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映画評 エイリアン:ロムルス🇺🇸

(C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

リドリー・スコット監督による傑作SFホラー『エイリアン』のその後を舞台に、エイリアンに遭遇した若者たちの運命を描いたサバイバルスリラー。『ドント・プリーズ』のフェデ・アルバレスが監督としてメガホンを取る。

人生の行き場を失った6人の若者たちは、生きる希望を求めて、廃墟と化した宇宙ステーション「ロムルス」に足を踏み入れる。しかしそこで彼らを待ち受けていたのは、人間に寄生して異常な速さで進化する恐怖の生命体・エイリアンだった。攻撃もできず、逃げ場のない宇宙空間で、次々と襲い来るエイリアンに翻弄され極限状態に追い詰められていく。

エイリアン』『エイリアン2』はSFホラー映画の最高傑作だ。どこから襲ってくるか分からない油断対敵なホラー演出、エイリアンの圧倒的恐怖を覚えるビジュアルと能力、極限状態における人間の生命力など、45年以上経った現在でも金字塔として君臨しているのは偶然ではない。

が故に、地球外生命体が登場するSFホラー映画は常に比較される運命に晒される。勿論シリーズとして展開された作品も例外ではない。アカデミー賞常連のデビット・フィンチャーでさえ『エイリアン3』では失敗している。壁を越えるのは容易ではない。


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本作で監督を務めたフェデ・アルバレスが行ったことは、原点回帰とも見て取れるような一作目と二作目の徹底的踏襲だ。

宇宙船が舞台の恐怖体験、得体の知らない謎の生命体に襲われるパニックスリラー、いつどこからやってくるの分からないだけでなく、アンドロイドに翻弄される展開は一作目のオマージュだ。また、主人公たちがエイリアンの巣で戦闘するシーンは二作目を放物とさせられる。ファンへの目配せは完璧だ。

アルバレス監督の作家性も随所に垣間見えるのも好感が持てた。フェイスハガーに襲われないために、音を立てずに乗り切ろうとする展開は『ドント・プリーズ』だ。からの急に始まる鬼ごっこは手に汗握る展開で緊張×緊張の畳み掛けは素晴らしい。

また、無重力状態でエイリアンの襲撃を乗り切るシーンは、銃が使えない中での頓知が聞いた創意工夫やバズワイヤー強酸性verのようでヒリヒリさせられる。デスゲーム的演出は監督お得意の作家性と見て取れる。ジャンル映画の頂点に君臨している過去作を無理にいじらない英断と作家性を融合させた本作は、異様に高いクリアのハードルを超えたと評価できる。


(C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

エイリアン』シリーズは、得体の知れない生物に襲われる無慈悲さが特色だ。本作の無慈悲さは人間ドラマを軸としており、過去作の差別化にも成功している。

ブレードランナー』的な過酷な労働をさせられる植民地惑星から脱出を試み、平和な惑星へと逃げるところから始まる。希望に満ち溢れ未来ある若者たちが、無慈悲な末路を辿る壮大な前振りだ。退場させられた際には、より悲しくなる感情移入の持っていき方が巧みだ。

冒頭、破損したノストロモ号から怪しげな物体を回収するシーンは「余計なことするなよ感」が満載で、これから悍ましいことが起こり得る掴みとして最高点を叩き出す。考えが甘い大人の判断の結果、若者の未来が奪われると考えると心痛まずにはいられない。

エイリアンがいると知らない若者たちは、次々と地雷を踏み続けてしまう。生き残るために行ったことが、結果的に惨劇を招いてしまうやるせなさがある。「人間は冷静な判断ができない」台詞に象徴されるように、優しさや仲間意識がこれほどまでに仇となるのは見ていて辛い。

彼らはただ、安住な生活を送りたいだけだ。にも関わらず、命から柄の苦悩を重ねなければならない姿を見ると、無慈悲さ以外の言葉では表せない。

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