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防災士コーチの note⑤【ステージチェンジに備えて】

ここまでは高齢化ローカルという新たな現状とその緊急対処として「二次避難」を軸とした予測、展開に関して触れてきました。そして、こちらでの note 掲載から翌々日くらいに国の広報があるという感じでここまで来ていますね。これはドヤ!ではなく、国県もやる方向ややることがもともと見えていたと思いますので、広報においてもあと2日の短縮が出来る余地があるということだと思います。広報においても記事を作り、公開するといった作業ワーカー(戦術人材)だけではなく、そもそもで誰にどんな情報を届けるのか?という部分に鋭敏な戦略人材を求めたいところです。

相対的に災害対応力ある公務員が少ないという根本もありますが、災害関連死の足音はNHK報道からも拡大しつつある今でもあります。この時間勝負が、良い方向へ向かうことを望みたいです。

☆今ゆえに「橋頭堡戦略」を考察する

そしてJRが着々と復旧に向けて進行している明るいニュースも入ってきています。来週以降には七尾駅までの再開も期待されるところで、こうしたインフラの復旧は支援、復興のスピードにも直結します。
 
そこで、ここでは行政サイドが陥りやすい平等という名の不公平、全体不利益へのリスクに関しても触れておきたいと思います。というのも、つい習慣で自治体毎に公平という手順を踏んでしまう。そんな癖が身についているので、全体として時間や生産性という観点でみると実はマイナスだった・ということも、平時からよくある話だからです。
 
例えば、災害現場におけるトリアージでは赤(最優先・重症)、黄色(待機・中等症)、緑(保留・軽傷)、黒(死亡)とカテゴライズされて対応が分かれます。同様に、こうした有事下では、トリアージ的な各被災自治体の状況把握。そして、その状況にあわせた手法が必要になります。

均一ではない、個別最適な支援がディレクションされ、能登半島全体が最速、最適に回復していくことが望まれるわけです。
 
この視点からは、今回のケースでは、東日本大震災で宮城県登米市や岩手県遠野町が支援初期に果たした「橋頭堡」となる自治体を築く設定を考慮しておくことに損はないと考えています。
 
というのも、現状の情報からは、津波と家屋倒壊の被害が甚大な奥能登のエリアと他のエリアに明らかな差異があるということです。この状況下で同じ手法、同じスキームによって能登半島全ての自治体を並行的に回復させていくことには無理があります。

ですので、前記トリアージの観点からも、半島の首にあたる七尾市、羽咋市、志賀町、中能登町の存在が全体回復の鍵を握る・とも考えます。これらの自治体が早期に復旧し、災害支援拠点としてボランティア全体のディレクションを行える中心拠点としてのポジションも担う状態になる。そうであるならば、ボランティアはこれらのエリアから奥能登へと日帰りしながらの支援活動を行うことが出来ます。特に女性ボランティアがDVやハラスメントに巻き込まれないという点。現地にステイさせない、ましてや避難所に宿泊させないといった状況、環境を担保する意味でも、離れた別拠点からの「通い」という手段は極めて有効です。

男女共同参画会議 監視専門調査会
防災・復興ワーキング・グループ(第3回) 追加資料6-2
 
特に七尾市は、そもそも自衛隊の艦艇が着艦し、今もフェリーが接岸して支援を受けている内湾の良港であり、JRのアクセスがありとインフラが整っています。和倉温泉も含めてこうしたボランティアの滞在ベースとなりうる宿泊施設もあることは魅力で、これらは東日本大震災で倒壊を免れた現地宿泊施設等で行われたことでもあります。これも、今回は自腹にさせず、きちんと公費負担で借り上げるような気合いがほしいですね。

当たり前ですが、倒壊を免れた施設や安全なエリアが少ない奥能登の中の限られた場所は、まず地域が優先して使うこと。ボランティアを獲得する為にその場所を手放すようでは本末転倒ですし、この点で、現状で既に入っている災害には必ずいます系のNPO等においても、これまでの経験、成功と意識している体験がひるがえって、状況への適応を欠く要因とならないような注意が必要です。特に頑張っている、貢献しているという自負が傲慢さを生み出すことは、いつも流行病のように生まれているものですから。
 
実際、現状でバックアップがない、仕分けされた支援物資が届くネットワークがないといった支援団体は、遠からず自身が補給線負荷になってくることは明白です。ボランティアが増えればトイレの処理課題だってより深刻になっていきます。その維持の為にまた無差別に支援物資を受け入れ、それを人海戦術で仕分ける。トイレを増設し、給水車を探し求める。そんなループとなる方向性からは、卒業していく段階にあるでしょう。
 
というわけで、半島地形で手前から行くしかないという地勢状況も踏まえ、早いタイミングで奥能登の社協等も入った半島合同ボラセンが七尾市、羽咋市などの中間自治体に出来る。そこへいけば、ボランティアは役割が与えられる。物資もそこへ確実に届く、奥能登へは運べる、受け取れる。

こうした状態目標を定め、その流れが早期に達成できるよう、支援計画がアレンジされていけば・とも思います。今こそ前例事例がないから出来ないではなく、前例事例を作って次に渡すタイミングでもある。そんなところに適正な政治の力が発揮されればと思っています。

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