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地方移住は地方側の環境づくりと移住する側の覚悟が必要

こんにちはサイドストーリーの渡邉です。今日は私が地方で関わっているテーマである「移住促進」についてお話ししたいと思います。地方っぽいテーマである「まちづくり、地方創生、地域活性、移住」に興味がある方はぜひご覧いただければと思います。
私は前稿の地域の人事部の活動にも通じますが、公共事業を企画支援し、自ら実行もする政策起業家として活動をしています。

※政策起業家とは?
1. 社会課題等の解決手段となる特定政策を実現するために、情熱・時間・資金・人脈、そして革新的なアイデアと専門性といった自らの資源を注ぎ込み、
2.多様な利害関心層の議論を主宰し、その力や利害を糾合することで、
3.当該政策の実現に対し影響力を与える意思を持つ個人(または集団)

参照:https://peplatform.org/point/

東京から離れてもう8年ですが、縁もゆかりもない自分が「関係人口・移住人口がを増やしたい」という基礎自治体、事業社、住民のニーズに関わってきた中の考察を述べていきたいと思います。
地方移住マーケットについての最新調査による課題提起は国が出しているこちらのファイルを見ていただければ概論は把握できますので、ご興味ある方はご覧ください。

都市部から地方移住が進まない3つのリアル

※ここでいう地方は仙台・札幌・広島・福岡のような地方都市ではなく人口が10万もいかないような田舎を指して説明します。

【年収のリアル】
私も宮城県に移住をした際には100万以上年収が下がりました。東京にいたときの知人がどんどん給与上がっていってることに「なにくそぉ」と思ってた時期もありましたw
一般的に地方で都市部水準の給与をもらうは中々に難易度が高いです。
1、地方の年収800万は市長村長クラスの年収

2、地方の一般的な年収は350マン程度

一方、年収が低いことが悪いかでいうと、地方の場合は生活コストは安い傾向にあるので、可処分所得ベースで考えると東京は実は経済的に豊かといえないという話もあります。

じゃあ、「地方で都市部と同じ水準で稼げればいいじゃん」となりますが、そうするためには一般的なサラリーマンルートでは難しいです。パターンを上げるとするならば
・自ら起業する
・地方企業の幹部人材で転職
・事業承継
・専門性を活かしてマルチワーク高度人材として稼働
という専門性特化×経営人材という切り口でいかないいけません。

【すまいのリアル】
移住促進事業に携わる中で、移住検討者が住居探しに苦戦することをよく目にします。
移住検討者のニーズにフィットした情報とその量に関する課題です。
移住者は「移住して”もしかして”地域に合わなかったら」と考え賃貸契約を望むことがほとんどなのに対し、家の持ち主は「管理が面倒、売り切りたい」という気持ちから売買契約を望むことが多々あります。元々の持ち主からすれば「俺が住むときも覚悟決めて土地や建物買ったんだからお前らもそうしろ」的なマインドなんだと思いますが、縁もゆかりもない移住検討者からしたら「そんなこといわれても・・・・」となります。
また”空き家ではない空き家”というものも大量に存在します。現在はSUUMOやアットホーム等の不動産仲介サイトに加え、空き家バンク事業もあり、少しずつ物件は全国的には増えておりますが、自治体ベースでみると推進状況はまばらです。「年に数日は墓参りで帰ってくるから」とか「荷物や仏壇を片付けることができない」等貸せない理由があり、市場に物件が回らない現実的な問題があります。
その地域に通って地域の人と仲良くなって非公開物件をようやく紹介してもらえるみたいな構図はよく見ています。

【行政のリアル】
行政は住民の声を聴き、政策形成をすることが責務でありますが、「そうはいっても・・・」という事情もあります。
-住民が少ないと役場職員が増やせないという実態-
自治体の職員定数(上限)については,各自治体がそれぞれ条例で定めることとされていますが、人件費は予算に占める割合が高く,弾力性も乏しい経費であるため,歳入が少ない自治体の財政ではそう簡単に増員はできません。会社の経営とそこは一緒ですね。
そうなると少ない役場職員で住民の声を聴き(市場調査)、政策(事業企画)をつくり、推進する(営業)という「ベンチャーかよ」っていうくらい職務量をやらなければなりません。
しかし、民間企業に就職する人財と行政に就職する人財はパーソナリティが異なるのが実情です。一概には言えませんが、民間就職は「成長」、行政就職は「安定」です。住民(=顧客)のために寝る間も惜しんで奔走することは”失敗しないように””自分のできる限り(=定時の範囲内)”で動くということが多いと思います。つまりは政策を推進するスピードと出す結果が”HIGH”になりづらい構造があるということです。
-それを補うための中間支援組織の在り方
いわゆる”第3セクター”と呼ばれる役場100%出資組織みたいなものが各自治体では設立はされており、半官半民で「役場のこともわかる、顧客の声も拾える」組織がつくられてはいます。移住促進というテーマでいえば、まちづくり会社等が運営する移住サポートセンターという組織です。どこの自治体でも「是非うちの自治体へ!」と情報発信は積極的に行われていますが、大事なのは「都市部での生活を変える程の魅力を持てているのか」というポイントです。
最近でいえば明石市は子どもにやさしいまちづくりを目指し子ども政策に予算を積極的な投下をし移住者を増やしていますよね?
良いプロダクト(自治体でいえば政策)を開発出来ていれば、顧客(自治体でいえば移住者)はついてくるので、プロモーションする資源開発や質の向上に係る取組に注力するべきと私は思います。

サイドストーリーではこのような実態を抱える地方自治体と一緒に「どうしたら人を呼び込めるか」の活動をしております。自分が住む町は胸を張って是非来てよ!と誇れる町にしたい、どうやったらこの町がよりよくなるかを考え、推進する仲間を増やしたいです。

今日はここまでにします!