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本の話 洋書を読み始めて5年

かつて自室の本棚にはミステリーやファンタジー小説を並べていた。歴史小説も好きだった。この5年で様変わりした。


洋書に手を出したきっかけは、飛行機だった。


それ以前は、英語の本といえば児童書(講談社英語文庫の『不思議の国のアリス』やムーミンシリーズの英訳など)を何冊か読んだ事がある程度だった。ハリー・ポッターは最初の数ページで挫折した。

乗り物全般への興味は薄かった。


最初の一冊
ページ数が少なく図版が多かったおかげでなんとか読めた

百年前のイギリス軍の戦闘機について知りたくなった。しかし日本語の本に載っている情報だけでは満足できなかった。ミリタリーの知識もろくになく、ひこうきはなぜ飛べるのか等の初心者向けの航空知識をちょっとかじっただけの状態で、いきなり洋書を入手し読み始めた。むずかしかった。

最初の一冊を無事に読み切ると、達成感に酔った勢いで次の一冊へ。
飛行機の世界は知らないことばかり、知識欲が止まらない。完璧に理解できなくても、文脈と雰囲気でとりあえず一冊読み切ればなんとなく英語が分かるようになった気分。
その後もほとんど途切れなく英語の本を手に取るようになった。
そのうち、継続して読んでいないと英語の感覚を忘れそうな気がしてきて、日本語の本とは疎遠になっていった。



蔵書の一部

5年間で読んだ洋書は、児童書を除くと35冊。
ほとんどが歴史(戦闘機と航空隊)の本。美術や工芸の本が少々。
読むペースとしては年間10冊前後。再読も含む。

和書だけ読んでいた頃は年間100冊以上だったと思う。
もうすぐ読み終わってしまう次何にしようとあせって選んで面白くなかったり…。SNSで流れてくる誰かのオススメ本も自分の好みとは違ったり…。
残念ながら、読み始めた本が自分の好みに合う確率は、高いとは言えなかった。
家の本棚のスペースは有限。好きな本だけを残し、他は手放していた。


本を次々に買っては手放す習慣が、いつの間にかなくなった。

洋書はそれなりに高価だし、取り寄せるのも日数がかかる。むやみに買い漁ることがなくなり、積む本も減った。購入は月1冊(と厳密に決めているわけではなく、買わない月もある)、それをひと月~数か月かけて読む。
スロー読書ライフだ。



最近届いた、重さに驚いた一冊

実物を見ずに注文していることを考えれば意外にも思えるが、いまのところ本の内容に関してはハズレなし(巨大本が届いて驚くことはたまにある)。求めている情報が載っていなくても、新たな知見をもたらしてくれれば良し。同じ話でも書き手によって異なる記述を比較して楽しんだり。
以前より本に使う金額も読む冊数も減ったけれど、読書の充実度は上がった。


振り返ってみれば、読みたい本がたまたま英語だっただけ、読書スタイルを変えたいという意識はなかった。
でも結果として良い変化だったと思う。

日本語の本も、完全に決別したわけではなく。美術関連など、洋書と同じ感覚でゆっくり読める・何度も見返して楽しめる本だけを買っている。小説はほとんど読まなくなり所有数を減らしたが、手放したくない本は無理に処分しない。


英語に関しては、いつか辞書なしで読めるようになるかと仄かに期待していた。
今は、運転時に眼鏡等が要るのと同じ、と悟った。
洋書を読む行為は、自分にとって語学の習得が目的ではないし。辞書を卒業するために特別に努力する必要はない。

ハリー・ポッターへのリベンジは今のところ考えていない。翻訳版のありがたみ。

読みたい本を読めるだけの読解力を維持できればそれでいい。今後読みたいジャンルが変わっても。ゆるく、洋書ライフを続けていきたい。


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