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アカデミー作品賞、個人的ランキング③(70位~61位)

みなさんこんばんは。
今回は70~61位をご紹介したいと思います。

70位 『カヴァルケード』(第6回・1933年)

4ノミネート・3受賞
受賞
: 作品賞、監督賞、美術賞
ノミネート : 主演女優賞(ダイアナ・ウィンヤード)

他のノミネート作品
『四十二番街』(2ノミネート、0受賞)
『戦場よさらば』(4ノミネート、2受賞)
『仮面の米国』(3ノミネート、0受賞)
『一日だけの淑女』(4ノミネート、0受賞)
『若草物語』(3ノミネート、1受賞)
『ヘンリー八世の私生活』(2ノミネート、1受賞)
『わたしは別よ』(1ノミネート、0受賞)
『永遠に微笑む』(1ノミネート、0受賞)
『あめりか祭』(2ノミネート、0受賞)

 ロングランした舞台劇の映画化作品で、第一次大戦を挟んだ中流家庭の一代記的な内容です。
 この回では新たに助監督賞が新設されましたが、第10回を最後に廃止されました。確かに助監督の役割って大事だとは思いますが映画を観ていて分かることではないですよね。
 これはなかなかに見応えがありました。ありきたりな内容ではあるんですが、戦争や様々なトラブルを乗り越えていく一家に感情移入し観ることができました。一代記だけあって予算もそれなりにかかっているとみえ、美術や衣装もよかったです。

69位 『ノーカントリー』(第80回・2007年)

8ノミネート・4受賞
受賞
: 作品賞、監督賞、助演男優賞(ハビエル・バルデム)、脚色賞
ノミネート : 撮影賞、編集賞、録音賞、音響編集賞

他のノミネート作品
『つぐない』(7ノミネート、1受賞)
『フィクサー』(7ノミネート、1受賞)
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(8ノミネート、2受賞)
『JUNO / ジュノ』(4ノミネート、1受賞)

 この回は特筆すべきこともないですが、ケイト・ブランシェットが『エリザベス ゴールデンエイジ』で主演、『アイム・ノット・ゼア』で助演にWノミネートされました。また『魔法にかけられて』が歌曲賞で3ノミネート(「歌ってお仕事」「そばにいて」「想いを伝えて」)されました。日本関係だとメイク部門で辻一弘が『マッド・ファット・ワイフ』でノミネート、外国語映画賞では浅野忠信主演のカザフスタン映画『モンゴル』がノミネートされました。
 さて本作ですが、とにかくハビエル・バルデムが凄い!というのは間違いないでしょう。これほど納得の助演男優賞もなかなかない。暴力の権化とも言うべき新たな悪役像を創出してみせたという意味で素晴らしい。
 しかしそれ以外は特に心に残るシーンも展開もなかったという印象です。もちろんクオリティは高いですが、そこまで好きではないなというのが感想です。

68位 『我が道を往く』(第17回・1944年)

10ノミネート・7受賞
受賞
: 作品賞、監督賞、主演男優賞(ビング・クロスビー)、助演男優賞(バリー・フィッツジェラルド)、脚色賞、原案賞、歌曲賞(「星にスイング」)
ノミネート : 主演男優賞(バリー・フィッツジェラルド)、撮影賞(白黒)、編集賞

他のノミネート作品
『深夜の告白』(7ノミネート、0受賞)
『ガス燈』(7ノミネート、2受賞)
『君去りし後』(9ノミネート、1受賞)
『ウィルソン』(10ノミネート、5受賞)

