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炎の魔神みぎてくんのほん

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卓上遊技再演演義シリーズでも活躍するみぎてくん、陽気で元気、食いしん坊でドジな炎の魔神族、みぎて大魔神ことフレイムべラリオスが人間界に留学!相棒コージや講座の仲間と繰り広げるほの…
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#ボウリング

炎の魔神みぎてくんのほんシリーズ 既刊紹介

陽気で元気な魔神族の留学生「みぎてくん」ことフレイムべラリオスと、相棒のコージ、そして個性豊かな仲間たちが織り成す学園ドタバタファンタジー小説のシリーズです。ここnoteで過去作品を順次公開してゆきます。なお、さきもりのおさ(ジーぽん)以外の作者の作品については公開未定です。 挿絵はさきもりのおさ(武器鍛冶帽子)、竜門寺ユカラさん、烏丸毛虫さんからいただいております。 短編 魔神と油揚げとお嬢様(1999年8月) 卓上遊技再演演義シリーズの短編として書かれました。みぎてく

炎の魔神みぎてくん すたあぼうりんぐ 8.「奥さんのためだし、許してあげるわ」

8.「奥さんのためだし、許してあげるわ」 「よっし、ここは一発いくぜっ!」  みぎては意気揚々とベンチを立つと、アプローチに向かった。幹事と言うことでいろいろあって、みぎてたちのレーンはようやく今から第八フレームである。とにかくここでストライクを出さないと、蒼雷(ぴちぴちスーツ付き)が怒濤の男性陣優勝と決まってしまう。 「いくぜっ!いちっ、にのっ、さんっ!」 「やったっ!」  さすがに気合いの入ったみぎての投球である。ボールはレーンを猛烈なスピードで走り、ピンを一掃す

炎の魔神みぎてくん すたあぼうりんぐ 7「ボウリングの歴史終焉がちらついてきた…」②

 さて、蒼雷がポリーニの発明品「スウィートフックメーカー」に着替える間に、コージ達は自分達のゲームと、あとは得点の中間集計を大急ぎで行わなければならない。というか、実際コージ達はろくにゲームらしいゲームなどできないのが現実である。各レーンの一ゲーム目の得点を集計し、ハンディを加えて途中経過の発表をするのだから、大変なのは当然である。幸いディレルが表計算ソフトの入ったノートパソコンを持ってきているので、得点さえ集めれば順位はすぐに計算できそうである。 「今のところやっぱりトッ

炎の魔神みぎてくん すたあぼうりんぐ 7「ボウリングの歴史終焉がちらついてきた…」①

7「ボウリングの歴史終焉がちらついてきた…」  みぎて達の見ている前で、いよいよ注目のプロ、エラ夫人の第一投が始まった。と、どういうわけか場内には実況解説の声が流れる。 「こんにちは。バビロン大学落語研究会の林家ランプアイです。解説はバビロンスターレーン付属プロショップ店主、インストラクターのアデノシンさんです」 「こんにちわ、アデノシンです…」 「誰だよ、勝手に解説者呼んだのは…」 「プロショップの店長さんですねぇ…」  おそらく今日のにぎにぎしいイベント(プロも参加

炎の魔神みぎてくん すたあぼうりんぐ 6「あのころヒットした歌謡曲は」

6「あのころヒットした歌謡曲は」  十一月になると、バビロンの街路樹の木々もすっかり色づき始め、朝晩の空気もすっかり肌寒くなる。特に今年は夏は暑かったせいか、秋がやたら短いような気がする。台風シーズンも終わったので、天気もすっかり落ち着いて雲一つない青い空がここ数日続いている。まさしく「スポーツの秋」という言葉がぴったりの最高の陽気である。  残念なことにボウリングというスポーツは完全に室内ものなので、少々天気が悪かろうが関係がない。なんとなくこんなに晴れている日に室内競技

炎の魔神みぎてくん すたあぼうりんぐ 5「…どうやってこれ倒すんだよ」②

 さて、マイボウルができあがったコージ達は、早速レーンに出て試し投げということになる。 「とりあえず試しだから二ゲームくらいですね。時間もあまりないし…」 「終バスには乗らないとなぁ…」 「あたしは、最悪パパに迎えに着てもらうからいいけど…」  学校帰りにボウリング場に急行して、ボールを作っている間に晩御飯を食べてそれから、であるから正直あまりたっぷり時間はない。せいぜい二ゲームが関の山というところであろう。前回みたいに終バス乗り遅れのタクシー帰りはちょっとまずい話である

炎の魔神みぎてくん すたあぼうりんぐ 5「…どうやってこれ倒すんだよ」①

5「…どうやってこれ倒すんだよ」  さて、それから二ヶ月の間でコージたちはボウリング大会の準備と、それから(本来はこちらが主目的なのだが)毎週一回ボウリングの練習をするということになった。もちろん大学では研究とか論文作成とかいろいろあるので、ボウリングばかりにかまけているわけにはいかないのは当然である。が、今回は(変人として有名とはいえ)教員であるシュリのお供だという口実があって、普通のレジャーよりずっと参加しやすい。 「ところで貧乏魔神君たち、マイボールとかはどうする予

炎の魔神みぎてくん すたあぼうりんぐ 4「あ、説明するの忘れておりましたわ」②

 さて、その週の土曜日午前中に、コージたちは早速初めてのボウリング練習会を開催することになった。場所は当然先日の「バビロン・スターレーン」である。今回はシュリ夫妻の相手をするということもあるし、それからマイボールをどうするか、という問題もあったからである。 「でもポリーニ、なんでおまえまで練習会にくるんだよ」 「そんなの当たり前でしょ?あたしだって『ショッピングゾーン』興味があるのは同じなんだから。ショッピングモールって女の子のためにあるっていうのは、社会常識じゃないの」

炎の魔神みぎてくん すたあぼうりんぐ 4「あ、説明するの忘れておりましたわ」①

4「あ、説明するの忘れておりましたわ」  ということで、コージたちは翌日から講座生活の傍ら、ボウリング大会の準備を始めることになってしまった。日程調整とか会場の手配、声をかけるメンバーへの連絡とかはもちろんのこと、彼ら自身の練習も必要である。そもそも今回は大会はおまけであって、「シュリと一緒に健康維持ボウリングトレーニング」がメインである。コージたちは大会準備だけをすればいいというわけにはいかない。  それに多少はボウリングの経験があるコージやディレルと違って、みぎてはほと

炎の魔神みぎてくん すたあぼうりんぐ 3「話どんどん進んでますよ…」

3「話どんどん進んでますよ…」  アミューズメントゾーンは面積としてはショッピングゾーンより多少小さいらしい…が、コージ達が今まで見たことのあるこの手の施設とは比較にならないほどのでかさである。最近流行のシネコン、ゲームセンター、カラオケボックス、ボウリング場、それからダーツバーやビリヤード場まである。一つ一つはコージ達もよく見かけるものだが、全部の設備が一つのビルに収まっているというのは初めてである。それに加えてそれぞれのスペースがでかい…最初に入ったゲームセンターでいき