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なぜ管理栄養士が「事業づくり」の仕事をするのか

管理栄養士という職業をご存知ですか?給食や病院食などの献立を考える人……なんとなく、そんなイメージを持たれている方が多いのではないかと思います。

このnoteの書き手である私も管理栄養士の国家資格保有者のひとりです。しかし、今の私の役割は、その言葉から想像されるものとはちょっと違っているのではないかと思います。

私は、「事業をやる人」です。そして「きっかけづくり」をする人です。今回は管理栄養士であるわたしがなぜ「栄養管理」ではなく「事業」をするのか、私が目指す「きっかけづくり」とは何なのか、自己紹介も兼ねて少しだけお話させてください。

|管理栄養士としての歩み


改めて、管理栄養士の仕事がどう定義されているのか見ていきましょう。日本栄養士会のサイト内には、以下のように記載されています。

管理栄養士は、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。病気を患っている方や高齢で食事がとりづらくなっている方、健康な方一人ひとりに合わせて専門的な知識と技術を持って栄養指導や給食管理、栄養管理を行います。一方、栄養士は都道府県知事の免許を受けた資格で、主に健康な方を対象にして栄養指導や給食の運営を行います。
出典:公益社団法人 日本栄養士会

管理栄養士は医療従事者です(この表現には賛否両論ありますが)。そのため、食への困窮度が高い方に対してより価値貢献できる資格なのですが、最近では、民間企業に勤める管理栄養士も増えており、ヘルスケアを推奨する一人として活躍の場を広げています

私もまさに後者の環境に身を置いてきたタイプ。2015年にIT企業に入社し、ヘルスケアサービスのコンテンツ企画や食事指導サービスの立ち上げなどを行っていました。

このときから、「ヘルスケアは楽しくなくちゃ不特定多数に届かない」という強い思いがあり、そんな自己課題(あるいは社会課題)解決のために、ITというフィールドで、楽しいヘルスケアサービスを作ろうと考えていました。

|食生活を良くしたいって誰が思ってる?

これは、ヘルスケアサービスを考えるようになって、最初に抱いた疑問です。疾病を抱えていて塩分や糖質のコントロールが必要な人、ダイエットしたい人、便秘などの不調を抱えている人、妊婦さんなど、困窮度の高い人は、食生活をより良くすることを考えると思います。

一方で、「食事を楽しみたい」という目的で食生活を変える人はどのくらいいるでしょうか?

運動は、趣味やリフレッシュといった楽しみの一環で取り組む方も一定数います。しかし、食事は「楽しみ」の軸だけを優先してしまうと、健康を損なうこともあるのが難点です。もちろん心のヘルスケアにはなりますが、カロリーや栄養バランスを考えると、おいしいとヘルシーの両立は本当に難しいのです。

その影響もあってか、「食事を考える」人のほとんは、食事改善の必要性を迫られるような“きっかけ”があった人だと思います。

私がいち管理栄養士として声を大にして食事の重要性を伝えても、おそらく伝わるのは、健康に対してある程度感度の高い方、健康ニーズが顕在化している層にのみです。それはすなわち、ヘルスケアサービスに価値を感じる人の層も同様です。

ヘルスケア市場は無関心層が7割を占めていると言われています。管理栄養士である私の声が届く層が残りの3割なのだとしたら、私はいったい、誰の何の課題を解決することができているのだろうかと疑問に感じます。

十分なリソースを持つ人の健康行動変容を促すことはできても、そうでない人の行動変容は達成されず、気づけば前者と後者の健康格差を広げてしまっているに過ぎないのかもしれません。そしてこの事実は、現代の大きな健康課題になっていると、私は思います。

|管理栄養士としてやりきる限界

私がこれまで声を届けてきた人は健康関心層です。食事改善ニーズを持った人に声を届けてきました。しかし、それはおそらく、私以外の管理栄養士や専門家でも叶えることはできました。なぜなら、私は世にある研究成果の単なる代弁者にすぎないからです。

私にしかできないヘルスケアとは何だろうかと考えたとき、リテラシーに左右されないヘルスケアを実現したいと強く思いました。人類にとって、健康になることが無駄になることなんて一切ありません。だとしたら、すべての人が「自分にとっての健康とはなにか」に気づくための“きっかけ”をつくることさえできれば、いち管理栄養士として行動するよりもはるかに多くの人に声を届けることができるかもしれないと思ったからです。

これまでの健康教育の中に、この問題提起に的確な解を示してくれる研究は存在しませんでした。それならば、納得のいく答えを自分自身で探してみよう、そう思ったのです。

|事業をやる人になった今

「無意識な健康を手に入れる方法を見つけ出す」ことが、私の野望です。
そして今、こんな思いに共感し、ともに闘ってくれる仲間がいます。

私たちは、私たちの身近な人に、プロダクトやサービス、そのこだわりやコンセプト、そしてそこにいる私たち自身も好きになってもらいたいという想いから、「身近な人の“好き(Love)”になる」というミッションを掲げました。

そして、ミッションを成し遂げた先に描く私たちのビジョンは、「無意識でもヘルシーでいられる人を増やす」です。

好きの先に自然と健康(ヘルシー)が創造されるような日常導線をつくっていきます。私たちの思うヘルシーは、心が満たされた状態です。プロダクトやサービスを通じてヘルシーを提供することはすなわち、社会貢献を意味すると考えています。

当事業メンバーは、ほとんどが女性です。仕事もプライベートも充実させたいと願う私たちにとって、心身が健全な状態であることは必須条件です。時間やお金がいくらあっても、体が不健全だと何も楽しくない。面白くない。幸せじゃない。

私たちがヘルシーを意識し続けられるのは、日常にその“きっかけ”があったからです。きっかけづくりは無意識なヘルシーを手に入れる第一歩。それならば、私たち自身が身近な人の“きっかけ”でありたいのです。


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