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防犯と護身の階層構造

犯罪から身を守ろうと思ってインターネットを検索すると様々な情報が出てきます。

・とにかく逃げましょう
・防犯ブザーを持ちましょう
・薄暗い道を通らないようにしましょう
・護身術を習って身を守れるようにしましょう

色んな選択肢が出てくるのでどれを選べばいいのか迷うかもしれません。

そもそも私は犯罪から身を守るための色んな選択肢の中から一つを選ぶことは不適切だと考えています。

走りに自信があるから逃げればいいと思っていても、押し倒されて何もできずに被害に遭ってしまうかもしれません。

防犯ブザーがあるから大丈夫と思ってもカバンの取り出しにくいところに入っていたら意味はありません。

護身術を習っているから何かあっても大丈夫と思い、夜に人通りの少ない道を選んでしまっては本末転倒でしょう。

そこで私は犯罪から身を守るために【防犯と護身】を階層構造にして考えることにしました。

それが以下の図です。 

一つずつ私の考えを解説していきます。


・防犯意識

→犯罪者に狙われないようにする意識と普段の行動

これは日常をどのような意識で、どのように過ごすのかに着目しました。

犯罪者がターゲットを選定する際には以下の3つのどれか、または全てが含まれていると考えています。

 ・隙があり、強い抵抗をしない相手であること
 ・脅迫、暴力で制圧可能な相手であること
 ・金品の強奪目的であること
 ・怨恨の解消目的であること

ということはこれを裏返すと

 ・隙がなく、強い抵抗をされる可能性がある
 ・脅迫、暴行をしようとしても撃退される可能性がある
 ・お金を持っていなさそう
 ・憎めない相手である

このように犯罪者に思わせることができればターゲットから外れる可能性が高まるということです。

4つ目の「人間関係」に注目したのは、恨まれた場合にリスク度外視で命を狙ってくる場合があるため、そのリスクをできる限り下げるために含めました。

では私が普段から行なっている具体的な行動は

・駅で電車を待つ際に黄色い線からさらに一歩下がって待ち、電車がホームに入ってくる際には横を見るふりをして背後を確認する(突き落とされることの防止)

・歩道を歩く際は道の真ん中から若干建物側を歩き、カバンは建物側の腕で持つ(ひったくり対策、建物側に寄りすぎると引きずり込まれないようにする)

・家に入る際に周囲を見渡しながら鍵を開け、入ったら素早く鍵をかける(鍵を開ける際に家に押し入られないようにする)

・姿勢を正して猫背にならないようにする(猫背は意思が弱そうに見え狙われやすくなる)

・夜道は自分の背後に足音がしたら振り返って定期的に姿を確認(不意打ちの防止)

・近くをすれ違ってくる人がいたらなるべく距離を取るようにする(すれ違う際の暴行対策)

・外出時は両耳にイヤホンを着けない、つけても片耳のみ(周囲の音が聞こえない状況を防ぐ)

・サンダルや下駄は履かない(走って逃げれるように)

・夜間は人通りの多い、電灯の多い道を使う(明るい場所では犯罪を起こしにくく、人通りが多ければ助けを呼びやすいため)

・エレベーター内ではボタンの近くにいるようにし、壁を背にしてエレベーター内にいる人の姿を視界に入れるようにする(エレベーター内の不意打ち防止)

・恨まれることがないようになるべく敬意を持って他者と接する(相手が何歳であろうとも、どんな人であろうとも)

これらのことを日常の中で意識して行うようにしています。

慣れて自然とできるようになったので習慣にできるかが鍵になってくるでしょう。

犯罪者は犯罪を行うために、なるべく隙のある人間を狙いたいものです。

なので犯罪者に「こいつは隙がなくて狙いにくいし、狙うにしても大きなリスクを負わないといけない」と思わせることが重要です。

・防犯活動

→犯罪に遭わないようにするための特別な行動

防犯グッズの所持・携帯、自宅への防犯設備の設置、動きやすい服装など【防犯のための特別な行動】を防犯活動としました。

防犯グッズで携帯して法律的にも問題のないものは防犯ブザーになるでしょう。

催涙スプレー、スタンガン、警棒、クボタン、タクティカルペン、メリケンサックなどは『携帯すること』は軽犯罪法違反になります。(自宅に置いておく『所持』はOK)