 この回では第4回ぶりに作品賞枠が10枠から5枠に戻りました。本作が主要部門を独占し最多の7部門で受賞しました。主人公の先輩神父を演じたバリー・フィッツジェラルドは主演男優賞と助演男優賞で同時ノミネートされるという珍事が起きています。これは他に例がないのではないでしょうか?
 広い意味で言えばハートウォーミングなホームドラマです。と言ってもこの場合の「ホーム」は「家庭」ではなく「教会、教区」ですが。ビング・クロスビーの軽妙な演技もさることながら、Wノミネートされたバリー・フィッツジェラルドの演技が本当に良くて、なるほどこれは主演でもノミネートしたくなるわと納得でした。
 この作品はヒットして、続編である『聖メリーの鐘』がビング・クロスビーとイングリッド・バーグマン主演で製作され、そちらも作品賞にノミネートされました。

67位 『グランド・ホテル』(第5回・1932年)

1ノミネート・1受賞
受賞
: 作品賞
ノミネート : なし

他のノミネート作品
『人類の戦士』(4ノミネート、0受賞)
『バッド・ガール』(3ノミネート、2受賞)
『チャンプ』(4ノミネート、2受賞)
『特輯社会面』(1ノミネート、0受賞)
『君とひととき』(1ノミネート、0受賞)
『上海特急』(3ノミネート、0受賞)
『陽気な中尉さん』(1ノミネート、、0受賞)

 これは作品賞のみにノミネートされて作品賞だけとったという異例の作品です。今では様々な人物が同じ場所に集まった群像劇を「グランド・ホテル形式」と呼ぶほど基礎になった作品です。
 豪華キャストが見もので、グレタ・ガルボ、ジョーン・クロフォード、ジョン・バリモア、ウォーレス・ビアリーといったキャストが名を連ねています。 
 群像劇を見事にまとめあげた脚本、演出は実に巧みで、それでいてスター映画でもあるというのが素晴らしいですね。そこまで特徴的な何かがあるわけではないですが、クラシック映画として十分に面白いです。

66位 『西部戦線異状なし』(第3回・1930年)

4ノミネート・2受賞
受賞
: 作品賞、監督賞
ノミネート : 脚本賞、撮影賞

他のノミネート作品
『ビッグ・ハウス』(4ノミネート、2受賞)
『Disraeli』(3ノミネート、1受賞)
『結婚双紙』(3ノミネート、1受賞)
『ラヴ・パレイド』(6ノミネート、0受賞)

 何度も言ってることですが、個人的に戦争映画があまり好きではない、というかどれも同じに見えて本作のこともあまり覚えていないんですよね。
 端正につくられた秀作であることは間違いなく、戦争の悲惨さをはっきりと描いた反戦映画としてもレベルが高いと思います。

65位 『つばさ』(第1回・1927年)

2ノミネート・2受賞
受賞
: 作品賞、技術効果賞
ノミネート : なし

他のノミネート作品
『暴力団』(1ノミネート、0受賞)
『第七天国』(5ノミネート、3受賞)

 記念すべき第一回アカデミー作品賞!(意図的にサイレントにした『アーティスト』を除けば)唯一のサイレント映画です。
 今までも散々言ってきたことですが、僕はあまり戦争映画が好きではなく、本作もそんなに好きにはなれませんでした。
 ただ空撮に迫力があり、下手したら最近のB級戦争映画よりカッコいいかもしれません。またヒロインを演じたクララ・ボウという女優さんが可愛すぎる!クルクルと変わる表情にむくれたようなふくれっ面が似合うキュートな女優さんですごく好きです。

64位 『ロッキー』(第49回・1976年)

10ノミネート・3受賞
受賞
: 作品賞、監督賞、編集賞
ノミネート : 主演男優賞(シルヴェスター・スタローン)、主演女優賞(タリア・シャイア)、助演男優賞(バート・ヤング)、脚本賞、歌曲賞(「ロッキーのテーマ」)、録音賞

他のノミネート作品
『大統領の陰謀』(8ノミネート、4受賞)
『ネットワーク』(10ノミネート、4受賞)
『タクシードライバー』(4ノミネート、0受賞)
『ウディ・ガスリー / わが心のふるさと』(6ノミネート、2受賞)

