お尻が痛いって言われても、、
症例検討を参考に解説していきます。
右THAの患者。右臀部、大腿外側部痛がとれない。
評価と問題点の整理
右臀部痛
IC~LRで伸展筋、外転筋、外旋筋力により、屈曲、内転、内旋を制動できず、股関節が過剰に屈曲、内転、内旋することで右大殿筋が伸張され、停止部に伸張ストレスが加わるから。
右大腿外側部痛
MStで外転筋力低下により骨盤の遊脚への下制が起こり、右大腿筋膜張筋を介して右腸脛靭帯に伸張ストレスが加わるから。
まずここでストレッチ、ROMex、MSEを行う。
数週間後、、、筋力は改善したが痛みはとれなかった。
なぜ???
MSEは筋力向上を目的としており、その筋収縮様式は求心性、等尺性収縮が主であった。
これではICからMStに必要な股関節周囲筋の筋収縮様式が得られなかった!
正常歩行においては、ICでは立脚期股関節伸展筋群が一時的に股関節屈曲方向へのモーメントに拮抗して遠心性に収縮する。
ICからLRでは立脚期股関節伸展筋、外転筋、外旋筋が屈曲内転内旋方向のモーメントに拮抗して作用し、外転筋群においては遠心性収縮により制動する。
つまり、伸展、外転、外旋筋の遠心性収縮による複合的な筋活動を促す必要がある。
そのためのブリッジ運動
①背臥位。両股、膝関節は屈曲させ、足底は接地させる。
②セラバンドを大腿近位に巻き、常に股関節内転、内旋方向への抵抗を加えておく。
③股関節前方より股関節屈曲方向(下方向)へ徒手的に抵抗を加える。
④臀部を挙上させ、股関節伸展、外転、外旋位をとる。⇒これが開始肢位
⑤常に股関節屈曲内転内旋方向への抵抗に抗しながら、屈曲内転内旋をゆっくり行わせ、挙上位である臀部を下制させる。
これにより、ICからMStにかけて生じる伸展外転外旋筋の遠心性収縮による複合的な筋収縮を促せる。
これにより歩行時と同じ筋収縮を促すことができ、骨盤が安定、屈曲内転内旋の制動が可能となり、疼痛軽減につながった
という症例でした!
参考文献 歩行の右踵接地から右立脚中期において右臀部、大腿外側部に疼痛が出現した右人工股関節置換術後患者に対する理学療法 野崎結 他 関西理学 2010
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