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#8 システム以前の問題

先日、新型コロナ感染者の全数把握を見直すというニュースがありました。

感染者の発生届を登録するシステム「HER-SYS(ハーシス)」には、
開始当初には入力項目がおよそ120もあり、
そして、電子カルテとの連携が今でも取れていません。

そのため入力作業に時間がかかり、保健所や医療機関の現場を圧迫し、
患者の診察や観察対応などに必要な時間をまわせない事態になっているようです。


システムの質が悪くて業務の足を引っ張っているのだから、
「システムの問題」、と言ってもよさそうに思いますが、
正確にはシステムの質の問題というよりは、
システムの使い方のほうに問題があると思います。


不具合が多いとか、応答がなかなか返ってこない、
つまり、思った通り(仕様通り)に動かない、
というのなら、システムの質、システム自身の問題だと言い切れます。


ただ、システムが思った通りに正常に動作するのに
業務に役立たないのは、また別の問題です。
設計や実装に問題があるのではなく、より上流のシステム企画、
要件定義(システムをどう使うかの整理)の方に問題があるのです。


日本でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まない、
そもそも、ITのプロジェクトの多くがうまくいかない大きな理由も、
ここらへんにあると考えています。


日本の技術が遅れている、とか、日本の技術者の能力が低い、
とかが原因ではないと思っています。


学生にはもちろん個々の技術を身につけて欲しいと思っていますが、
そもそも「システム」とはどういうものか、どう使われるべきかも、
しっかり教えていきたいと思っています。


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