東洋セオリーをわたしセオリーに。〜林千尋さん〜
私が感じたあなたを切り取り綴るshutter。ご依頼者様と対談、お人柄やお仕事の個性や魅力を、ライター視点で存分にご紹介させていただく企画です。
今回ご紹介するのは、お子さんの出産を機に人生が180度変わられたという、現在では中医学とアロマテラピーを融和させながら、東洋の知恵を生かして心身のメンテナンスを行う望診カウンセラー&セラピストとしてご活躍の林千尋さんをご紹介します。
千尋さんとは今回のshutterの対談が初めまして。
お申し込みいただいた方にお願いしている事前のエントリーシートには、溢れるほどにご自身がこれまでの時間の中で経験したことや感じたことがぎっしり。
密に、密に、生きてこられた方で、一つ一つの出来事に理解を深める、とても、頭の良い方なのかもしれない。そんな印象を持ちつつ、でも、その印象で決めつけないように・・・と、対談場所の七里ヶ浜に向かいました。
初めましての千尋さん。まず目を奪われたのは、透き通るようなお肌の美しさ。色白で、その透明感からは、体に入れるものを厳選されているのではないか、さすが、セラピストさんだなぁと、思わず。
初対面にも関わらず、とても朗らかで、例えるなら、赤ちゃんが使い込んでゆくガーゼのやわらかケットみたいな、そんなイメージ。
興味がとにかく多岐に渡り、さまざまなことをやってきたからこそ、話し出すと止まらない、自分を表現するとなるとどこをどう切り取っていいかわからない。だからこそ、誰かに自分を表現してほしい。
そんなことが今回shutterを依頼された理由。
実際にお会いした千尋さんは、おっしゃる通り、さまざまなことを経験されて・・・と言うよりは、
もしかしたら
体験したことを余すところなく汲み取り感じる、その情報量が溢れるほどにストックされている方
なのかもしれません。
お話しされる言葉遣い、溢れるようにで出てくる言葉たち、そして学びへの探究心の深さ。
活きの良い目の細かいスポンジ みたいな人だなぁと
グングン吸い取って、絞ればじゅわじゅわ溢れ出す。いくらでも。本体はとても柔軟でよく伸び縮み。水切れ抜群、じめじめなんてしない。そんな印象の方。
よく笑い、よく話す。その内容は、感情豊かながらもロジカルで知性に溢れて緻密。
だからと言って、堅苦しくもなく・・・・・
誰かや何かに押し付けられたのではなく、興味の向くことを興味の向くままに、体験して感じて吸収されてきた、だからこそのものなのではないかと、そんなことを感じてしまいます。
実際、ご両親はとても仲も良く、家族も仲良しで、とはいえそれは「家族としてあるべき姿」の堅苦しさではなく、各々が各々を生きることを楽しむような、いつも笑いの絶えないお家だったそう。
ご両親の、全てを受け止めながら干渉しすぎない関わり、ここぞと言う時には受け止めサポートしてくれる姿を尊敬していると、おっしゃっていました。
さらには、ご両親ともに文学科のご出身で、お父様は編集に携わるお仕事もされていたのだとか。ご実家にはたくさんの書物があり、そして編集をされるお父様の姿があり、想像するだけでも、千尋さんの日々の中に、「理知と言葉、そして守護」があたたかく溢れ包んでいただろうことが伺われます。
千尋さんご自身も、子ども時代は本の世界を愛し、浸り、妄想が大の得意だったとか。三世代で住われていた千尋さんの初恋は「水戸黄門の助さんと、暴れん坊将軍の松平健。」実は私も、本の世界の住人で、この二人が大好きだった、小学生時代。
ともに、数学は壊滅的なのに、国語だけはずば抜けた成績。言葉で生きていきたいと願ったこと。千尋さんに似通ったものを感じてしまい、ますます親近感が沸いたことを覚えています。
千尋さんのさらにすごいところは、その思いを持ち続け、文章の「校正士」の資格までお持ちなところ!好きなこと、興味があることなら、行けるところまで行ってみる、それが千尋さんの一面なのかもしれません。
これまで経験されたこと、興味を持って体験されたきたことは
新体操、ダンサーを志しダンススクールに通ったこと、マンドリン(楽器)、文章校正士、それを生かした編集仕事、総務事務、自然哲学、宗教学、陰陽五行、アロマテラピーからフィトテラピー、中医学、自然療法まで、実に多岐。
そのあらゆる経験を、本当に楽しそうに語ってくださいます。
こんな身振り手振りで。
千尋さんを見ていると、それはそれは
「知るは、体験するは、体感するは、楽しい。体験と学びこそ人生の悦び」
なのではないかと、そんなことを感じた、あの日。
とはいえ、学生時代を終えて社会人になる頃から、パニック障害や自律神経の不調が出てきて、生き方の模索をずっと続けてこられたのだとか。もしかしたら「自分の興味の赴くまま」ではなく「社会や誰かの求めに応えること」に対して、生きの良いスポンジの給水力と絞り出し力が使われてしまい、ご自身を大事にすることから遠ざかっていた、そんな時代でもあったのかも、しれません。私の推測の域を超えませんが。
