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上海でバーチャルアイドルのライブを観ながら、次世代での戦い方を考えてみた【後編】

こちらの記事の後編です!
前編ではライブ体験を概説したら思いの外長くなってしまったので、前後半にさせていただきました。

後半ではさらに話を進めて、ライブ体験やその前後日程みた中国の現状から感じたことをまとめてみます。文化比較的に迫りたいと思いつつ定性かつ雑主観もありますが、最終的には

■ かの国の文化から学べるところ
■ ひいては相対的な視点から日本のもつ可能性

を照らし出せればいいなと思っています。

アリババがある杭州も行ったよ!今回の旅程まとめ

前提として、今回の旅程をざっくり振り返ると下記のような感じでした。
現地の大小企業とのディスカッション、エンタメ体験、複数都市をみたりと割と充実した旅程でした。

Day1:上海入り → 現地のメイカーズ系スタートアップ(以下、SU)訪問 → メイカー系シェアオフィス見学 → 一緒に夕飯
Day2:IPを中国展開するSU訪問 →(日本で京アニの事件があり遠隔からできることないかとネットで試行錯誤)→ 現地のローカルなお店で夕飯
Day3:午前は作業 → 午後はビリビリライブ → 会場近くで反省会しつつ夕飯
Day4:現地企業で働く方とランチ → 案内してもらって人民公園と現地ゲーセンを散策 → AR事業仕込み中の方と夕飯
Day5:現地UXコンサルの方とランチ → 中国の先端ショッピングモール散策 → 杭州へ新幹線で移動 → 夕ご飯@杭州 → アリババのロボットホテル宿泊
Day6:アリペイMTG → アリペイの歴史記念スペース見学 → 西湖観光 → 上海戻ってグローバルで投資されている方と夕飯
Day7:ペット系SU上海責任者の方 → 帰国

良かったのは、旅程がビジネス!スタートアップ!のみにならず、現地の文化や空気を見れた機会があったこと。
おかげで色々柔らかいことも考える機会になり、執筆のきっかけとなりました。

基本的に僕はでかい主語苦手だし、正確に議論するならば「国」のみでなく「特定の人の層」をも考慮するのがベターだと思います。
しかしその区切りまで立ち入るとどうしても話が混濁すること、また一定目立つ「層」がどこなのか、ということも全体感を捉える上でよいスタディになると思うので勢いで3つの角度から迫ってみます。

【1】 実利と、非実利

勝つことへの執念と競争の国、中国

中国において様々な経済活動を観察してまず思ったのは、この国は「実利」があることについての嗅覚と判断力が優れていること。
そもそも今回の旅は「Bilibili Macro Link 2019」という、バーチャルアイドルのライブに参加することが目的だったのですが、その運営をみても実利的な強みの片鱗を感じました。

これは前半の記事にも書いたのですが、当のライブでは盛り上がる後半パートがほとんどが日本発のキャラクターで構成されていました。
尺の関係もあるでしょうが、日本のキャラクターは「中国語で最低限の自己紹介→すぐ歌を日本語で歌って終了」というものが多く、パフォーマンスとしてはもの足りないなと思う瞬間もありました。一方でそれでも日本発のIPを終盤でガンガン使うというのは興味深かったです。
そもそもビリビリには公式キャラクターがいて、彼女達も歌っているにもかかわらずこの構成にしてくるわけで、「何が何でもビジネスを成功させるぞ」という執念すら感じてしまいました。

22, 33ちゃん達は実は2010年から存在して、出自もビリビリ動画内でのイラスト人気投票で選ばれている、という正統っぷりです。

他にも、類似企業が70社以上も生まれては消えていった「自転車シェアリング」、無印に激似と話題になった「メイソウ」も、基本的にはビジネスとして勝つというゴールを主眼におきパクリといわれようと立ち上げきるというのは魂が強いなと感じます。

無駄とホビーの国、日本

翻って日本について話している際に頻出した興味深いワードが「ホビー文化」でした。

改めて眺めてみると日本はとても「ホビー文化」が豊かな国だと思います。
ミニ四駆、トレカ、電子工作、釣りなどなど。仕事になるわけでもないのに、ユーキャンで「ねこの描き方講座」なるものまで存在しますw

引用元:ユーキャン様 https://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/1437/

他にも、ニコニコ動画には昔から「才能の無駄遣い」というタグがあるんですが、これは「才能あるのにこんなところで発揮しても一銭ならねーよwワロタwwでもお前すげぇなww」といった感じの圧倒的褒め言葉です。

こういうの含め日本では「非実理的だからこそ面白い」といった自虐受けのパーソナリティが育まれているのかなと思います。
京アニがその類稀なる技術力を突き詰めた結果、現実とみまごうようような背景を描いてしまうのとかもこれかなと。

