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一時閉店する、三省堂書店神保町本店の記念しおりを作りました。

「神保町の三省堂書店さんがもう見られなくなってしまうから、何か形に残したい」。この話は、こんな一言から始まりました。

こんにちは、高橋ピクトです。
池田書店という実用書の出版社で、書籍の編集をしています。

今回は、本ではなくて、本の「しおり」の話をしたいと思います。
冒頭の一言は池田書店の営業部長、野口の一言です。

2022年の3月で一時閉店してしまう、三省堂書店神保町本店さん。
その外観は神保町のシンボルといえるほどの存在感があります。その形を何かに残したい、今までお世話になった書店さんに何かお礼をしたい、そういう気持ちから出た言葉です。

実は、2022年の1月からは本店さんで池田書店の看板シリーズ「マンガでわかるシリーズフェア」が始まります。その購入特典として特製のしおりを作って売り場を盛り上げられないか、という話になったのです。

賑わう本の街をイラストに

できたしおりがこちら。左が表面、右が裏面です。

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三省堂書店の外観は、イラストレーターの得地直美さんが「神保町」(夏葉社)で描かれていたイラストを特別に使わせていただきました。

イラストを見た瞬間、賑わう本の街がそのまま描かれているので、今回のしおりにぴったりだと感じました。

私も三省堂書店さんには何度となく通っていますし、担当した本でもとてもお世話になっているのですが、イラストを見ていろいろと思い出しましたね…。三省堂書店さんで資料本を大量に買い込んだときの充実感(疲労感も苦笑)、営業と一緒にはじめてご挨拶に伺ったときの緊張、担当した本がランキングに入って感極まったとき……。きっと本が好きな方、神保町が好きな方にも、何か感じてもらえると思います。

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こちらが「神保町」(夏葉社)。2010年から2016年の神保町と、その周辺を描いたイラスト集。「この町の空気のようなものを束の間楽しんでいただけたら」と得地さん。表紙は、地下鉄神保町駅のどこの出口でしょう!?さぼうるがありますね。わかる人にはすぐにわかると思います。


懐かしさや温かみを感じるようなデザイン

デザインは、タイプフェイスの清水真理子さん。
懐かしさや温かみを感じるようにデザインしてくださいました。

しおりのサイズや紙の種類など、基本的なところから丁寧に教えていただきました。紙の厚さも、ペラペラであってもダメだし、厚すぎても使いにくい…ということでちょうどいい厚さをセレクトしてもらっています。印刷は羽車(ハグルマ)さんという封筒やカードを中心に印刷している会社にお願いしました。

ちなみにこのしおり、表裏で2枚並べると、イラストがつながるようになっています。2枚、3枚と集めたくなるようにという、デザインの工夫だそうです。

タイプフェイスさんはシュッパン前夜.chでも出演していただいている人気のデザイン事務所。ベストセラーのデザインを多く手掛けているので、出版関係者ならお世話になっている方は多いと思います。
冒頭で紹介したマンガでわかるシリーズでお世話になっている縁もあり、今回のしおりのデザインをお願いしたのですが、さすがのお仕事です。

神保町のランドマークからのメッセージ

しおりに描かれている
「本の街 神田神保町で出会った本はきっと特別な1冊になる」。
これは、神保町本店 杉本佳文本店長が考案したコピーです。

三省堂書店神保町本店の所在地は“神田神保町1丁目1番地”。いわば本の街、神保町のランドマーク。日本を代表する書店の、読書愛好家への想いが込められています。

「そんな書店さんの姿がもう見られなくなるのは、寂しい。
今までどれだけ本や人との出会いをくれたか、どれだけ池田書店の本を大切にしてくれたか、何か恩返しができないか」
冒頭に紹介した営業部長はこんなことも言っていました。
いつもクールな野口の熱のこもった言葉に、正直胸が熱くなりました。なんて素敵なことを考える人だろう。出版営業が抱く、書店さんへの感謝の気持ちってすごい、と。

今回のしおり作成にご協力いただいた皆様には、年末の忙しい時期にも関わらず、私たちに賛同、協力していただき、本当にありがとうございました。

しおりは、1月いっぱい三省堂神保町本店1Fエレベーター下で開催されている「マンガでわかるシリーズフェア」で見ることができます。

出版社なもので、宣伝になってしまいお恥ずかしいですが、ご興味がある方は、ぜひ三省堂書店神保町さんでお手に取ってご覧ください。

2022年1月三省堂書店神保町本店【マンガでわかる】 (1)
2022年1月三省堂書店神保町本店【マンガでわかる】 (2)
このフェアは終了しました。

#未来に残したい風景  #書店 #出版社 #編集者

文 高橋ピクト
生活実用書の編集者。『新しい腸の教科書』『コリと痛みの地図帳』などの健康書を中心に担当。「生活は冒険」がモットーで、楽しく生活することが趣味。しおり製作に携わるのは初めてで今回は勉強になりました。ペンネームは街中のピクトグラムが好きなので。

Twitter @rytk84

本づくりの舞台裏、コチラでも発信しています!​

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