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伊那市ダブル選用【ファクト考察 人口減少問題とは?①】

新機能を体験も兼ねた久々 note 。
月末にうちの市で市長、市議選がダブルで行われるので、まずは僕の周り(伊那)で使える Fact 考察を。そして、そのテーマから見える「本質」については、他エリアでも活用できるまとめとして書いておきたい。

その最初は、やはり「人口減少とは?」からいきましょう。

☆「自然動態」と「社会動態」という基本

まず僕がこの伊那市に移住をしてきた2014年の伊那市の人口はというと、約6万9千人でした。現在は約6万5千人だから、のべ約4000人(年間約500人)の人口減少を描いているという状況になります。

ここでよく単純に「人口が減ったから問題だ!」としてしまうのはいかにも短絡的。そんな政治家を選んでしまうとあとで痛い目を見ることはいうまでもありません。

この数字をより現実に近づけるためにも「自然動態」と「社会動態」の二つをきちんと見ていかなければいけない。これが手順で鉄則です。

じゃあ「自然動態」って何? と思う人も多いでしょう。これはシンプルに説明すると寿命や事故等で亡くなられた方と赤ちゃんが生まれてきた数字を示すものになります。

そして「社会動態」は、伊那市から転出(ほかの自治体へと移動)した人と他の自治体から伊那市へと転入(引っ越して市民になった)した人の数字を示すものです。

この二つが人口を分析する大事な指標となります。

さて「自然動態」が各地域の高齢化率に左右されることは言うまでもありません。伊那市の人口ボリュームゾーンは、国内のほとんどの自治体と同様に70代以上。僕が来た当時の6万9千人の人口中2万数千人(約35%)がこのゾーンを占めています。

当然、年を経ていけばこのゾーンから寿命を迎えられた方々が数字として反映されていくことになります。伊那市では平成後半くらいから大体、赤ちゃんが生まれる数に対してプラス300~400名の方が天寿を全うされています。なので「自然動態」としては、このペースかそれ以上のペースで人口が数十年以上減少し続けていくことは、誰が行政を担っても変わることはありません。

実際に長野県全体との比較でみても、長野県の令和元年の出生数は13,553人、死亡数は26,041人でおよそ33:67 という比率です。伊那市は出生478人、死亡834人と 36:64 という比率になりますので「自然動態」で健闘している自治体と言えます。

もう一方の「社会動態」ですが、こちらは長野県全体の流れを先にみておくと転入と転出は令和3年が 47:53。僅差の状態が続いています。また長野県の傾向としては24歳以下の転出数が約27%と圧倒的です。ただし、これは大学が首都圏、都市圏に集中しているこの国全体の傾向でもあるので、大きく問題視する必要はないでしょう。

一方で転入者はおそらく皆さんのイメージとは異なっていて、20代が約37%を占めています。つまり実際には若者がそれほど減らないで、長野県内にはいるんですね。

そのうえで、伊那市を見てみると、東日本大震災前が転出のピークになりますが、現在はその数もおよそ半減。転入数もしっかり確保して微減の状態が続いています。

手前みそという感じになってしまいますが、伊那市は地域おこし協力隊導入以降の5年間で転出 -66、-90、-75、-9、-26と「社会動態」のマイナスを100名以下に押さえ込むことに成功していて、これは全国的に見てもとても優秀な結果と言えます(直近は約200名の転出増となっていますが、流行病という社会背景のあるこの2年は、統計的にわけて考える必要もあるでしょう)。

加えて、上記期間における地域おこし協力隊の定住率は国内全自治体でも類を見ない最高数値(伊那市100%・全国平均60~70%)であり、社会動態においても大健闘しているということが言えます。

これらの数字から示すことは、伊那市は「よく頑張った!」ということであって、およそ失政や失策という話では決してないということです。

http://www.inacity.jp/shisei/tokei/toukeisho.files/2021inashitoukeisyo.pdf


☆「ゼロサムゲーム」をやるなという常識

そしてそもそもですが、こちらに移住してからずっと話をしてきているのが、縦割り意識に任せて「ゼロサムゲーム」をやるなということです。

同じ国、同じエリアの中に住む人々の数は限られていて、その人口が例外なく減少している今。「自分さえよければ」と近隣をはじめとした国内の他自治体に宣戦布告をして、人口の奪い合いという戦争を始めても誰も幸せになりません。

ちょっと経済やゲーム理論を学んだ人には明らかなのですが、例えばよりよい条件を示す競争が激化していけば、資本勝負になってしまいます。つまり、この競争がもたらした結果として、もっとも資本のある東京により一極集中が進むという結果にしかなりません。

ですので、前記した「自然動態」「社会動態」すら理解せず、ただ「おれがやったら来年には人口増えるぜ!」なんて具体策やその根拠もなく言っているだけの政治家やその他の人はただの詐欺師です(それか洗脳する宗教家のような人物)。

この日本の国の前提自体が「一億という人口にいかに軟着陸させ、今の生産人口世代がより幸福になれて、出生率1.8という数字をうみだす環境をいかに整えるか」ということですので、自分の自治体の人口頭数だけなんとかして、現状を維持しようという考え方そのものが間違っているのです。

ちなみにですが、歴史的に「自分さえ」というカルチャーで近隣周辺お構いなしにやりたい放題やっては失敗してきたのがロシアという国の独裁者達です。またあるいは、ヒトラーという人もそうでしたね。社会的な不安や揺らぎを利用した独裁者達の「おれが解決!」という甘言にのるといいことはありません。

なので、そういうことはしない。
そういう土俵には乗らない。

それが今の地方創生の大前提ともいえるでしょう。

というわけで、次回に続きます。

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