 この回はとてもハイレベルと言われていて、パルムドールをとったスコセッシの傑作『タクシードライバー』、社会派サスペンスの傑作『大統領の陰謀』『ネットワーク』といずれも映画史に名を残す作品ばかりです。
 本作ももちろんボクシング映画の名作とされていますが、『タクシードライバー』を負かすほどだったか?というのは今も言われていますね。
 僕も同じ意見で、本作はシルヴェスター・スタローンの演技や脚本は素晴らしいと思うのですが、演出が平板に感じられそんなに感動できませんでした
 ただ近年になってつくられた『クリード』二作に関しては素晴らしい続編だと思いました。

63位 『スティング』(第46回・1973年)

10ノミネート・7受賞
受賞
: 作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、編曲賞
ノミネート : 主演男優賞(ロバート・レッドフォード)、撮影賞、録音賞

他のノミネート作品
『エクソシスト』(10ノミネート、2受賞)
『叫びとささやき』(5ノミネート、1受賞)
『アメリカン・グラフィティ』(5ノミネート、0受賞)
『ウィークエンド・ラブ』(5ノミネート、1受賞)

 『エクソシスト』って本作と並んで10もノミネートされてるんですね…知らなかった…!
 本作はコンゲーム(集団詐欺)ものの名作とされていますが、僕としてはそんなに凄いとは思いませんでした。
 面白いんだけど、これだったら何でも言えるんじゃ?という疑問がありました。『オーシャンズ』シリーズにも感じることですが。

62位 『アニー・ホール』(第50回・1977年)

5ノミネート・4受賞
受賞
: 作品賞、監督賞、主演女優賞(ダイアン・キートン)、脚本賞
ノミネート : 主演男優賞(ウディ・アレン)

他のノミネート作品
『グッバイガール』(5ノミネート、1受賞)
『ジュリア』(11ノミネート、3受賞)
『スター・ウォーズ』(10ノミネート、7受賞)
『愛と喝采の日々』(11ノミネート、0受賞)

 この回は『スター・ウォーズ』が技術賞を席巻しました。また『愛と喝采の日々』は11ノミネートながら1部門も受賞できませんでした。これは無冠の最多ノミネート作品として『カラーパープル』と並ぶ(不名誉な)記録です。
 さて本作ですが、そもそもウディ・アレン作品があまり好きではないというのが一つあるでしょう。
 ダイアン・キートンは主演女優賞も納得の堂々とした存在感で素晴らしいですね。パンツルックがカッコいいですよね。
 でもやはりよくできたラブコメの小品という域を脱していないし、いつものウディ・アレンだなという感じでそんなに突出した魅力を感じませんでした。

61位 『グリーンブック』(第91回・2018年)

5ノミネート・3受賞
受賞
: 作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚本賞
ノミネート : 主演男優賞(ヴィゴ・モーテンセン)、編集賞

他のノミネート作品
『ブラックパンサー』(7ノミネート、3受賞)
『ブラック・クランズマン』(6ノミネート、1受賞)
『ボヘミアン・ラプソディ』(5ノミネート、4受賞)
『女王陛下のお気に入り』(10ノミネート、1受賞)
『ROMA/ローマ』(10ノミネート、3受賞)
『アリー/ スター誕生』(8ノミネート、1受賞)
『バイス』(8ノミネート、1受賞)

 この年は作品賞ノミネート作品が全て1部門以上受賞しました。
 また個人的には、すごく好きな作品と嫌いな作品の両極端がある年です。前者は『女王陛下のお気に入り』『アリー / スター誕生』『ROMA / ローマ』、後者は『ボヘミアン・ラプソディ』という感じ。
 その中で本作はどちらでもないですね。好きでもないし嫌いでもない。マハーシャラ・アリの演技は素晴らしいと思いましたが、期待が少し大きすぎたのでしょう。すごく泣くつもりで観に行ったのですがそんなに心動かされることなく観終わってしまいました。
 

ということで今回は70~61位をご紹介しました!読んでいただきありがとうございました!

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