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機械仕掛けのコウノトリ 24

第1話

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「もし、双子が生まれた場合、投与された才能…ギフトはどうなるのでしょうか?例えば、片方にしか反映されないということはあるのでしょうか?」

夫は純粋な興味の目を相田さんに向けていた。見つけた虫を何も考えずに持って帰ってくる子供のように。

「今までの1万人データですと、九二%の確率で双子それぞれにギフトは届く結果になっています。しかし、たとえ一卵性双生児であったとしても、ギフトが同じように開花していくとは限らないということが現在の弊社での研究結果です」

夫はそれだけ聞くと納得したように頷いた。私の子宮が脳に聞くべき言葉を飛ばした。

「つまり、ギフトは必ず開花するのではなく、生まれた子供の環境や教育に影響を受けるということでしょうか?」

私の神に慈悲を求めるような問いに相田さんは「はい。それは多分に含まれていると研究結果で出ています」と笑顔で答えてくれた。

それは私という存在が確かに母親として存在し、子供たちの中にも流れていくことを肯定してもらえたように思えて、心は熱く血を流した。

この四角い無機質なデータの中にあって、生を主張するエゴを私はその時考えもせずにただ質問という形で主張をしていた。

 それから相田さんにギフトを送れる期間が妊娠半年以内であることや遅くなればなるほどにギフトの開花が遅れたり、ギフトの定着が弱まってしまうことなどを聞いた。

解析結果はデータとプリントアウトした紙で両方もらい、私たちはその場所を後にした。

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