見出し画像

結局歩行器って何使えばいいんだ!?〜膝への負担から紐解く〜

画像1

・車輪付き歩行器(以下C付ピックアップ)
・椅子付き歩行車(以下シルバーカー)
・前腕支持台付き歩行車(以下コンパル)

の適応を膝関節への負担の観点から比較していく


①外部膝関節内反モーメント(以下KAM)の比較

KAM最大値は立脚期前半、後半ともにすべての補助具で独歩と比較して有意に減少。

立脚期前半ではシルバーカーとコンパルがC付ピックアップと比べ有意に減少。

これは床反力の減少が関与していると考えられる。

②股関節内転モーメントの比較

股関節内転モーメントは立脚期前半、後半ともにすべての補助具で独歩と比較して有意に減少。

これも床反力の減少が関与していると考えられる。


つまり、、、

補助具の使用は体幹を前傾させ、補助具への荷重量を増加させることで、補助具に加わる床反力が増大し、下肢に加わる床反力が減少すると考察される。

また、体幹前傾角度が最も増加したコンパルは、床反力においても最も有意に減少していたことから、体幹前傾角度が大きくなるほど床反力が減少する可能性が示唆されている。

しかし、

歩行時の股関節や膝関節の屈曲角度が、体幹前傾角度の増加に伴い増大すると報告されている。


体幹前傾角度増加に伴い、姿勢変化による身体重心位置の変化に対応するために下肢の代償運動が現れ、股関節や膝関節の屈曲角度が変化する可能性がある。


そのため、補助具を使用する場合、体幹が過度に前傾しないように補助具の高さや、持ち手の位置を調整することで、通常歩行に近い形で歩行を行うことができ、適切な免荷が得られると考えられる。

適切な免荷が得られることで、床反力が減少し、KAMをはじめとする下肢関節モーメントの軽減も図れるだろう。

③有用性の検討

今回の3つの補助具はいずれも膝関節への力学的負担を軽減する可能性が示唆された。

KAM最大値の減少率をみると、コンパルが他の補助具より大きくなっていた。

これもコンパルへの荷重量が増大したことで、他の補助具より床反力が減少し、高い減少率を示したと考えられる。


以上の点から、膝関節への力学的負担を軽減したい場合、コンパルは他の補助具より軽減できる可能性が示唆された。

しかし、コンパルは病院内や施設内などのような環境に限定されることが多い。

一方で、コンパルと同等のKAM最大値を示したシルバーカーは、小型で汎用性が高いため、膝関節への力学的負担を軽減し、汎用性が高く有用な補助具であると言えるだろう。


今回の3つの補助具は杖と同等のKAM減少効果を認めている。加えて、歩行器は両下肢に対して軽減させることが可能なため、両膝にOAを認める症例や、杖歩行が困難な症例にとって有用であると言えるだろう。

参考文献 高齢者における歩行器・歩行車を使用した際の歩行分析 伊藤将円 他 理学療法学 第47巻第5号 2020

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?