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自分の理念との向き合い方って?|SC Talk 02 (金井恵子さん)

こんにちは!サインコサインです。

個人理念に関するアレコレについて、ゲストと加来がラフにトークする、このSC Talk。前回からだいぶ時間が経ってしまいましたが、第2弾をお届けします!

今回のゲストは、マネーフォワードのDesigner & VP of Culture 金井恵子さん。デザイナーとしての入社ながら、現在は人事組織で企業文化醸成の責任者を担う金井さん。加来と出会う前から個人理念を言語化していた、という稀有な?方です(笑)!

金井恵子|Keiko Kanai

株式会社マネーフォワード Designer & VP of Culture
Twitternote

2014年1月にマネーフォワード初のデザイナーとして入社。当初はUIデザイン等を担当するものの、デザイン組織の立ち上げ後から徐々にコーポレートブランディングの領域を担う。MVV策定プロジェクトに携わったことがきっかけで“理念”に興味を持ち、現在は企業文化醸成の責任者として、文化醸成と浸透に勤しんでいる。

個人理念
「想いやビジョンのハブになって、共感・共存できる世界をつくる」

理念=コンセプト

加来:
あらためてきくと、ほんと面白くて魅力的なプロフィールですよね。自己紹介をしたときに、よく聞かれる質問ってありますか?

金井さん:
デザイナーなんですね!っていうのはよく言われますね。

加来:
確かに思いました。それは広義のデザイナーとして腹を括って、あえて言っているのかなと。

金井さん:
自分としても、私ってデザイナーなのかな?私って何をデザインしているんだろう?って悩んだこともあるんですよ。でも「すべてデザインだ」って思ったら腹落ちして、その悩みは解消されました。

それに自分が人事に入ったことで、デザイン思考というか、デザイナーだからできるんだろうなってことも結構あって。いまではアイデンティティとして、デザイナーって思えるようになりました。

インタビューの会場は「人間理念神社」でした

加来:
もともとは狭義のデザイナーだったわけですよね。そのとき、いまの個人理念である「想いやビジョンのハブになって、共感・共存できる世界をつくる」を体現するようなデザイナーを目指していた意識はあったんですか?

金井さん:
どうだろう。いま振り返るとあったような気もするんですけど、しっかりとは意識していなかったかも。

加来:
ちなみに、そもそもなぜ個人理念をつくろうと思ったんですか。

金井さん:
会社のMVVC(ミッション・ビジョン・バリュー・カルチャー)をつくっているときに、理念ってそもそもどういう概念なんだろうって悩んで。

学んでいくうちに、家庭や個人にも適用できるものだと知って、それってつまりデザインでいうところのコンセプトなんだなと解釈したんです。

そう捉えられるようになると、自分自身についても色々と迷ったときに、コンセプトとしての理念があればすっきりするのでは?と気付いて。

同時にMVVC策定に関わったことで、自分の業務領域が狭義のデザインから逸脱しないといけなくて。それに対して、自分自身が迷わずに納得できるような設定がほしかったんです。自分がやる意味に迷ったときに、立ち戻れるような。

そう思って自分でつくった個人理念のようなものがもともとあって、それを加来さんに改めて整理してもらったのがいまの個人理念ですね。


加来:
そういえばちょうど2年前ですね、出会ったのは。このイベントのときだ。

これからも成長し続けるために必要な『企業の理念』と『個人の理念』の関係とは?」のテーマで登壇者を探していたとき、金井さんがぴったりだよと紹介してもらって。

そこで意気投合して、2020年の年始の人間理念展に来てくれたんですよね。

金井さん:
「想いやビジョンのハブになり、みんなをひとつにする」だった個人理念の後半を、「共感・共存できる世界をつくる」に変えてもらいましたね。

それまでも自分の個人理念として掲げていたものが、より納得感のあるものに変わりました。

トレンド化している「理念」

加来:
先日、サインコサインのミッションを見つめ直す機会があったんですけど。そのとき、企業と個人の理念の重なりを見つけていく作業は、英語だと「デザイン」という動詞になるんじゃないかなと思ったんです。

サインコサインのMission

そして金井さんも最終的に、自分の仕事が「デザイン」だと行き着いたところには、共通点があるのかもしれないなと。金井さん流のデザインの定義や、意識していることを聞きたいなと思っていました。


金井さん:
すごいディープなことを聞きますね(笑)。

そんなにうまく言語化できてはいないんですけど。いま私が人事の組織に入っていてときどき感じてきたるのは、課題に対しての打ち手の施策を考えている人が多いのかもなということ。

