#8 【詩】「終わらせたい僕と終わりたくない君」


「終わらせたい僕と終わりたくない君」

飛び立てぬまま揺れている
電線にかかる二つの風船
風に吹かれ今、何を想うのか

守りたいものができて
握りしめているうちに
力尽きたあの日の僕に

吐くことを知らない不器用な呼吸
愛を知って強さ知り
こんなはずじゃと拳を投げ捨てる
怖いもの知らずの家なき子
優しさ知り弱さ知り
自分見失い受け入れられぬまま


時に運ばれ揺れている
走り抜ける見慣れぬ景色
追い越しては追い越されて
進もうとも立ち止まるとも
僕の心盗む君の面影

終わらせたい僕と終わりたくない君
光を知って月影を知り
歓喜の中に忘れられた悲鳴が響く
素直になれない僕の幼稚さが
隠した正義とせめぎあい
赤く青く燃える光が騒ぎ出してる


吐くことを知らない不器用な呼吸
愛を知って君を知り
あの日の涙も誰かの
君の
僕の
光になれると知った

終わらせたい僕を待ち続けた光
瞳(まなざし)は揺れず交わり
照らされた道に明日を夢見る
悩み悔やみ打ちのめされる日すらも
愛しいと笑う君のように
僕もうまく笑えてるかな

こんなはずじゃなかったと
あの日投げ捨てた拳
空高く突き上げ大きなVサインを
再会の合図に

わかるよとか気安く言いたくはない
ただ祈るはここで終われない僕らに幸あれと

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