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霜花——漂泊と残紅 2
教室のドアを辷らせたら*、モーターのつくる暖房の匂いがどっと重く流れ出た。机に座って駄弁る*女子たちが僕をチラと見てすぐにまた話し始める。結露した白い窓の、指で書かれた「みな♡」を半目で見て、自分の指先の赤らんだのを互いの手でさすった。
冬の空気のせいで顔は蒼白く見えるが、しかし心は朝が最も丈夫だ。時間が過ぎてゆくにつれて他人が蓄積されていく。孤独や個性は色眼鏡で見られて、故にいろんな憶測が陰
霜花——漂泊と残紅 1
目蓋のうえに強い光を感じて立ち止まる。今夜は満月だったっけ。叢雲に暈*を落としてただ浮かぶ皓い*月は、私の、きっと心といわれるところをぎゅっと締めつけて微細に顫わせる*。自然に口許が弛んで、そのまま体が蕩けて*、溶解してしまいそう。精神は、私の身体の形容*のまま青い半透明になって、私からぬらりと離れて、宙*を遊び歩いていく。
かくんと、首を折って頭を空に挙げた。しかし、それは月じゃなかった。た