【読書】実践・人を動かす「早稲田大学を応援しませんか」
本稿はカーネギーの名著『人を動かす』の感想文を綴る代わりに、心に残った教訓に自己解釈を添えて実践形式で紹介することを目的として書かれた。
自己啓発本なんて自己を啓発したい人が勝手に黙って読んでいればいいので、この本や考え方を勧めるような書き方はしたくない。しかし、
「こうやって話せば、人を早稲田の沼に落とし込めるのか~」
と緩く楽しみながら読んでいただけたら嬉しい。
『人を動かす』の主題は帯に書かれた「人をうまく動かす究極の方法は、相手の自尊心を満たすことである」という原則である。様々なエピソードを添えてよい人間関係を構築するコツがさらっと読めるようにまとめられている。
私:早稲田大学競走部長距離ブロックを応援している。臙脂のサムライたちを応援する人を増やしたいと思っている。
※各項目前の数字は本のページに相当している。
48)笑顔は言葉よりも伝わる
これに関しては特に言うことなし。まずは笑顔で話始めてアイスブレイク。
41)誰もが自分に最も関心がある
『相手に関心を持ってもらおうと必死になっても興味はない。他人はあなたや私には関心がないからだ。』
例えば私が初めましての挨拶を終えてこう話し始めたとする。
「いやぁ、先日の全日本では早稲田大学が先頭を走っている時間が一番長かったんですよ。知ってました?3区のエース中谷くんが襷を受け取ってすぐに先頭に立つと・・・(以下略)」
いきなり私が競走部の魅力を並べ立て始めても相手はきっと聞き疲れるだけだろう。
なぜなら相手は私に興味がないからだ。興味がない人の好きなことを延々と聞かされて、相手の自尊感情は満たされるだろうか。
当然そんなことはない。この時の話し口がいくら魅力的でも、きっと相手は私_そして私が応援している早稲田大学_に関心を持つことはないだろう。
きっと返ってくる答えは「ところで~…」君の話はもういい。と。
75)相手の関心事を話題にする
では、どうすればいいか。大事なのは私が話すことではない。相手が話し、自尊感情を満たすことだ。
書中では複数の項目で重ねて訴えられているが、日常生活で「会話上手」と称されるのはスピーチが上手く、紡ぐ言葉が素晴らしい人ではない。
むしろ自分が話すのは控え、聴き役に徹することで相手の自尊心は満たされる。そして、相手は楽しい「会話」の時間を提供してくれたあなた(聴き役)に対して「会話上手」という印象を抱くことだろう。話している時間が短くても会話上手にはなれるのだ。
相手に語らせる上で相手が話したくなるトピックスを提供することは有用である。
「そういえば福岡国際、もう今週末ですよね!酒井監督はいらっしゃらないと聞いたのですが…」
などと私が口を開けば、エース服部勇馬の体調を案ずること、その中で出走する設楽啓太への思い、そういえば彼らの大学時代は~…といくらでも相手の話したいことを引き出すことができる。
鉄紺の魅力を存分に語らせてやれば、相手は満足して私に心を開いてくれるだろう。
57)名前を間違えると怒りを呼ぶ
諸冨の冨間違えたら、怒られますよね。
直希くんの希間違えたら、怒りますよね。
つまりそういうことだ。
相手の名前を覚えるのはもちろんのこと、いやここでは相手の推し大学の選手の名前をしっかり覚えておきたい。
更に相手に関心があることを示すために、主力選手については出身校も併せて覚えておくのが有効と言えるのではないだろうか。
116)相手にまず「イエス」と言わせる
例えば鉄紺党過激派に私が
「一緒に早稲田大学を応援しましょう」
という。いきなりこんな風に言われても、答えは「ノー」に決まっている。
何故なら鉄紺と臙脂は宿命のライバルであると認識している人も多いからだ。
また、応援している駅伝チームがある人の中には「二校以上同時に推してはならぬ」という固い意志を持っている人もいるだろう。
そして、人には自分の『大切なプライドを守るために一貫性を保とうとするので、途中で意見を変えずらい』という性質がある。
つまり最初に「早稲田大学を応援しましょう!」「いいえ、私は鉄紺党です」と言わしめてしまえば、いくらあとに競走部の魅力を語ったところで相手は肯定に転じにくくなってしまうのだ。