軽犯罪法違反となると拘留(1日以上30日未満、刑事施設に収監される)または科料(1000円以上1万円以下の罰金)が科されます。

その中でも催涙スプレー、スタンガンはかなりグレーゾーンになり、色々調べてみると「警察官による」と書かれていることが多いですね。

これに関してはまた別記事で詳しくお話しします。  

やはり携帯していても問題がない防犯ブザーを持つべきだと私は考えています。

オススメは引っこ抜くだけでブザーが鳴るタイプ。

ボタンを押すタイプだと犯人に奪われる可能性があるからです。

引っこ抜くタイプなら抜いてしまえば鳴り続け容易に止めることはできません。

加えてカバンの奥に入れていたらいざという時に使うことができないため、いつでも使える場所に携帯することが重要です。

自宅の防犯設備の設置は設置に関しては

・人感センサーライト
・防犯カメラ(データをクラウドに共有するものがオススメ)
・庭があるなら防犯砂利
・窓にガラス専用防犯フィルム
・家の鍵、ベランダの鍵を複数設置
・家の鍵をディンプルキー、リモコン式、スマートキーに変更する 

賃貸の場合は大家さんへの確認が必要になりますが、何かしら導入してみるのもいいでしょう。

動きやすい服装に関しては

・走れる履き物であるか
・柔軟性のあるズボンであるか
・手提げバックではなくリュックを使っているか

ということが挙げられます。

私は硬く柔軟性のないジーパンや、下駄などの走りにくい履き物は普段から履かないようにしています。

いざという時に動きが制限されてしまうからです。

手提げではなくリュックを選ぶのは手提げだとひったくりに狙われやすくなりますし、逃げる際に身体のバランスが崩れて走りにくくなります。

私は手提げバックを使う時は車道側に持たない、走ってもそこまでバランスが崩れない重さにするように意識しています。

・護身意識

→犯罪者のターゲットになっても、狙いにくいと思わせる意識と行動

ここで重要なのは不審者や自分をターゲットにしていると思われる相手を早期に発見し、適切な対応をすることです。

防犯意識と護身意識の大きな違いは何かというと、自分がターゲットにされていることを認識しているかどうか。

ここまでの防犯意識・防犯活動をしっかりと行なっていれば、暴力によって制圧可能な自分よりも弱い者をターゲットにした犯罪に遭うことは少なくなります。

しかしそれでも狙ってくる相手がいる場合は、強い執着心や目的意識を持っていると考えられます。

・嫉妬心
・ストーカー
・怨恨の解消
・金品の強奪

論理的に考えればリスクが高く当然やめるところを、リスクを超えても犯行を行うメリットがあるか、感情的になり先のことを考えることができないと犯罪行為をしてしまいます。

金品の強奪に関してはかなりの金額が手に入るならリスクを踏まえた上で犯行に及びます。

こういう者たちは虎視眈々と犯罪行為を実行できる機会を伺っています。

その中で防犯意識のもと、日々注意をしていると

・仕事帰りにふと振り返ると同じような体格の人を毎回見かける

・いつもと同じ時間の電車に乗ると何度も見た顔の人がいて妙に距離が近い

など違和感に気づきやすくなります。

相手の特徴がわかれば、じっと見て「あなたに気づいている」というメッセージを送ることもできますし、早期発見して不意打ちを防止することも可能。

相手はまだ犯罪を実際に犯しているわけではないので警察に相談して捕まえてもらうことはできません。

できて付近のパトロール強化のお願い。

私が警察官時代も「夜間にこの住所近辺のパトロール強化をお願いします」という連絡がきて実際にパトロールをしていました。

犯人を早期に発見し「あなたに気づいている」と思わせることができれば反撃・抵抗を恐れて諦めさせる可能性が増すことでしょう。

犯人を早期発見することができれば犯行を実行しにくい明るく人通りの多い道へ移動したり、すぐに使えるように防犯グッズを準備することも可能です。

そこをさらに突破して犯行に及んできた場合が次の項目です。

・護身術

→実際に襲われた際の戦闘技術の習得

先ほどお話しした強い執着心、怨恨、嫉妬のような強烈な負の感情は理性を麻痺させ、どんなに狙いにくくても何が何でも犯罪行為を実行しようとする場合があります。

または今までの防犯意識、防犯活動、護身意識を一気に飛び越えるのが

「無差別犯罪」「差別意識による暴行傷害」など。 

無差別殺人の場合も犯人によっては抵抗しそうな人、強そうな人を狙わない場合もありますし、近くにいる人を手当たり次第に襲う場合もあります。

差別意識による暴行障害は日本ではあまりないかもしれません。(日本の場合は村八分にして無視する文化)