もちろんそれはひとつの正しいやり方である一方、もっと私としては、体験をつくることを意識したいなとしていて。ユーザー視点で、始まる前から施策の終わりまでを連続して捉えたいんですよね。施策を打っているんじゃなくて、従業員の体験をデザインしているってことなんだなと思ったんです。

課題解決だけじゃなくて、理想を描いてひとをワクワクさせる方向に変えていくとか。結局は、デザイン思考を使ってアウトプットすることがデザインなんじゃないか、ってことかもしれません。

加来:
金井さんの理念の中だと、つながりや結びつきというのがポイントですよね。そこに僕も共感しています。僕はこの2年以上ずっと、◯◯の一つ覚えかというくらいに、企業と個人の理念をどう結びつけるかという話をずっとしていて。

でもここ最近、Twitterで「個人理念」をエゴサーチ……あ、エゴサーチではないか(笑)。

金井さん:
エゴサーチ(笑)。

加来:
調べてみたり、色々と自分に届くメルマガをみたりしていると、ありとあらゆるひとが「個人理念」「個人のパーパス」的なものを掲げることや企業のそれとの重なりや繋がりを見つけることの重要性を提唱し始めているように感じています。でも共通して言えるのは、提唱して終わっているだけなんですよね。

グラフィックデザインとかUIデザインの世界では実践を伴う方法論があるものの、組織やひとと企業のつながりのデザインみたいな話になると、中身が具体的になっていない。だから提唱の域をでないのかなって。

結局二言目には、あの有名企業もパーパスをつくっているんだぞ、みたいな話に終始してしまう。

金井さん:
提唱しているものを、実践する機会もなかなかないんだろうなって思いますね。会社の中で方法論を実践するには、制度の変更をする必要が出てくることもあるので。それをコントロールする立場にいないといけない。だから提唱だけで終わっちゃうのかなと。

加来:
とはいえ僕も、理念浸透には何をすれば良いんですか?と聞かれると、「理念の実現につながることを本気でやり続けるしかないんです。」って言うしかなかったりもして…

金井さん:
ははは(笑)。

加来:
実際にそれで実践してくれるところが増えるかは……(笑)。これって何が足りていないんでしょうね。

金井さん:
なんだろうな……。課題に感じていないのかもしれませんね。緊急度が高くないっていうか。

確かに私も前より、企業文化や理念がトレンドになっている感じはしていて。コロナになってリモートワークが増えたことで、企業が求心力とか会社らしさ、アイデンティティが何かに悩むようになったんだと思います。だからようやく、時代がきたんじゃないか!?って感じがしますね(笑)。


企業の価値観も「会社」から「個人」へ

加来:
だんだん僕のお悩み相談になりかけているんですけど……(笑)。不思議なもので、ここまで理念について話題になっていなかったときのほうが、やるべきことや意義が明確だった気がするんですよね。

最近になって、耳障りの良いフレーズだけが出てきたり、口だけで語るひとが増えたり。いまのほうが、理念を明確にすることの意味を見出しにくくなっている気がします。

金井さん:
確かにそういう風潮はあるなとは思います。課題として言いやすいっていうのがあるかもしれないですね。

私は逆に、こうして理念や文化の話が流行してきたことで、自分の仕事に市民権を得られたというか。やりやすくなった感じはありますね。

ただ中から変えようとする私と、外から手伝いますよって立場の加来さんとでは、やりやすさに違いがあるのかもしれません。

取り組みに進めないひとたちは、理念とか文化って捉え所のないものだから、何からやれば良いかわからないんだと思うんです。ロジカルとか定量的にジャッジしてきたひとたちの中で、突然文化って言っても理解してもらいづらい。そこに外から入っていくのは、結構難しいのかも。

加来:
金井さんは会社の中にいて、どういう形で文化を浸透させようとしているんですか。

金井さん:
みんなが文化に共感して、意識するようになる、という状態を目指していますね。なんでこの会社で働いているのか?というのがすごく大事だ、ってマインドセットを持ってもらうとか。

加来:
帰属意識を持ってもらうということかもしれないですね。

金井さん:
ただ少し変わったのは、いままでは会社の「私たちはこれを追い求めるよ」ってメッセージに共感してくれる仲間を集める感じだったんです。

でも個人としてのウェルビーイングとかパーパスが広がってくるにつれて、会社主語じゃなくて、個人主語にもしていかなければいけないなって思っていて。

このあいだ加来さんとも話していたと思うんですけど、自分がこの会社で何をしたいかが明確なひと、内発的動機があるひとは成果を出しやすいんじゃないかと。だから会社としても、そこをちゃんと見つめるっていうのは重要なことだなという風に変わってきました。

加来:
まさに個人理念ですね。御社も全員分つくりましょう!

