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【映画レビュー】ミスト/S.King

初映画レビュー

あらすじ

「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」でスティーブン・キングの世界を見事に映画化したフランク・ダラボン監督が、映像化不可能と言われていたキングの傑作中篇「霧」に挑んだ意欲作。激しい嵐が過ぎ去った町に不気味な深い霧が立ち込め、住民たちは身動きが取れなくなってしまう。やがて霧の中に潜んだ正体不明の生物が彼らを襲いはじめ……
<https://eiga.com/movie/53105/>


本作は、突如町を覆った霧の中に怪物が現れるという話。ジャンルで言えばSFホラーに分類されるだろう。
言わずと知れた名作で、「後味の悪い映画」なんて趣味の悪いワードで検索をすれば真っ先に出てくるほど、その道では知られている。
スティーブン・キング原作の映画ではホラーやスリラーに分類される映画が多い。
「IT」は日本でも流行っていたのでそれで彼の名前を知っている人も多いと思う。他には、小説家の主人公がイカれたファンの女に監禁される「ミザリー」や、イカれた小説家が斧を持って家族を追いかけまわす「シャイニング」などイカれた登場人物が多いのも特徴だ。こういったジャンルでは欠かせない要素なのかもしれないが.....
他にも「ショーシャンクの空に」や「スタンドバイミー」など、友情を謳った名作も存在する。どれも私的にはとても面白い作品だったので、もし見ていないものがあれば是非見てみてほしい。


SFホラーの最高傑作

見出し通り、本作をこのジャンルでは最高傑作に値する。
「得体の知れない化け物が霧の中から出てきます」
とだけ言われてしまったらよくあるB級映画のように感じてしまう。
だが、それだけではない。 
テンポの良さは勿論、各登場人物の個性もはっきりしていて主人公だけがやけに目立つホラーではないからだ。勿論、ラストシーンの魅力が一番大きいが。
物語の骨組みだけを見ていけば、よくあるホラー映画と一緒で、

①怪物が出てきて建物から出られなくなる
②仲間同士で意見が対立する
③最終的に主人公一味が脱出する
④軍隊により怪物が駆除され町の霧が晴れる

こう書いてしまえば、やはり普通のSFホラーと変わらない。
本作が他と違う決定的な理由は、中盤から存在感を表す宗教おばさんと後味の悪いとされるラストにある。

宗教おばさん(カーモディ)の存在感

物語中盤から徐々にその存在感を増すカーモディ。
見ている我々にとって大きく見えるだけでなく、仲間内でも中心的な存在になっていく。

絶望的な状況の中では、偶然の一致も必然になってしまう。
30センチほどある蚊のような怪物が、カーモディに迫った時も何故かこの怪物は彼女を襲わなかった。
彼女が、「今夜は一人命を落とすだろう」と言えば、
蚊型の怪物によって若いスーパーの店員が無残にも殺されてしまった。
希望を見いだせない人々は、預言者のような彼女の言動を正しいものと捉え、次第に周りの人々を魅了していく。
本当に恐ろしいのは怪物か人か。

「後味の悪い」ラスト

本作を語る上でラストシーンに振れない訳にはいかない。

未だ霧に覆われた中、このままではいけないと車での脱出を図る主人公(デヴィッド)一味。
車に辿り着いたの仲間は5人のみ、ひたすら車を走らせ続けるも数メートル先も見えない程濃い霧は続く。
ガソリンも底をつき、ピストルでの集団自殺を決行する。残弾は4発のみ。
デヴィッドは自分以外の4人の頭を打ち抜き、車のドアを開け姿の見えない怪物に吠える。
遠くからは何かが迫ってくる重音だけが響き、覚悟を決めるデヴィッド。

しかし、霧の中から現れたのは軍の戦車だった・
軍は火炎放射器のようなもので怪物を焼き払い、次第に霧は晴れていく。
戦車の後を、救援者を乗せたバスが通りすぎ、その中には物語序盤で周りの反対を押し切って家を目指した女性の姿もあった。絶望するデヴィッドが映されたところで終焉を迎える。

やはり強烈なラストシーン。
これほどまでに記憶に残るラストは他に存在しないとさえ思う。


まとめ

個人的にはSfホラーでは勿論、他ジャンル含めてもTOP3に入るくらい素敵な映画だと思う。
ホラーにありがちな、一瞬だけビクっとさせて終わり。ではなく常に絶望を感じさせ続け僅かな希望すら感じさせないところが好きだ。
こういった映画を見る時、大抵の人はハッピーエンドを期待している。
しかし、その中で少なからずバッドエンドを望んでいるものではないだろうか。

私は、どうやっても助からない状況から奇跡に奇跡を重ねてハッピーエンドを迎える作品があまり好きではない。
全てがフィクションで終わってしまうからだ。
勿論、私たちの町が急に霧で覆われ、怪物に襲われる可能性は限りなく0に近い。フィクションでも、舞台をスーパーにしたり、軍隊が存在したりノンフィクションの要素もある。
フィクションの中にノンフィクションを存在させることで、私たちの感じる恐怖は何倍にも膨れ上がる。
だからこそ、普通であれば絶対に助からない状況で奇跡は起こってほしくないのだ。

ネタバレばかりのレビューなので、目を通してから本作を見ようとはならないと思うが、視聴済みの方たちと感想を共有し合えれば良いなと思って書きました。

以上。

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