しかし海外を見ると気に食わないことがあれば暴言・暴力が男女関係なく行われる国もあります。

「イライラしてたし、あのアジア人殴ろ」みたいなことが地域によってはあります。

理不尽な暴力が降りかかった時は何かしらの対処をしなくては被害に遭うだけです。

しかしいきなり「犯人と戦う」という選択をする必要はありません。

それは本当に最後の最後、という認識でいましょう。

私が提案したいことは以下の3つ。

①助けを呼びながら逃げる
②身を守りながら助けを呼ぶ
③命をかけて戦う

この順番に考えること。

③はリスクが高いのでなるべく選びたくないのが本音です。

なので③は最後の最後、逃げられず、助けも来ない状況になった時の選択肢になります。

日本では110番したら警察官(パトカー)が現場に到着するのは平均で8分前後と言われています。

8分前後あれば被害に遭うには十分な時間ではないでしょうか。

実際に私は合気道以外の武道格闘技をされている方と30秒前後で組み手をしますが数回でもかなりの疲労感を感じます。

それを8分間も身を守り続けるのは難しいし、そもそも襲われている中で110番することはできません。

しかも相手は反撃されることでより激昂し、さらにひどい犯罪行為に繋がる可能性もあります。

実際に戦うとなったら身動き取れないように制圧するか、戦意を完全に折るか、戦闘不能にするか。

戦意を完全に折る・戦闘不能にするとなると過剰防衛を覚悟することになりますし、制圧はかなりの実力差がないと難しい。

普段から強度を高めた稽古を行う必要がありますし、習得するまでに時間もかかります。

私はよく合気道技での制圧訓練をする際は、技をかけられてから制圧されるまでの間に全力で逃げる、ということをしていました。

地面を這って逃れようとしたり、転がろうとしたり、とにかく暴れ回る相手を制圧することになるのでかなりいい練習になりましたね。

また今度企画しようかな。

こういう訓練をしっかり積み重ねても実際に実行するとなると難易度が跳ね上がります。

襲われて押し倒された時に即座に相手の急所に攻撃するなんてかなりの訓練が必要です。

その準備が全てできるまで襲わないでくださいとも言えません。

なので「③命をかけて戦う」は最後の選択肢です。

①助けを呼びながら逃げる

この時は防犯ブザーを持っているなら鳴らし続けます。

現代人はそんなに大きい声を出すことに慣れていないことに加え、襲われたという緊張下であることも相まって、大きな声を出すことができない可能性があります。

大声を出すことも訓練が必要です。

なので防犯ブザーを鳴らすことは有効な初期対応になります。

軽犯罪法に引っかかる可能性のある防犯スプレーをもし持っていたら使用しましょう。

自分が風下にいる場合はご自身にかかってしまうのでそこは注意が必要です。

防犯ブザーを鳴らし続けながら走れるのなら逃げます。

ある統計で犯人は20m以上走って逃げられた場合に諦めることが多いというデータもあります。(電信柱の間の距離)

