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チェコの出版社から絵本のお仕事が来た話

2022年、チェコで4冊の童話絵本を出版しました。日本でも馴染み深い「3匹の子ぶた」や「あかずきん」、「眠れる森の美女」と「ヘンゼルとグレーテル」のボードブックです。

ページごとに違った形で作られたとても素敵な本です。

このお仕事を見た方から、どうやってチェコの出版社と繋がったのですか?と聞かれることがあります。今回は依頼が来た経緯とその後のやり取りについて書きたいと思います。

イラストレーターとして海外の仕事をしてみたい!と考えている方にご覧いただき、すこしでも参考になれば幸いです。


依頼に至るまでの経緯

私とチェコとをつなぐもの、何でしょうか。もともと特別なコネクションがあったわけではありません。

ことの始まりは2020年に東京で開催した個展に遡ります。

浅草にあるチェドックザッカストアというチェコの絵本や雑貨を取り扱うお店の壁面をお借りして開催した展覧会。この時に私はその会場にあわせてチェコをテーマにした作品や、チェコ語を絵の中に入れた作品をたくさん作りました。

過去には観光旅行で訪れたこともある大好きな国で、特に絵本や雑貨などからとても影響を受けおり、我ながら愛に溢れた作品が出来たと自負しています。

そんな展覧会での作品の一部をクリエイターSNS "Behance" にもアップしたのです。

すると、その投稿を見たチェコ在住のデザイナーさんたちからコメントをもらいます。「なぜチェコ語を使っているのですか?」と。

How come that you got to use the czech language here?
Why is it in Czech 😄?

これがもし英語であったなら、このような反応はいただいていなかったでしょう。日本人がなぜチェコ語を作品に入れているのだろう?と、その珍しさから興味を持ってもらったのだと思います。

たしかに、海外のイラストレーターさんの作品をみていて、その中に日本語が入っていたらちょっと気になりますもんね。


出版社からのオファー

それからほどなくして、チェコで最も歴史ある絵本の出版社とも言われるALBATROS(アルバトロス)の編集者からEメールをいただきました。

Behanceの投稿を直接見てくれたのか、デザイナーさんからの紹介なのかは定かではありませんが、チェコ語の作品をきっかけに私のポートフォリオを見て連絡をくれたのでした。

お互いに母国語ではない英語を用いてのやり取りで不安もありましたが、はじめに出版社からはじめに国際郵便で送られてきたこの手作りの指示書(最高)を受け取ったときから、きっといいお仕事になると確信していました。

もうこの時点で十分可愛くないですか?


無事に完成した本を受け取って

本づくりの進め方としては日本国内でのお仕事と差はありません。4冊の本を同時に進める大変さはあったものの、マメに連絡を取り合って無事に完成させることができました。

後日、受け取った本の裏に自分の名前を見たときは、達成感と喜びに包まれたことを覚えています。

依頼から2年後、完成した本を手にしました
Illustroval Shunsuke Satake の文字に感無量
ギリギリの状態になりながら(途中何があったんや)も、荷物を守ってくれたダンボール。


何がきっかけになるかわからない

私がやったことは2つ。

・チェコをテーマにした絵を描いた
・それをBehanceに投稿した

これだけです。英語ではない言語を絵に用いて、たまたま目に止めてもらうことができただけなので、再現性には乏しいかもしれませんが、きっかけとはそういうものなのかもしれません。

今回の件は元を辿れば、その国に興味を持つということ、またその姿勢がお仕事につながったのかもしれません。また、居場所にとらわれずお仕事できる時代や環境に恵まれたことも大いに関係しています。

このお仕事を通じてイラストレーションの持つ力や可能性、ネットを通じて世界はつながっていることを強く実感しました。自分の発信をどこかで誰かが見てくれる、チャンスは意外にすぐそばにあるのかもしれませんね。


その後、この本はチェコ語のみならず英語やスペイン語、イタリア語にも翻訳され、各国へと広がっています。日本でも英語版のみAmazonで購入可能です。

ご興味ございましたらぜひ。


出版社の紹介ページ


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