そんな千尋さんの生き方、人生観が180度変わったのが、お子さんの出産、子育て。
産後うつをご経験され、お子さんのアトピーとアレルギーも発症。どうしたら良いのかと道を探していたときに出会ったのが、フィトテラピー。精油やハーブの使い方一つで、お子さんの辛い肌症状が和らいだことに感銘を受け、そこから一気に、植物の持つ力と人間の持ちうる治癒力の世界に興味が溢れ、学びを深められます。
フィトテラピーに限らない、自然療法の世界、ナチュラルに生きるとはどう言うことかを体感されながら、日々を送られた先で、次第にその生き方のコツを求められるように。
これがきっかけとなって、セラピストとして起業することを意識し始め、オーガニックトリートメント、植物療法を取り入れたプライベートオーガニックサロンを2018年にオープン。
現在では「温故千新」と屋号を決め、東洋と西洋の知恵と技術を生かし、自然とともに一人一人がバランスよく心地よく生きていくためのカウンセリングやワークショップ、トリートメントを行うサロンを経営されています。
ここまで読んでみると、もしかしたら千尋さんという方は、ナチュラルな生き方を突き詰めた・・・天然生活を絵で描いたような暮らしを送っている人、と思われるかも、しれません。
添加物は一切ダメとか、お肉食べないとか、市販のものは使わないとか・・・・
実は私も話していて、そうなのかしら・・・とちらりと思ったのですが、その疑いは、いい意味で気持ちよく裏切られました。
ラーメンだって大好きです。市販のお菓子だってもちろん、食べます。笑 お野菜だって有機のものも普通のものも、どっちも美味しく食べてます。あえてそこまでこだわりは強くしていません。ハンバーガーだって、正直めっちゃ食べますよ。笑
頑張りすぎも、こだわりすぎも、身が持たない。
大切なのは「正しさを突き詰めるよりも、自分が心地よいと思うものを選ぶこと」
実は私も、アロマテラピーのインストラクター&セラピストとして、自宅をサロンにやっていたことがあり・・・・
子どもを健やかに育てたくて、東洋医学やアロマテラピー、ホメオパシーなど、いろんな自然療法を取り入れていた時がありました。
冷え取り、温活、マクロビオティックなど。ただ、それをすべて正しくやろうとすると、疲れてしまう。笑
いろんな方法を試しながら、「負担にならずに取り入れられるもの」を
取捨選択した時間があって、今の元気があるわけですが、最終的にわたしが思い至ったのも、千尋さんと同じ・・・
何事も、過ぎたるは及ばざるが如し、自分にとってちょうどいいバランスが大事。
「わたしの体はわたしの心地よさ、健やかさを知っている」ということ。
正しさにこだわりすぎることなく、自分の中にある感覚を信じ、選ぶことの大切さ、でした。
だから、何を選ぶかは、突き詰めすぎず、余白やゆとりも大事にする。こうでなければ!と言う絶対基準は持たない。
自分に合っているか合っていないか。それを経験を通して見極めていくことが大事と、おっしゃいました。外の情報、誰かや何かの理論に、自分を任せすぎない。自分でやってみて、感じて、どうしたいか。それこそが大事。
自分の心身が求めるもの、楽に心地よく、合うものを選ぶこと。
それこそが、究極「自分の自然で生きること」に、なる。
子どもの頃から日本の伝統文化やその精神性に惹かれ、高校生時代にNHKドラマ「陰陽師」にもハマり、大学時代には陰陽師研究の第一人者の下で学びを深められ、陰陽五行思想に触れて学んでいた千尋さんが、自然療法、アロマや植物の世界・・・西洋のものと関わりを深め突き詰めていった先でふと感じたのは
「日本人にはやっぱり日本のもの・・・東洋のものがより、合う」ということ。
だからと言って、西洋医学や西洋のもの・・・アロマテラピーやフィトテラピーを否定するわけでは決してなく。西洋のものだからこそアプローチできることだってもちろんあり、その力も確かなもの。
ただ、血として、私たち日本人には、東洋のベースがあるのならば、東洋医学に基づいたものこそが、一番自然に心身に馴染み影響を与えてくれるのではないか、そんな気づきに至ったそうです。
その気づきに至った時に思い返されたのが「望診」
お子さんのアトピーに悩み、フィトテラピーを学んだ時に出会っていた望診は、人の外見・・・顔つき、肌の質感、どこにほくろがあるのか、表情や舌の様子など、人の見た目から、その人の心身の状態を診断する、東洋医学の一つの診断法。
改めて東洋医学が日本人には合うという気づきに至った千尋さんは、そこから望診や中医学をさらに深められ、自分自身を見つめ知ること、大病になる前に、未病を防ぐこと、自分を知って、自分の心地よさを選び整える日々の積み重ねの大切さに思い至ったそう。
