見出し画像

護身術を気軽に習うことの危険性

私のしている合気道の流派の一つに独特な稽古方法があります。

それは「合気道の乱取り」とでも言いましょうか。

とはいっても柔道の乱取りとはかなり毛色が異なります。

私の場合は「流れ」を非常に重要視して行います。

近間からお互いに「流れ」を合わせていき、その「流れ」を途切れないようにお互いに技を自由に掛け合っていきます。

その時に強引に技をかけようとするとその「流れ」が途切れてしまうので、相手は違和感を覚えて反発したり、脱力して捌いたり。

気づかれて対応されてしまうということですね。

では。

「強引に技をかけようとしている時」

とはどんな状態なのか、が重要になってきます。

さらに言えば強引な動きになる時の「精神状態」はどうなっているのか。

これは技をかけられている側は何となく分かるから面白いもの。

・「投げてやろう!」という意図が強い
・「ぶっ倒してやる!」という強い敵意
・「早く技をかけなきゃ!」という焦り

この中で相手の「敵意」を受け止めてしまうと、敵意で返すか、防御反応で体が硬直したりと。

硬直したら「力と力」とのぶつかり合いになるし、硬直しているので相手からしたら倒しやすい状態でもあります。

これは俗に言う「身体能力」が物言う世界。 

護身術を気軽に習うことに私はあまり賛成ではないのですが、その理由がこれです。

いくら多くの技を習って道場で使いこなせるようになっても、実際の「敵意」を向けられると体は自然と硬直する仕組みなのです。

私も警察官時代、交番に配属されたときにある経験をしました。

交番で来所した年配の方とお話をしていたら急に激昂して私の胸ぐらを掴み、交番の壁に叩きつけようとしてきたのです。

私ができたのは押してきた力に逆らわず下がることで壁に叩きつけられる衝撃を緩和するぐらい。

その後は体が硬直し先輩が間に入ってくれて場が収まりました。

23歳の頃ですね。

散々大学時代に組手をしたり、警察学校で厳しい訓練をしてきても本当の「敵意」を向けられると体が萎縮するものだと実感しました。

だから私も稽古会では「敵意・害意」を持って仕掛ける練習もします。

本当に体が硬直するんですよね。

「敵意・害意」を受け流せるようになること。

護身術を本当に活かしたいならここまでしっかりと身につけていきたいですね。

それをしないで「私は護身術を教えてもらったから大丈夫!」と思うと本来なら遭わなかった被害に遭ってしまうかもしれません。

ではでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?