「タトゥー」が1年で消えるなら、あなたはどこに何を入れたいですか?【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.106】
1年ほどで消えるタトゥーインクを開発した「エフェメラル(刹那の)タトゥー」は、米ニューヨークのブルックリンに最初のスタジオを開いてからたった4ヵ月で、2000万ドル(22億円超)の資金調達に成功した。
開店以来、予約は月ごとに倍増していると同社は言う。いまや7〜8ヵ月先までキャンセル待ち状態だ。
エフェメラルが委託した第三者の調査で、6000万人のアメリカ人がタトゥーを入れることを検討したものの、一生消えないからとか、文化的・宗教的な理由や家族の反対があってとか、あるいは単に優柔不断で思いとどまっていたことがわかった。
リューによれば、同社インクのライセンス供与や卸売りもゆくゆくは検討するが、目下の主眼は、自社店舗での「タトゥースタジオ経験」を作り変えることだという。
どうやって入れるのか?
エフェメラルのタトゥーの入れ方は、通常のタトゥーと同じくニードルを使うので、客は歯を食いしばることになる。それがヘナやシールなど、皮膚に局所的に塗布するだけのものと違うところだ。
同社は6年かけて、50の製剤を使い、タトゥーのテストを何百回と重ね、インクを完成させた。インクの原料は医療用の生体吸収性ポリマーで、人体の免疫系によって、9〜15ヵ月のあいだに分解され、やがて完全に取り除かれる。
インクは従来のタトゥーガンで使え、とくに新しいトレーニングも必要ない。ただし、微妙な違いはある。しっかり皮膚に浸透した線を常に描くには、「ややゆっくりめに」やる必要があると、共同創設者のジョシュ・サカーイは言う。タトゥーが落ち着くまでには平均で4〜6週間と、従来のものよりは少し長くかかる。
色あせは3〜6ヵ月以内で見えはじめる。タトゥーデザインを維持するには、線画に絞り、陰影のあるデザインは避けるようにとのことだ。エフェメラルのインクでは陰影が付けられないので、代わりに点刻か網目模様にすることになる。
誰がこのタトゥーを入れるのか?
この色あせるタトゥーはあらゆるタイプの客を惹きつけている。タトゥーは初めてという人もいれば、すでにいくつも入れている人もいる。ミレニアル世代もいれば、Z世代、さらにはその親たちもいる。
リューによれば、エフェメラルの客の3割はタトゥーをすでに入れていて、「一生もののタトゥーに自分の“不動産”をすべて使い切ることが正当化できない」という。常連客のほとんどはミレニアル世代だが、それも変わっていくだろうとリューは予想している。
「わが社のTikTokフォロワーを見る限り、まだ18歳になっていないZ世代がたくさんいます」とリューは言う。
「メールで問い合わせてくる親御さんも数え切れないくらいいます。『わが子が18になります。代わりに予約できますか? 最初のタトゥーは一生もののでなくて、ぜひエフェメラルのにしてほしいので』といった感じで」
最終的なゴールは、タトゥーに対する認識を変えることだとリューは言う。肌に永久に彫りつけられた決意というより、移ろいゆくファッションステートメントとしてのボディアートなのだと──。
同社のタトゥーが消えないということはあるのか? リューは言う。
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