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さいさんの地方創生 note【能登半島地震が表出させた現在地⑤「縦割り&手作業」の限界】

【天変地異のような不可抗力だから仕方ないので「行政」はやむを得ずやる・ではなく、国民が自助、共助ではどうにもならないこうした事態(有事)だからこそ、主導的責任をもって「公助」を機能させる。そんな行政の在り方になってもらいたいと願いますし、その為に小さくとも「令和型政治」を育んでいかなければいけないのだろう・と感じる次第です】

とした前回のあとで、地域の高校生達と再度、能登半島に向かいました。今回は七尾市の方にコーディネイトして頂き、高校生達に一本杉通りの復興マルシェをお手伝いしてもらうことにしたわけです。
 
そこでの経緯も踏まえ、この回は別記的にいきたいと思います。

ボランティア・テント村(七尾市)

☆縦割りの弊害を打ち砕くには・

今回は画像のテント村に滞在。貴重なゴールデンウィークを支援活動に使う方々でかなりの賑わいとなっていました。高校生達もそこに集う、様々な背景の人たち。いわゆる技術系の方や心理職系の方。看護師を目指す同世代やこうした人々を支える社会福祉協議会の方々等々、社会の多様さや奥深さを覗き見た機会にもなったかと思います。

そこでやはりというか、東日本大震災でも起こっていたことが同じように起こっていることを現場で耳にし、方々と対話をしてきました。

こうした大規模災害では、ボランティアが現場に行くことで、はじめて見つかるニーズがたくさん・という現実があります。しかし、今の日本では「自己責任」という名の教育や社会圧力を受けてしまい、多くの人々が助けを求めることを躊躇してしまう状態になっています。なので、一人で抱え、一人ではどうしようもない現実の前で途方に暮れている人がたくさんいますし、本来はその前提で動く必要があります。

ところが、大規模災害では公助の主体となる現地の公務員達も被災しますし、そもそもで防災関連部署は被災以前から人手不足が指摘されるセクターでもあります。なので、基本的には日本中から職員を派遣してもらい、人員を補います。結果、現地に入り込んでリサーチ出来るところまで手が回りません。僕が東日本大震災でたった一人、ボランティアなのに約70カ所の避難所を巡り続けてニーズを拾い続けることになったのも、こうした行政の手が回らなかった状況の象徴でもあります。

つまり、被災した人が自力で助けを求めなければ「公助」が動かない、動けない。しかし、被災者自身は心理的に「助けを求めにくい」うえ、日常での行政との距離が遠いことから「誰にどう頼んだらいいかわからない」の状況にきわめて陥りやすい・となるわけです。
 
これを助けを求めない「民」の自己責任と切り捨てるのは、いかにも酷と言えるでしょう。

☆ボランティアの選択は・

かくして、少なくないボランティア達は、こうした現地で発見された新たな課題と向き合うことになります。僕自身も東日本大震災では石巻でサインをして床下に潜って泥をかきだしたこともありますし、建築構造を見れる技術職の方と応急的な対応を出来る小さなチームで即応的な動きをしていた・こともあります。こうした状況が、能登半島では未だに続いていたわけです。

そして残念なことに、こうした活動を実行した場合には、災害ボランティアセンターを運営する社会福祉協議会とトラブルになるケースもまたあります。これは内部のマネジメント担当責任者の裁量にもよるのですが、やはり「こちらで把握していない案件に携わるな!」と言われたり、あげく始末書的な話をしてくる人もいて、ボランティア的には面倒でしかないからです。

なので、経験あるボランティア達ほど、こうしたケースでは報告をしないまま、自分が勝手にやった「善意」として納めてしまうケースが多くなります(これら、善意の手を差し伸べたケースは、公の報告書に記載されないものの数多の量になっていると推測されます)。

平時のように社会福祉協議会に報告し、その内部での対応をまって、許可が出るとボランティアが来る(来ないケースも少なくない)かもしれない・・、いつになるかわからない・・という状況の中で、目の前に今、困っている居る人がいる。

ボランティアとして、人としてどんな選択をするのか。こういう時期に、こういう場所へ、身銭をきって善意で来る。そんな人々の選択は目に見えていると・また思うわけです。

☆ICT待ったなしでは?

今回の能登半島地震の場合、受け入れ先の確保が難しい状態にある奥能登方面へこのテント村から向かう人々もいらっしゃいました。そして縦割り行政の仕組みの為に、こうした事前事後の報告や対応はあくまでも現地災害ボランティアセンターにて、口頭と報告書で行わなければいけません。

ですので、遠征組ボランティアの方々は、片道2時間以上をかけてエリア移動をしたうえで、さらにその手続き対応の為に1時間以上を負担することになっているわけです。

この状況は、やはりICTで解決すべきテーマであると考えます。

テント村ではWiFiも充電スポットもあり、これらの報告作業がオンラインで出来るだけでもかなり違います。東日本大震災時とは違い、スターリンクも導入された現在であれば、接続も課題はありません。
 
むしろ能登半島全域のような広域でこうしたニーズマッチングが出来るような仕組みも作れるでしょうし、ボランティアにとっても自分が必要とされる場所や人がわかり、かつ、こうしたボランティアによって発見された新たな被災ニーズがすぐに反映されていくことにもつながるわけです。
 
実際、僕が先月に輪島で活動した履歴は七尾で確認ができませんし、今月の七尾で活動した内容は、例えば来月に珠洲に行ったとしてもやはりそこで確認できないわけです。すべて、同じ手続きを紙で、一からやらなくてはいけないのが「今」です。

どのようなボランティアがどんな活動をどれくらいの頻度で行って、どうなったといった有為なデータベースがどこにも共有蓄積されず、その都度その都度、初めての時と全く変わらない手続きを繰り返す。

本来は、こうしたデータの活用こそ望まれるものです。データがあることで、技術職や心理職といった必要不可欠な方々を能登半島広域で斡旋出来たり、逆に専門職の方が検索で、必要としている方々とのマッチング機会を逃さずに支援できる可能性が高まります。

加えて、このようなICTは大規模災害時においてのみ利用されるものではあってはいけません。日常から、小さな自治体の枠を超えて、広域のエリアで、広域に有意な人材をシェアし、その人材が必要な対価を得られる形をつくることが肝要です。

人口減少社会が避けられない今。
ここ、とても重要なところです。
 
今回のような有事だけではなく、平時においても自治体毎に少ない人手をさらに割って、なおかつ紙ベースで処理を積み上げていくやり方は、時代的にも、現場としても破綻しているといえる状態ではないでしょうか?
 
人にやさしいデジタル化への期待を胸に、続きます!


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