金井さん:
やりたいですね。

人間理念神社で自身の覚悟を深める金井さん


こうあるべき、にとらわれないための軸を持つ

加来:
いま会社の中で、個人理念をつくるみたいなことは?

金井さん:
まだやれていないんですけど、やりたいなと思っています。

経営陣は言語化していないだけで、個人理念のようなものをもっているひとも多い。次のミドルマネージャーを底上げしていきたいなというときに、個人理念をつくる機会があると良いんじゃないかと考えています。

加来:
マネジメントレイヤーになるときが、つくるタイミングとしてはベストですよね。最近、企業向けの個人理念の共創・実践サービスを始めたんですけど、この話をすると「新卒研修に良さそう!」って言ってもらえることが多いんです。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000089133.html

でも新卒は良くも悪くも経験が少なすぎるので、一定の成功も失敗もしているミドル層のほうが、良い個人理念をつくりやすいと思いますね。

金井さん:
いちばん迷うときでもありますもんね。私が個人理念をつくったときも、自分の役割とか、デザイナーって肩書きに迷ったときでした。

加来:
確かにそのきっかけもありますね。理念を見つけやすくするためのテクニックとしてよく使うのが、肩書きを使って「僕はデザイナーをやっていると見せかけて、◯◯をしています」って自己紹介をしてみること。

これが意外と本質をつけるなと思っているので、部長とか課長とか、肩書きをきっかけに見つめ直すのは良いタイミングです。

金井さん:
内省の機会になりますよね。私はマネージャーだったとき、ロールにすごく捉われてしまって。こうあらねばならないって。

それをやろうと思いすぎて、マイクロマネジメントになってしまったんです。みんなにも「こうあらねばならない」を押し付けてしまって失敗したなと後悔しています。

加来:
あるべき、ではなくて、ひとによって違うからこそ良いんですけどね。本当は。

僕はいつも企業と個人、個人と個人の理念の重なりを見つけるって話をしているんですけど。以前だれかに言われてハッとしたのが、重なりを見つけることで、重なっていない部分を見つけられることが重要だよねと。

確かにそうだなと思って。違うから、その部分は助け合えるって考えられるほうが、パートナーシップ的には価値があるのかもしれないなと。

金井さん:
オリジナリティの部分ですね。それぞれ重なる部分と、異なる部分があって当たり前ですもんね。オリジナルな部分がなくてどうやって働けばいいいているの?生きればいいているの?って、個人理念を軸に生きているいまは、そう思います。

理念をつくりたい!と思ってもらうには?

加来:
金井さんは、いまの個人理念をアップデートしたい気持ちはありますか?

金井さん:
いまは迷っていないんですよね、しっくり来ている。誰かの想いのハブになるみたいなことが、向いているんだろうなと思っていて。

自分と照らし合わせたときに、しっくりこなくなったらアップデートが必要なんじゃないかと思います。自分が成長したり、新しい役割に向かったりするときなのかな。

それよりも、私はもっとみんなに「個人理念をつくりたい」って思ってほしいんですけど、どうしたら良いですかね(笑)?

加来:
うーんそうですね……(ライターとして参加中の)シンドウさん、どう思いますか(笑)?

シンドウ:
急にやめてください(笑)。

個人的には、「個人理念つくりたい!」って気持ちになるようなひとはすでに意識が高いというか、、あとは言語化するだけのモノをもう持っている気がして。

むしろ企業組織において一人ひとりが個人理念を持っている状態を目指すなら、特に興味を持っていないひとたちに、強制的につくる機会をあげたほうが良いんじゃないかなと思います。

そこから興味を持っていくほうが早いし、広まりやすいのかなと。

金井さん:
確かに……そうかもしれませんね。まずはやってみるのが良いのかも。

ちょっと手始めに私の部署のメンバーで、個人理念をつくる会をやりたいです!加来さん、お願いします。

加来:
ぜひぜひ、やりましょう。ではそんな感じで、今年もよろしくお願いします!

PS. またマネーフォワードさんで個人理念をつくる回も、きっとこちらでレポートいたします!

written by シンドウサクラ


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