左手に金の滝が打つ 8
第1話
前話
確か小学校三年の時だった。私は両親の部屋に入り、物色をしていた。
それは金が欲しかったからではなく、ただの暇つぶしみたいなもので、大人の男女というものどういう生態をしているのか。親とはどんなものなのか。という興味好奇心であり、その頃の私はまだ違う生き物である彼らのことをなんとか理解しようと努力をしていた。
そこで見つけたのが父親のバッグの中に小さく折りたたまれて内ポケットに保管されていたSoG社の紙だった。
過去に部屋を物色した際、棚の中に私たち兄弟に与えられた才能、ギフトと称した人工才能を施されていることは知っていたので、今更何があるのだろうと紙を広げていく。そこにはこう記されていた。
「才能強化促進剤投与後の被験体観察について」
次話
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