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機械仕掛けのコウノトリ 46

第1話

前話

 ふと見上げた先にある樹木の枝には、役目を終えた葉が風に揺れ、枝との繋ぎ目を取り払われそうになっていた。

ただ虚しいだけのその寒空に凍える姿が、私にはしっかりと見えてはいなかった。

私に見えていたのは、また次の季節に新らしい若葉を迎えた生命力に溢れた包み込む優しく揺れる枝だった。

今はその途中経過に過ぎないのだと私の体は熱を取り戻し、足には私の感覚がしっかりと残っていることがわかった。

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