自分の体調、心の様子、今何が必要なのか、どこにケアが必要なのか、それは医学に頼りきらなくとも、実は「目の前の、日々をともにしている自分の体」が教えてくれている。
顔を、その肌を、すべてをよく見て感じていけば、今日の自分に何が必要なのか、未来の自分の健やかさのために、今からどうしていくことが必要なのか、書いてある。
私たちに必要なのは。
「自分を、しっかり見てあげること、自分が出しているサインを、見逃さないこと」
そして
「自分に合ったライフスタイルを作っていくこと。心地よさを、体が、心が求めているものを、自分の基準で、選んでいくこと」
「それを重ねる日々を送っていけば、健やかさは自分で保てること」
そうすれば、いつもと少し体調が変化している、未病の状態にも気づきやすくなり、大病になる前に対処ができるのです。
対症療法も現代医療ももちろん必要なものであり、まったく否定しないけれど、日々の暮らしの中で、自分の心地よい状態を知り、小さな変化(未病)に気づいて対処できるようになれば自ずと健やかさは維持できる。
自分が心地よく、あるように。
そんな東洋の思想、望診と東洋の思想に、改めてすっかり魅せられてしまったそうです。
西洋のフィトテラピーに始まった千尋さんのセラピーは、中医学、陰陽五行も取り入れたら、トータルなセラピーへ・・・
言うなれば、サロンに通って、ただ疲れをとってもらう、こりをほぐしてもらおう、ではない
トータルなライフトリートメント
日々の生き方を整え、自分で自分を健やかにしていくためのセラピーへと、変化したようです。
ただ、セラピストに整えてもらうだけではなく、望診や陰陽五行を日々の生活に取り入れ、自分の状態をしり、季節のものや、体の求めるものを食事に取り入れ養生し、巡りをよくする。毎日の暮らしから整えていくこと、そのために何が必要かと言うことも、提案していくこと。そんなサロンにしていきたいと、あの日私に教えてくれました。
今、私たちの毎日には、恐ろしいほどの情報が溢れています。
書店に行けば、一体何冊あるのだろうかという山のような書籍たち。一度スマホを開いてしまえば、あらゆる情報源にアクセスできるし、そしてまたそこには多くの人のコメントやいいね、評価がどうついているかまで見えてしまう世界。
だから、つい、陥ってしまう。
何が正しいのか、どれが正解なのか
世界は、人は、どう言っているのか、
何を選ぶことが本当は正しいのだろうか、と。
そうして、迷い探すのです。
「正解はどこにあるのだろう」と。
でも、そうして外の情報に目を奪われている時というのは、自分を見てはいなくて、自分を脇に置いてしまっている。
そうじゃない。
全ては、私の中に答えがあり
私の体、顔つき、私の感覚が、私自身が、私を教えてくれている。
いつだって。
望診に出会ったことで、千尋さんはそんな大切なことに気づかれたのではないでしょうか。
現在では千尋さんは
■望診カウンセリング
■望診ワークショップ
■望診アロマトリートメント
サロンメニューをこの三つにリニューアルされ、望診によってお客様の状態を把握し施術に活かすだけではなく、
誰もが、自分で自分の状態を望診で把握し、自分で養生しながら健やかに暮らせるように、望診をはじめとした、東洋医学の啓蒙にも力を入れてゆくことを決めたそう。
自分という一人の存在の、その心と体、そして、人生。
誰かや何かに頼ることももちろん必要で
自分ではどうにもできない時、誰かに助けてもらうことも必要。
でも
そうなる手前の、日々の中で
私たちがもっともっと
自分の心に、体に、
向き合い、よく見て、感じて
自分の心と体の求める声に気づき
求めに応じた暮らしを作る。
食べるもの、飲むもの、肌に触れるもの、人との関わり。
そうして心地よさを作っていくことこそが
私という一人の人間の
生きる日々
心と体、人生の
健やかさを作っていく。
そしてその道は、楽しいものである。
これまでの人生で、たくさんの体験をして、多くの学びを、楽しみながら、その道を進みながら、「本当に私にとって必要なこと」をめぐり合わせの中で出会い、選び、高め、そして、「私なりの心地よさ」にしてきた、千尋さん。
その道は、決して苦しいものではなく、興味ととともに自分を知り感じてゆくことはどれも本当に楽しかったと、教えてくれました。
だからこそたどり着いた今。
現在、サロンメニューをリニューアル準備中の千尋さん。
新たに生まれ変わるサロンとともにお伝えしてゆきたいことはきっと
楽しさとともに、自分を健やかにする道の歩き方、なのかもしれません。
千尋さん、この度はありがとうございました。望診アロマトリートメント、今度はぜひお願いしますね!
千尋さんのサロンはこちらからご覧いただけます。