見出し画像

仕事先の人に縁を切られてしまった…

当時、私はめちゃめちゃ忙しかった。仕事が終わらない、育児も休むことができない、家事も後回しにはできない。

もう勘弁してくれー。って何度も口に出して、とりあえず今ある仕事を終わらせればかなり楽になるぞと自分に言い聞かせていた。

そんななかで、私が業務委託契約をしている企業の人から一通のメールが届いた。この人は原稿作成依頼を送ってくれる人だ。クライアントというより、原稿を作り上げるためのビジネスパートナー的な存在だ。

付き合いはメール上だけ。これまでに何度か仕事をしていて、お互いのことは顔は知らないけど名前は認識しているという間柄だ。別に仲良くも何ともない。おそらく年下だろう。

メールには、「フリーランスのライターってどうやったらなれますか?僕もやろうと思うんです。」というようなことが書いてあった。

何を急に。しかもなんで私に相談を?と思ったし、めちゃめちゃ忙しかったから、返信は後回しにしようとした。

でも、私の働き方に興味を持ってくれて、勇気を出して相談してくれたんだ。と思い直して、迅速にそして丁寧に回答してあげようとキーボードを叩いた。

「私は◯◯社でイチからライターの仕事を教えてもらった後、フリーランスライターになりました。フリーになってからはこんな風に仕事を頂きつつ、スキルを磨きました。さらに知り合いにはこんな風にライターになった人たちもいますよ。」

という内容を、メールにしてはやや長文で伝えてみた。我ながらかなり親切だと思う。

何日か経ってから返信がきた。その時点で少し疑問を感じていた。自分から相談しておいてすぐに返信しないんだなと。

その返信内容を要約するとこんな感じだ。

「そうでしたか。私も出社せず在宅で働きたいです。世間の需要があるならやってみたいんですけど、ないならやめとこうと思います。その辺りの話を教えてください。」

んん?なんか思っていたのと違う。私は最初、この人が本気でフリーランスライターを目指していると思ったから、応援したくて丁寧に返信した。もっとこう、

「ありがとうございます!キャリアチェンジは不安ですけど、目標のためにイチからチャレンジしてみようと思います。いつか仕事でお会いできたらいいですね。僕、頑張りますね。」

というような内容がくるもんだと思っていたけど、どうやら私の思い違いだったようだ。

(今よりもっと楽に仕事ができないかなー。そういえば仕事で関わるライターの人たちって、毎日家で原稿書いてるだけで生活してるんだよな。もしかしたら楽なんじゃないか?ワンチャンこの仕事ありだな。とりあえず情報収集しとくか。…これでメール送信っと!)

その人の本心はわからない。メールでの伝え方が下手なだけだったのかもしれない。でも私はこのように捉えた。

とにかく、この人がフリーランスライターを本気で目指しているわけではないと感じた。もっと前の段階のラフな相談だったんだ。

それならなおさら、関係性の薄い私になぜメールを送ってきたのか。やっぱりただの情報収集に使われたとしか思えない。

本気で返信した私が馬鹿みたいだった。忙しいなかで時間を割いたわけだから、なおさらがっくりときた。

だけど、はいはいそうですか、と割とすぐ切り替えられた。モヤモヤの感情をそのまま本人にぶつけるほど私は未熟ではない。

…でも言いたいことはある。自分のモヤモヤを発散したい気持ちも多少は混じっているが、この人が他のライターさんにもこんな情報収集メールを送りまくっているのならちょっと迷惑だ。現実的な話をして、この人にはもう一度よく考えてもらおう。

「どの仕事も需要はコロコロと移り変わります。そんな熱量じゃ多分続かないです。しかもライター未経験だとすぐに仕事もらえないので苦労すると思います。せっかくライティングに関われる環境にいるのだから、まずは社内で経験を積ませてもらったらどうでしょう。」

こういった話をとても丁寧な言葉遣いで伝えた。その日のうちに。その人のためを想って。

だけど何日経っても返信はこなかった。


Z世代は「メールは1往復が基本」「自分の用が済んだらメールを返信しない」といったニュースを見たことがあります。この人はZ世代だったのでしょうか。

それとも、期待していた返信内容じゃなかったことにムカついて無視を決め込んだのでしょうか。

とにかく残念です。私は聞かれたことに回答しただけなのに。少し説教みたいになってしまったかもしれませんが。。

それ以来、その人からは仕事の依頼がきません。縁を切られてしまいました。それとも私のアドバイスどおりに、社内でライティングを頑張っているのでしょうか。

あの相談は一体何だったんだろうと、たまに思い出します。今となっては考えてもわかりません。元気かな、あの人。名前しか知らなかったのに、その名前も忘れてしまいました。

今日もいい一日になりそうですね。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?