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頑固な汚れ

君が願いを叶えるために大事なものはこぼれていった。

あの子とは相思相愛していた。あの子の気持ちは実際はわからないけど、嘘だったら、助演女優賞を受賞していると思う。

君の夢は「色々なコニュニティーに所属する」というものだった。

君が新しいコミュニティーに入るたびに、僕を連れて行ってくれて、毎日が、新鮮というか、色褪せていた僕の生活が有彩色に包まれているような感覚が身にまとったようだった。

しかし、僕らの関係に名前のない色が混じり始めたのは数か月後のことだった。

君が何かしらのスカウトをされてからだった。

君はスカウトの返事に対して、即答していなかった。

それは、その新しいコミュニティーには僕を連れていけないこと。

そうなると、数か月の付き合いの僕らには、必ず溝ができてしまう。

結局、君はそのコミュニティーに入った。溝ができてしまう覚悟で。

君にとっては、僕より、そのコミュニティーを選んだ。

正直しんどかった。しかし、僕は君の夢を反対することはできず、肯定してしまった。

僕が初めて君についた嘘だった。

結局これが原因で、僕たちは離れ離れになった。

僕たちにできた溝に、頑固で、拭いても拭いてもとれるわけでではなかった。

頑固な汚れは、いつになってもとれることは無い。

汚れを取ってくれる素敵な女性はいるのだろうか。

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