろん、体力もなければいい写真を撮ることは難しいです。
これは単純に、機材を持ち運ぶ力、もし海外まで撮りに行くのであれば、飛行機乗ってそこまでいかないといけないので、それも体力が必要。
確かに技術が卓越していれば、庭先で優れた写真を撮ることができるかもしれないけど、技術に進む前にもっと気力や気迫、体力を磨いて、いろんな世界を見て、自分にとって写真とは何か?
これが曖昧なまま狭い地域で上手い撮り方だけを優先しても、結局そこの範囲の人だけなんだなっていう結果しか生まれません。
またネイチャーフォトの世界では、この気力、気迫そして体力がなければ優れた写真を撮ることはできません。
これは僕の経験論なんですが、僕は結構危ない動物もとったりすることが多いんです。
実際森の中で、何度かヒグマに襲われかけたことがあるし、海外にホッキョクグマの撮影に行って、間近まで近寄られたりとかっていう経験もあるし、でもそれでも優れた写真を撮ろうと思うと、その瞬間にシャッターを押す!っていう気力気迫、そしてそこまで行ける体力、それらすべてがないと撮影ができません。
これは別に危ない動物だけじゃなくて、綺麗な風景写真を撮る時に同じことが言えます。
絶対にこの絶景を撮ってる!っていう強い気迫、と気力、そしてその絶景が織りなすシャッターチャンスをモノにする瞬間、そこにいなければならないので、体力を使ってそこに移動する。
そういう心が大事。
でもそこまでやっても、いざ写真を撮ると、それでもきっとうまくはいかないはず。
今までよりかは、自分が踏み込めなかった領域の写真が撮れるようになったかもしれないけど、ただ模写で終わると思います。
じゃどうするのか?っていうと、見たまま写すだけの模写から、写真表現へと変えるのが、感性と想像力です。
この感性と想像力っていうのは、写真の撮り方や技術と違って、誰かに教えてもらうのではなく自分で高めていくものなんです。
それはいろんな人の写真を見たり、絵を見たり音楽を聴いたり、感性を刺激するならなんでも良いと思うけど、そうやって自分で育んでいくものです。
美しい、綺麗、可愛いってっていうのは誰もが感じることで、見た感じだけで満足しているのでは、その先の表現の世界へと進めません。
動物であれ風景であれポートレートあれ、被写体と向き合った時に自分はこういう見方をしたいんだ!っていう写真の目で感じることができかどうか、そこから先がようやく技術です。
2つ目 技術
技術をマスターする最善の方法は、とにかく数を撮ること。
もうそれだけです。
上手く撮れない人は単純に数が足りない。
500枚1000枚1万枚もっとたくさん撮れば必ず技術は上手くなります。
この技術に関しても僕の経験談があって、僕は昔写真スタジオで働いてたことがあるんです。
なので、ネイチャーだけじゃなくて、ポートレートや料理の撮影、一応一通りすべて撮影することができます。
その時に今でも覚えてるんですけど、ロレックスの時計の撮影があったんですね。
あの仕事ってものすごく単価が高くて、凄いクオリティが求められる撮影。
その撮影で、当時の僕はまだアシスタントから成り上がったばかりくらいのペーペーカメラマンだったんですよね。
先輩にその仕事を振られて、当然クオリティが足りませんでした。
週明けの納品だったので、金曜の夜、土日祝3日間全部潰して、スタジオに一人で出てきて、朝から夜の11時までずっとその撮影。
撮影できたらラインで先輩に写真送って、クオリティチェックしてもらって、三日目の夕方くらいにようやくOKだったんですよね。
数千枚はその一枚のカットで撮ったと思います。
だから上手く撮れない人は、とにかく数を撮るしかない。
F値がどうとか、シャッター速度がどうとか、数を撮ってればそのうち覚えます。
それがわからなうちに、その数値だけ覚えてもいい写真にはなることはありません。
3つ目 観察
撮る前にまずしっかりと観察すること。
よく観光地とかで見かける光景ですが、車から降りて、そのエリア10メートル以内、向いた方向だけしか撮らなかったりとか、よく周りを観察せずに撮る人ってものすごく多いんです。
一枚写真を見せますが、これは白虹がかかった瞬間です。
白虹ってどうやって撮るのか?っていうと、日の出している真逆の方向に出るんです。
多くの人が日の出に気を取られて、真後ろに出ている白虹に全く気がついてない時に撮ったものです。
直感で撮れとよく言うんですが、それは本質に捉えると、物理的にシャッターを押すことではなくて、被写体をよく観察すること、写真を撮る人が上手い人は、この直感=観察眼がとても優れていて、それがセンスなんだと思う。
風景であれば撮る前によく考えてどの部分をどう切り取るか、そして周りはどういう状況かそれら全てを思考して、直感に至ります。
いわゆるその直感=観察眼が感じられない作品は全然心に響かないです。
4つ目 写真の主題
そもそも写真を表現する上で、自分の主題・テーマとか何か?これを明確にしておく必要があります。
ここでよく勘違いするのが、被写体を選ぶことがテーマではありません。
例えば飛行機をテーマに撮っているっていう表現は間違いです。
飛行機はあくまでモチーフなんです。
そのモチーフを使って、何を表現したいか?それがテーマなんです。
これも写真を見せるとわかりやすいかもしれません。
これは僕が北極で撮ってきた写真ですが、 広大な雪原に一頭のホッキョクグマ。
これはホッキョクグマをモチーフにして、僕が伝えたかったテーマは、孤独。
今ホッキョグマって温暖化とかで絶滅に瀕してるのは知ってますよね?
日本の国土の27倍もある、この広大な雪原の中に、本当彼らって1つの小さな町程度の数しかいないんです。
だからそれをテーマに入れたかったので、あえて引いて広く撮っています。
アップで撮る迫力のあるシーンもいいですけど、テーマをしっかりと思考すると引いて撮ろうかな?とかいろんな構図やどうしたらいいかが、見えてきます。
テーマがしっかりと見えているから、構図が思い浮かぶのです。
今回のまとめ
写真を上手く撮るためには、絶対撮ってやる!っていう強い気迫、と気力、体力。
そしてとにかく数を撮りまくる。
しっかりと観察して、テーマを思考して撮る。
そうすれば、きっと上達すると思います。
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