スズメの学校?
スズメ、がいたのである。
スズメ、といっても戸締りをして日本を救ってくれたあのスズメちゃんではなく、
鳥のスズメである。
最近スズメが減ってきていると以前何かの記事で読んだ。確かに家の周りでもスズメの姿はあまり見かけない。
ところが、である。
スズメがいたのだ。しかも大量に!
日本海側では珍しい晴れた日の午後、職場の廊下の窓から見える隣の家の庭の柿の木に(「の」が多い!)スズメが鈴なりに止まっていたのである。
スズメだ、とはわかったけれど、なんだかちょっと自分の知ってるスズメより丸くないか?と思って窓を開けてよく見てみたが、やはりスズメだ。でも、丸い。
まるでダウンジャケットを着込んでいるみたいに丸い!
そうだ!スズメは冬毛。まさしく羽毛のジャケットを着ているのである。まん丸に空気を含んで膨らんだスズメ達。その数、数十、いや百羽くらいはいそうだ。
ちょっと飛び立ったり、地面に降りたりしながら柿の木の枝に集まっている。
「チュンチュンチュンチュン」賑やかしい。
一体、このスズメ達はなぜここにいて何を喋くっているのか?私の頭はハテナでいっぱいになった。
「今日は久しぶりに天気いいね」とか「こんな天気のいい日は仕事とかやってられんわ」とか言ったりしているのだろうか。全員がなにか喋り続けている。スズメはおしゃべりなのか?
そしてこのスズメ達は一体どこからきたのか?
どこに住んでいるのか?
家の軒下に住んでいたのが最近は軒下のある家が減ってそれとともにスズメが減ったと聞いたような気がする。
ではこのスズメ達のお宿はどこなのか?
一緒のところに住んでいるのか?
こんなにたくさんのスズメが住める軒下はあるのか?
チュンチュンチュンチュン騒いで、その家の人はうるさくないのか?
一族なのか?
他人なのか?
それとも住む場所は違うが晴れた日はみんなで集まることにしているのか?
もしかして学校なのか?先生スズメが色々教えているのか?
考え出すとキリがない。
そしてスズメのお宿といえば昔話である。
親切なお爺さんが雀を助けて、スズメのお宿に連れていってもらって、お礼に小さなツヅラと大きなツヅラを見せられ、どちらかを選んでねと言われて、小さなツヅラを選んだら宝物が入っており、それを聞いた意地悪爺さんがスズメのお宿に言ってツヅラをよこせと迫り、大きいツヅラの方を選んで持って帰ってみると、ゴミやなんやが入っていた、というお話だった。
この話は幼い頃に聴いたものだが、ツヅラの部分は幼心に強烈な印象として残り、大きいものと小さいものを選ぶときは小さい方を選ぶ方が良いものが手に入るとずっと思ってきた。
だから、ビンゴ大会などで景品を選ぶ時も「大きいのはダメ」と必ず小さい景品を選んできたのだ。
そこまで考えて、はたと思い当たった。果たして私はこの大事な教訓の入った昔話を私の子ども達に伝えただろうか。もし伝えていなかったら私の息子達は人生において意地悪爺さんのように大きなツヅラを選んでしまっているのではないか。
不安になった私は、家に帰ってから次男に
聞いてみた。
「あんた、すずめの学校っていう昔話知ってる?」
息子はめんどくさそうにいった。
「それ、メダカの学校だろ」
なんだか訳がわからなくなった母であった。
今日の短歌
お互いにダウン着ている我(あ)とスズメ
膨らむ羽毛は温かきかな
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