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2020年8月の記事一覧
SF映画小説『Summer Time 雨に消えた男』Vol.5(終)
<ジャズバー>(夜)
ステージでは、「サマータイム」の演奏が、続いている。
恭二のバイオリンと崇のサックスが、美しいだけでなく、人を惑わす、蠱惑的なハーモニーを奏で、それを、夏美のピアノが柔らかく、包むように束ねて、耳に優しく聴こえてくる。
テーブル席には、黒川、周平、夢乃が並んで立ち、その音楽に心を捕らえられてしまい、暫く何も考えられないでいた。
しかし周平は、ハッと我に帰り、ためらい
SF映画小説『Summer Time 雨に消えた男』Vol.4/
赤い巨大なアメーバが激しく動いている。
それはまるで飲み込んだばかりの生き物がお腹の中で暴れているようだ。
しかし動きは大人しくなり、一つの巨大なかたまりとしてゆっくりと動き出す。
<夏美の家>
家の中を、ゆっくりと見て回る恭二。何もかもが、なつかしい。
夏美は、恭二の後ろについていき、彼の背中、足元などをじっと見つめる。本当に恭二だ。本物だ。それは疑いようが無い。でも、何故、いま・・・?