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サロモンの菅谷さんに「走り続ける秘密」を聞きました

こんにちは! シダスnoteです。

本日は、シダスでサポートしているトレイルランナーの菅谷和己さんにインタビューしました。その模様を前後編に分けてお送りいたします。

 salomon atheleteとして長年レースの表彰台に上り続けながら、トレイルランニングの普及活動として数多くのイベントを企画し、さらに高校陸上競技部のコーチも務めるなど多様な面を持つ菅谷さん。常に安定して結果を残してきたイメージがありますが、『菅谷理論』が生まれたきっかけには、ある発想の転換がありました。


きっかけは、契約打ち切り?

菅谷 もう8年くらい前のことです。salomon atheleteは、毎年12月末にその年の活動報告と来年の契約更新の話を担当者とします。
実は、その年はレースの表彰台に1回も上がれない時期だったんです。案の定、担当者の評価は最悪です。来年も同じ結果なら契約を切るとまで言われました。これはマズイな、と思いました。でも、その時に言われたんです。
「レースの結果だけじゃなくて、お前にしか出来ない活動でブランドに貢献するのなら評価するよ。」
自分にしか出来ない活動。それは何だろうと考えました。

二つのサイクルに共通点を見出す

当時サロモンの直営店(神田)がオープンしたばかりの時期でした。
神田店はランナーの聖地である皇居へ走って10分程度。ランニングショップとして考えると最高の立地なんですが、当時のランナーにとって、トレイルランニングの認知度は低かったですし、始めるにしてもハードルが高かったように思います。
自分は神田店に在籍して、アドバイザリースタッフとしてお客様を対応することになったのですが、そもそも、お店にお客様が来店されない。なので、まずは実際にトレイルランニングのフィールドである山に行って、道具の使い方、山の走り方、マナーなどを伝えるイベントを行うことになりました。
イベントを安全に進めるためには、レンタル品の調達や現地の下調べなど、事前にやることが沢山あります。イベント当日も参加者に対して、どういう言葉で接したら良いか、無事に山を降りてくる為にはどのくらいのペースが良いか、常に考えを巡らせています。そして、実際にイベントに参加された方は、お気づきかと思いますが…(笑)山を走って必要と思った装備はお店で買って頂きたいんですね。自分は選手でもありますが、世の中から観れば一企業に属している、ただの人間です。アドバイザリースタッフとしては、最終着地点をしっかり見据えて行動しなければいけません。でも実は「そこ」が今の自分のスタイルに繋がることになったんです。

──「その部分」を詳しく教えて貰えますか?

菅谷
 イベントの準備というのは、いつも万全な準備が出来るとは限らないので、何に集中するべきなのかを考えるのが重要なんですが、「その考え方をトレーニングに活かせないか?」と考えました。要は「選択と集中」ですね。現在はトレイルランニングのレースは、距離や獲得標高などでカテゴリーが細かく分けられていますが、当時は自分の得意とするカテゴリーを絞っている人はそこまで多くなかったかもしれません。自分の場合は競技を続けていくことを考えて、ターゲットとなるレースカテゴリーを絞り、「想定するレースで優先度の低い要素はトレーニングから切り捨てる。そうすることで、短時間でトレーニングを切り上げて怪我のリスクを防げる。レース当日から逆算して行動する。」そのことに気づいたんです。その結果、競技成績は安定してきて、またレースの表彰台にも立てるようになりました。このサイクルが出来るようになると、仕事も短時間で集中するためにはどんな工夫が必要なのか?、と考えるようになり、身体を休める時間を増やすことにも繋がりました。自分にとって競技を続けていくうえで、勝つことを想定したレースは年4、5本。そこに照準を絞ることが出来るようになってからは、精神的にも安定して生活出来るようになりましたね。

── レースに出ながら、全国で講習会を精力的に行っている裏にはそんな工夫があったんですね。ターゲットにしているレースは毎年決まっているんでしょうか?

菅谷 以前は関係者に誘われたレースに出ていましたが、コロナ禍になってからはレース自体が開催するのかが問題になります。まずは、開催可能性の見込めるレースをターゲットにすること、仮にそのレースが行われなかった時の為に、半月後、1ヶ月にもレースをエントリーします。そうすることでシーズン中の調子のピークとターゲットレースを合わせるようにしています。

── ターゲットにしていたレースが未開催になり、モチベーション維持に苦労している選手の投稿をSNSで見かけます。その一方で、菅谷さんもFacebookにレース結果を投稿されていますが、むしろ出場レースを3連勝されたりと(千葉トレイルシリーズ“YAMA RUN Challenge” 3連勝)この状況になって菅谷さんの安定感が際立っているように感じました。実は、今回インタビューしようと思った理由はそこにあります。お話を聴いて、ここ一年の菅谷さんの結果にはこれまでの工夫が活きていることが解りました。

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今回は菅谷さんの「選手」としての工夫を伺いました。ですが、忘れてはいけないもう一つの姿「コーチ」としての面もあります。
菅谷さんはブランドの顔として選手を続けるための考え方を、“2人のsalomon athelete”に伝えました。彼らは、世界的に権威のあるトレイルランニングのレースでトップ選手と競り合い、表彰台へと上りました。いったい菅谷さんはどんなメッセージを“その2人”に伝えたのでしょうか?  次回へ続きます。