人を雇って作品で回収するという経営者観点からすると、このクオリティまで突き詰めるのって全くもって意味不明なはずなんですよね。しかしそれをやり切り、その結果それが「意味」に転化する。そこに痺れる憧れる、という人がでてくる。
まさにこれは今の日本文化が有している真骨頂なのではないのかな、と日々感じています。
とにかく非実利、非生産的。でも楽しんじゃおう!みたいな空気。けいおん!の歌詞にでてきそうですね。

バーチャルアバターの生まれと成り立ちの歴史、とかはこの記事では触れません。が、バーチャルアイドルも原初は儲かるビジョンがゼロの時代における、ミクミクダンスとかに歴史が紐づくんじゃないかなと思います。

今回のビリビリライブでは、1万人前後の観客が一人〜1万円ほどを払っていたりするので、少なくとも1億円超のお金が動いているわけで。
ある意味、経済的に均衡にいたる前から先鋭的な愛をもってそこに集中できる気質というのは、実は大事にすべき特質性なのではないかなと思うのです。

【2】 投資と、消費

国営放送で毎週起業家番組が流れる国、中国

とにかく中国においては、少なくとも今は「投資をすること」へのポジティブさが蔓延しているように見えます。
これを考えたきっかけは、雑談の中で「中国の政府系組織が想像以上にVC投資をしている」と知ったことから。

例を挙げればキリがないですが「2019年に北京市が後ろ盾となりVCが1500億レイズ」したり、「2016年には3兆円をテクノロジー投資するための政府系ファンド」をやるぞという動きがあったりします。

またテレビ番組では、毎週60分の尺で起業家をフィーチャーする番組をやっているようです。

この番組では、ときには失敗した起業家もヒーローのように称える会もあるらしく、またなんとこれをやっているのは中国最大のテレビ局であるCCTVだというから驚きです。。日本でいうとイメージNHKですからね。
こうみるとやはり投資文化への後押し強いのではないかなと感じてしまいます。

このクリエイティブは強いですよね。
引用元:https://wapbaike.baidu.com/item/创业英雄汇/9667604?ms=1&rid=7402292627050749077

面白いものには金を惜しまない国、日本

他方で日本は、豊かな消費をしてくれる顧客を抱える珍しい国だと思います。
上記で触れたホビーの話を、顧客側からみた説明になるかもしれませんが、日本は面白いこと自体にお金を払う人が多くいる稀有な国だと思います。

例えば、人口規模にしては圧倒的にVRデバイスが売れてたりする、というのもこういう性格の事象なのではないかなと思います。
またそれに紐付きますが、某VRライブやってる起業家の方曰く、自宅でヘッドセットを被って楽しむ有料VRライブにガンガンお金を払うことが根付き始めているのも今は日本が走りらしいです。

もちろんここで語ったことは、国における経済の成長フェーズにも起因していると思います。すなわち中国は成長するだろうという前提だからこそ、雑に言うと損して得取れという、中期以上の投資ができる面もあることは念頭に入れねばなりません。鶏卵問題ですが、国としての経済成長は大事ですね。

【3】 柔軟性と、予見性

フレキシブルさをとにかく大事にする国、中国

中国では人々が「フレキシブルさ」が圧倒的に大事にするんだよ、というのを聞いて割とびっくりしました。

例えばビジネスのアポだとしても、中国では2週間以上先のスケジュールは決めたくないというのが顕著らしいです。
もちろん欧米との仕事が中心な人はこの限りではないとのことだったのですが、少なくとも今回訪問したアリババグループの方とアポを取ってもらう過程はまさにこれが垣間見えました。
具体的にはこんな感じ↓

■ 2週間前に「今度中国行こうと思ってるんだ」と頭出しの声掛け
■ その後返信に応じて日付をざっくり決め
当日「これから向かうよ〜」→「大体この時間くらいに着くよ!」と連絡
着く直前に「何時に着くよ!どこにいればいい?」と最終確定

正直僕らの普段の感覚からするとありえない!笑

ちなみに、なんとなく皆そんな感じなのかな、と思った背景として「アリババ」や「テンセント」といったメジャーな事業者においても推しのカレンダーサービスがないらしい。
これはとても意外だったので、サービスから照らして文化における優先度を感じるにはいい事例になりました。

計画的であるが安心につながる国、日本

日本については詳説するまでもないかもしれませんが、上記とは結構文化が異なりますよね。
忙しい方だとむしろ予定を早く決めておく、人によっては1,2週間後の予定のみを出すのが失礼にあたることもあると思います。

これはビジネスの計画についてもそうで、自身でも会社が拡大するにつれて大きな会社と取引が増え、そこでは「より未来に対して計画的にありたい」という意識が強いのだろうと感じました。
ちょっと詳しい人に意見ほしいのですが、上場企業において「3カ年計画」をバシッと出している企業の割合が違うとかあったら面白いですね。