逃げれたら即110番して犯人の特徴を伝えます。

しかし走って逃げれない場合もあります。

・走ることに不適切な履き物(サンダル、下駄、ヒール)
・怪我をしていて走れない
・走りが苦手で20mも走って逃げきれない

そうなると次の選択肢は

②身を守りながら助けを呼ぶ

防犯ブザーは鳴らし続ける、かつ大声で助けを呼ぶことが大きな目的です。

逃げることができない場合は防御に徹します。

一番怖いのは下手に攻撃しようとして腕を掴まれて引きずり倒されたり、殴られて転んでしまうことです。

体格差や筋力差がある状態で掴まれたり、腰に組みつかれることは大きなリスクです。

なので基本的には相手と一定の距離を取ります。

格闘技でいうステップを使い掴まれないように動いたり、掴まれても護身術の要領で外したり、バックステップを使って間合いを維持します。

腕を掴まれた時の重要なポイントですが、姿勢を崩さないようにしましょう。

腕を掴まれて相手から距離を取ろうと腰が引けてしまうと弱い姿勢になってしまい、簡単に相手を引き摺り込むことができます。

時間を稼ぎつつ助けを呼び、人通りの多い道まで少しずつ移動できればなおいいです。

③命をかけて戦う

これは色んな方が護身術の解説動画を作ってくれているので詳しい技術に関しては割愛します。

私がここで解説するのは「心構え」です。

その心構えとは

「他者を傷つける覚悟を持てるか」
「自分が逮捕される可能性を許容できるか」

この二つだと考えています。

もちろん最初から「逮捕されてもいいから徹底的にやってやる!」と思って戦うというわけではありません。

問題なのは躊躇して対応が遅れることです。

この心構えができていないと躊躇してしまい動きに迷いが出て被害がひどくなる可能性があります。

私が大学の合気道部にOBとして稽古に参加した際に、護身術として実戦で合気道を使いたいのならこの【他者を傷つける覚悟】を持つように指導しています。

実際、合気道の稽古で「正面突き」に対する技をする際に、私があえて正面突きを避けないと学生さんたちは自然と拳を逸らしてしまうのです。

学生さんに聞くと「人を殴ったことがないので怖くて突けない」とのこと。

「相手に怪我をさせたらどうしよう」と思ってしまい、全ての技が中途半端になっていました。

技をかける側も「怪我をさせるのではないか」と思ってふわっと技をかけ、技をかけられた側も空気を察して受け身を取る、という状況です。

そこで私は実際にかかる技を習得したいという学生さんたちに対して、私のお腹を出来る限り強く殴らせました(ここで動画でYouTubeで身につけた脱力が活きるとき)

何回か殴っていくとコツを掴んできて、だんだんと躊躇しなくなってきます。

躊躇なく殴れるようになってきたら当たってから寸止めする練習をしていきます。

躊躇なくある程度自信を持って殴れるし、当たっても止められるとわかっている状態にするのです。

その状態で「正面突き自由技」を行うと、殴る側が本気で当ててくるのでいい緊張感を持った稽古になります。

これが他の合気道技全体の技の質に直結してきます。

「この技は本気でやれば頭から落として仕留められるけど、このタイミングで寸止めすれば安全に受け身を取れる」

という境界線が明らかになってきます。

「他者を傷つける覚悟」を持たないとこの境界線がずっと曖昧な状態で稽古をすることになります。

その状態でいきなり路上で襲われた時に対応するのは無理があるのではないでしょうか。

というより私はおそらくテンパってしまい、適切に対応することはできないと思います。

なので実際に襲われても自分の身を守りたいのなら「他者を傷つける覚悟」を持つこと、それを持つための訓練が必要だと考えています。

二つ目の「自分が逮捕される可能性を許容できるか」も一つ目と直結しています。

正当防衛とされるか、過剰防衛とされるか。

この境界線が曖昧だとどこまで反撃してもいいのかがわからず、迷いを生み出し動き出しが遅れます。

そうすると最初から「逮捕される覚悟」を持って反撃しなくてはなりませんが、いきなりそれを持つのはハードルが高いのではないでしょうか。

もちろん自分や大切な人の命が危ない緊急事態の時に「正当防衛か過剰防衛か」なんて考えている暇はないでしょう。

しかし最低限の境界線を知っておくだけでも実際に犯罪の被害に遭いそうになったときに適切な対応を取れる可能性も高くなります。

「正当防衛と過剰防衛」に関してはまた別記事で詳しく説明していきます。

その境界線を知った上で「逮捕される可能性もあるが、身も守るためは仕方ない」と思えるかどうか。

実際の犯罪現場では刻々と状況が変化します。

最初はただ絡まれているだけの状況からあっという間に状況が変わり、激昂した相手がナイフを取り出すかもしれません。

なので「反撃して逮捕される可能性」を常に考えておくことでより良い初動対応ができるのではないでしょうか。

おわりに

以上が私の考案した「防犯・護身の階層構造」の詳しい解説でした。

これが私の考える防犯、護身のための基本事項です。

日本の現状の治安は世界的に見てもかなりいいですが、今後は移民や円安で多様な人種民族が入ってきます。

ということは日本の治安は世界の平均に近づいていきます。

つまり自分の身は自分で守れるようにしていく必要があるでしょう。

今はちょうど転換点。変化はこれからどんどん起きてくるでしょうね。

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