【設計】成層圏で食品開発!干物の実験モジュールを作る|干物編#03
shuttleD(シャトルド)フードテック部による成層圏での食品開発への挑戦、その活動記録を気ままにお届けします✏️
<宇宙の一歩手前【成層圏】でアジの干物を作る方法>にて、成層圏までアジの開きを飛ばすために必要な5つのモノを簡単にご紹介いたしました。
アジを成層圏まで飛ばすために必要なモノ5つ
(1) アジの開き
(2) 気象観測用ゴム気球とヘリウムガス
(3) 実験モジュール
(4) フライトシミュレーションとGPS
(5) 申請
その中で最も重要と言ってもよいものが、実験モジュールです。
今回は、成層圏でアジの干物を作るための専用モジュール「干物実験モジュール」制作に迫りたいと思います✊
実験の目的と方法を整理して、モジュールに必要な条件を洗い出す
干物実験モジュールの設計を始めるにあたり、まずは今回の実験の目的と方法を整理します。
【実験の目的】
成層圏でアジの干物を作ることができるかを実験する
【実験の方法】
成層圏までアジの開きを気象観測用ゴム気球で飛ばし、海で回収する
まず当然ですが、成層圏まで安全にアジの開きを運ぶための装置が必要です。
そして、干物を作るためには乾燥させることが不可欠!湿気・防水対策が必要です。海に着水した瞬間、被水または浸水するなんてことがあれば一瞬で終わりDEATH💀
【モジュールに必要な条件】
アジの開きを成層圏まで運ぶための固定装置
アジの開きを乾燥させるための通気性を確保する
アジの開きを水に濡れさせないための防水対策
これらの条件を考慮した上で、設計と試作を繰り返します🔥
モジュールの全体像を考える
モジュールの全体像を考える上で、最初に干物をどのようにして固定するかを考えます。
干物と聞いて、真っ先に想像するであろうものがこちらの平置きタイプです。ですが、これは却下です。
平置きタイプ却下の理由は2つです。
(1)モジュールが大きくなる
(2) 固定が難しい
成層圏に到達するまでには、風の強いジェット気流が流れる対流圏界面を通らなねばなりません。そのため、アジの開きをしっかり固定する必要があります。
また、サイズの大きいモジュールは重量もその分大きくなるため、気象観測用ゴム気球で飛ばせる重量をオーバーしてしまいます。
そこで今回は、吊り下げ方式を採用したいと思います。
これなら全体的を満遍なく乾燥することもできそうです🐟♪
ですが、単純に紐で縛って気球に吊り下げるだけでは、強度と防水面でまだまだ課題が残ります。
必要な機能を備えた素材を探す
アジの開きを何かしらで包んで、強度と防水面を確保したいところです。
ですが、真空パックのような密閉性のあるもので包んでしまうと、魚から出る水分を気化させることができないため、"通気性"に欠けます。
一方で、小さな穴の開いた素材で包むと、海での着水時に必要な"防水性"に欠けてしまいます。
必要なのは【強度】と【通気性】と【防水性】、そんな奇跡のような素材...
なんと、発見しました!
素材の名前は公表できませんが、通常は建材として使われるものだそう。建材と聞くと、強度・通気性・防水性は必要な条件なので納得です。
あらゆる可能性を探ってみることで解決の糸口が見えてきました👀
見た感じ、薄いシートのような素材です。
実際にどれだけの防水性があるのか実験してみます。
防水実験
中に水に濡れるとピンクに変わるシートを使って実験します。
袋状にした例のシートの中に入れて、10時間水に浸けます👇
500mlのペットボトル3本を載せても、破れる様子はありません。
強度もありそうです。
防水実験の結果
一部、薄くピンクに色付きました。
水に濡れた状態の鮮やかなピンクと比較すると、例のシートに防水性があることが分かりますが、これを2重にすることで堅牢な防水対策をすることにしました✊
更に、内部に魚をいれて温めても透湿性があり十分に気化した水分は抜けていることが分かりました。透湿性能の限界を超えた時に備えて、吸湿する素材も袋の内部に入れることにします。
この素材を使えば、成層圏に到達するまでの間に魚の気化した水分を外に放出し、乾燥。その後、海に着水後も防水されるので水に濡れる心配がありません👏
【モジュールに必要な条件】
アジの開きを成層圏まで運ぶための固定装置 → ほぼクリア✨
アジの開きを乾燥させるための通気性を確保する → クリア✨
アジの開きを水に濡れさせないための防水対策 → ほぼクリア✨
必要な条件を満たすために最後に各部品を組み立てていきます。
次回、<成層圏で食品開発!干物の実験モジュールを作る〜組立編〜>に続く!
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shuttleD(シャトルド)- 成層圏への往復便
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