こういった文化における優先順位は、国として成長期に何が主たる産業だったかなどが影響していそうでかなり興味深い論点だなと思います。

=====

「実利・投資・柔軟」は21世紀の最適戦略

今回の旅を通じて感じた中国の特質性は、実利的かつ投資型の思考でもってフレキシブルであるということでした。
一歩引いて眺めてみると、実はこれはまさに今の世界が経済を成長させるために求めている要素なんじゃないかな、という直感をもちました。

一例ですが、今まさに経済を支える「オンデマンドエコノミー」とかはこれらの性質が根付いていると圧倒的に有利だと思います。

顧客が「今コーヒー飲みたい」と思い、
カフェから「今このコーヒー運んでほしい」という需要が生まれ、
そこに「今この瞬間仕事をしたい」という労働者のニーズが合致する。
まさに「実利・投資・柔軟」な前提において、より社会の財が効率的に活用されるということが起きているのが、今の中国なのではないかなと思います。

OMOで有名なアリババグループのスーパーブランド「フーマー」の裏口で配送を待つ配達員の人たち。山積みになるシェア自転車が積み上がる隣にいるのが、深い何かを感じさせますね。

そしてこれは「国策として日本頑張ろうな!」という話だけでは必ずしもなく、これからの時代における「個人の生存戦略」としても常に頭にこびりつかせておくべき概念なんだろうと思います。

じゃあ日本における、21世紀の“生存”戦略は?

「実利・投資・柔軟」が最適戦略だとした時に、じゃあ皆がそうなるべきか/なれるかと問われれば、必ずしもそうではないと思います。
また私個人としても、日本社会への悲観論をしたくて文章を書いているわけではなく、むしろ未来への処方箋は何かということを探り当てるために書いているつもりです。
そういう意味で今回の旅を俯瞰してみて、簡単ですが2つほど書いてまとめに代えたいと思います。

■ 無駄とクリエイティブを突き詰める

今回ビリビリのライブをきっかけとして考え始めて思ったのは、日本における消費文化の奥深さと豊かさというのはもっと評価されるべき余地があるだろう、ということでした。
実利がないにもかかわらず支持されて残る、ましてやお金が払われるということは裏を返せば「意味がある」ということに他ならない。山口周さんが言う「意味の戦い」に近い話だと思っていて、ここには光明がありそうです。

最近目にしてビビッときたのは、元Wired編集長の若林さんが紹介していたマクルーハンの「機能するということは、時代遅れだということだ」という言葉。まさに日本は時代の先鋭を作れる文化をもっていて、僕はそれを誇りに思っています。

■ 国境を越えた適材適所を推進する

意味があるといっても、その要素をもっているだけだと経済的には勝てないのが悩ましいところです。
もちろんニコニコ対ビリビリのような人口の影響が大きい部分もありますが、それ以外の視点からできることでいえば、「国を超えた分業化」をもっと意識的にやるということに尽きるかなと思います。簡単に言えば、得意で付加価値が高いところにフォーカスして外貨を稼ぎませんか?という提案です。

この前知って面白かったのはとあるものづくりをしている会社で、デザインはヨーロッパで行い、プロトタイプは深センで製造、大量生産は鴻海(台湾)だったかを活用して、最終的には世界中に販売!というのをやってると。
つまり世界中を拠点に見立てて、一番得意なところで得意なことだけをやる。こういう考え方で国としても特異性のあるところに集中してもいいのかもしれないなと思いました。

おわりに

ビリビリライブにおいてアンコール演奏中、隣にいた中国人のガチ勢がカタコトの日本語で

「ミクさぁ〜〜〜ん、アリガトォォォ〜〜」。゚(゚´Д`゚)゚。

って叫んでたんですよね。それをみて思わず、愛と涙腺が緩むのを感じて、本当に凄いなと思ったので今回は筆をとりました。

加えて実はもう一つの動機としては、上海にいる間に起きた京アニの痛ましい事件が根底にあったりします。

僕は高校生くらいから、日本が誇るああいったコンテンツに色々情緒面を育てられたと思っています。そういう意味では本件は衝撃的すぎて、上海のホテルにおいてニュースを知ったときはその場にいた友人と何かができないかと、イラストチャリティの企画と簡易LPを作ったりしていました。
最終的にそれ自体は諸所の事情からペンドにしたのですが、あの「剣による文化への挑戦」に対して、どうにか「ペンで反撃」できないかとか思ったのです。

これで記事は閉じますが、隣にある大国から学べるところは学び、今の日本にある文化の良い部分はきちんと再発見する、そんなきっかけの一端が作れないかとものを書いてみました。
少しでも誰かの役に立てば幸いです!おしまい

〜〜〜
今後も色んな国に足を運ぼうとは思っているので「こういう国の、これ面白そうで見てきて欲しい!」というのがあれば是非コメント待ってます。
ビビッとくるものがあれば足運んでみます😇


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