「辻くんのキレッキレのWポーズ、よくなかったですか?」(イエス)
「来年もっと上位にあがってきそうなチームだと思いませんか?」(イエス)
と心の底で思っても、やはり「ノー」の答えしか引き出せないのだ。
最も伝えたい内容を始めに伝える必要はない。
ここは他大学ファンでも肯定してくれやすいハードルの低い問いから始めるのがいいのではないだろうか。
「臙脂にWってかっこいいですよね!!!」
122)自慢をしない
「人の不幸は蜜の味」といわれる。『とすれば、功績を自慢するのは慎んで、できるだけ謙虚でいた方がいいということだ。』
「トラとこ見たよ!早稲田強かったよね~」と言ってくれた他大ファンがいたとしよう。
ここで図に乗って「ええそうなんですよなんと言っても今年はこれで出雲(代替大会)優勝して一冠早速獲ったから!!ここで結果を出せなかった一年生もインカレでは…(オタク特有の早口)(ドヤァ)」と話し出してしまう。
これで一気に相手は気を悪くしかねない。
一旦落ち着いて謙遜することだ。
「それでも全日本では途中から他大に抜かれちゃってね…いやあ、やっぱ三強はそう呼ばれるだけあったわ…。」
こう言っておくことであなたの印象は悪くならないし、共感を呼ぶこともできるだろう。
心の中でいくら((まあ箱根では3強食いますけどね!!!))と思っていても、だ。
124)相手に強制しない
「早稲田大学を応援してください!」
で「はい、応援しましょう」と動いてくれる他人がどれほどいることだろう。まして、
「早稲田大学を応援しろ!!!(圧)」
と言ってそれに従う人などいるのだろうか。
『他人に何かを強要されるのが好きな人はいない。誰でも自分の意志で行動していると感じたがるものだ。』
相手に応援を強制するのではなく、自分の意志で早稲田に寄り添ったと感じさせる話術が、応援を引き出す。
「今年は層の薄さ問題が解決されてきたとは思うんですけど、これだ!という布陣が思いつかなくて…。
どうやって区間配置したら早稲田が力を出せると思いますか?
的確な考察力で区間予想をされている〼〼さんの意見を聞いてみたいです。」
こう尋ねられたら「私に早稲田のことを考える時間などない!!」と返答はしないだろう。
きっと、「やはり一区には~…」と早稲田大学に寄り添った区間配置を考えてくれる。そして、
「これは早稲田勝てそうですね!!✨」
といえば自分の敷いた区間配置で戦えないとは思わないのではなかろうか。
「うん、今年はいいとこまでいきそうだよね!」
『人を動かす』の欠点
他にもよい人間関係を構築し、人を動かすためのライフハックはたくさん述べられている。
読みながら私が一つ引っかかったことがある。
それは、人を動かすための行動で生じる私のストレスの解消方法が提示されていないことだ。
聞き役に徹し、相手の自尊心を満たすことで確かに私が得られることは多い。最終目的である「臙脂のサムライたちを応援する人を増やす」を達成できるのかもしれない。
しかし、その過程で私の自尊心はどうやって満たしてやることができよう。
この本に述べられている人を動かすコツの多くは想像に難くない行動である。
簡単であるのにそれを実現できていない人が何と多いだろう、と作中でも述べられている。
それでもやはり最終目的を忘れてただ自分の推しチームについて語り捲し立ててしまうのが人間ではないか。と思ってしまった。(単に私が我慢強くないだけなのかもしれないが。)
*
私は特に『人を動かす』に書かれているコツを実践してきたわけではない。しかし「自分が語る」という欲求を実社会で十分に解消できてもいない。
何故なら私が語りたいこと(トピックス)に関心を抱く他人は周りにあまりいないからだ。
そんな自分の感情を満たすために、わざわざ趣味のツイッターアカウントを作り、書き込めても他人の邪魔にならないようなnoteを書き続けているのかもしれない、と感じた。
既読のいいね・スキには「あなたの話を聞いていますよ」という魔法の力があるように思う。
いつも私の言葉に耳を傾けてくれる人たちには頭が上がらない。
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