2022 J3 第1節 レビュー【鹿児島ユナイテッドFC vs いわきFC】新入りに調子付かせる訳にはいかないのです。

2022.3.13 J3 第1節
鹿児島ユナイテッドFC vs いわきFC

こんにちは。
今回もご覧いただき、ありがとうございます。
今シーズンも気ままに投稿を続けていきます。読んだり読まなかったりしていってください。

さて、ヘッダーの画像はいわき駅前だそうです。
なんでしょう、この皆の地元感がある駅は。好きです。

そのいわき市を拠点とする昇格組・いわきFCが今回のお相手。各地で話題を呼んでいますが、Jの先輩として新入りに調子付かせる訳にはいかないのです。去年、昇格組・宮崎に内容・結果共に上回られた忌々しいアウェイの記憶に別れを告げる時である訳なのです。

なにより、ホームですから。
今年はホームでの勝利を増やしたい。

始まった、2022年のJ3。
開幕戦見ていきましょう。

スターティングメンバ―

TACTICALista_2022Hいわきスタメン

スタメンから行きましょう。まずは鹿児島。
白坂がGKの開幕スタメンをもぎ取りました。大西と比べても遜色は無く、驚くほどでもないですが、試合を見るともっと繋げるんじゃないかなぁと思った次第であります。彼の強みでもあるはずなので、洗練して欲しいです。

DFラインは全員新加入選手。
俺たちのショーセイが帰ってきました。お帰り。今節も運んだりパス差し込んだり、随所に良さが見られました。広瀬も対人能力が高く、フィードやパスに関しても高い能力を持ち合わせています。SBについては後ほど。

中盤は中原、木村、ロメロ。
安定の中原に加え、新加入の2人が良きです。来てくれてありがとう。

前線は五領、有田、米澤の並び。ここは予想通りと言えるかもしれません。

一方のいわき。
正直あんまり分かりません、すみません。みんな大きいです。特にCB2人は対人能力、跳ね返しも強く、中央をなかなかこじ開けられなかった要因の一つだったと思います。

かと言って、日和るような我が軍ではありません。
絶対倒す覚悟を持って試合に臨んだのであります。

雑感

コンパクトネスと飛び出しと

というわけで意気揚々と試合が始まりましたが、わずか開始4分で失点してしまいました。流れとしては白坂のゴールキックが引っ掛かり、跳ね返されたところから対応に出た薩川が空けたスペースへ走りこんだ2番嵯峨に決められた形でした。

トリガーになったのは白坂のミスキックであり、完全に崩されたわけではありません。米澤のところのファウルは無いんか⁉という疑念もありますが、失点に至ったのは、いわきの狙いが奏功していたからこそだと思います。

いわきの基本は、最前線の守備は前プレ・リトリート後はコンパクトなブロックを敷いてボール奪取、前線に張るFWとSHの4枚の下へロングボールを蹴り、後続のSBやDHと共にフィニッシュを目指すものでした。

特に守備時、4-4-2ブロックの圧縮は顕著で、両大外のスペースは許容して、サイドにボールが振られた時に全員がボールサイドに寄ることも珍しくありません。またスプリント能力も高く、プレス強度や後ろから追い越す動きに迫力があり、DF陣は苦慮していました。

(24番山下・試合後コメント)
--やれたところとやれなかったところは?
攻撃では前をどんどん追い越して出ていくのはやれていたと思う。逆に守備で前から取りにいくけれども取り切れなかったり、はがされて相手に押し込まれて、自分たちも構えてしまうところがあった。

こうして圧を掛けるいわきの姿勢は徹底されていて、特に序盤はその強度に慣れる前に失点してしまい、悪い流れから入ってしまった試合でした。ただ前述のように崩されたわけでも無いので、試合中に気にすることはありません。徐々にいわての強度に慣れた鹿児島がボールを握る時間が増えていきます。

外回り、DH経由前線

コンパクトに構え、大外のスペースを許容するいわきでしたが、鹿児島もブロックを外回りしながら有効に前進していきます。

TACTICALista_2022Hいわき外回り

上図はパターンの一つ。
広瀬、星とブロックを外回りに迂回してきたところです。いわきSHは深い位置までSBを追うので、いわきSHが空けたスペースを五領が活用することで、木村へのパスコースが見えてきます。そこでパスを受けた木村が逆サイドに展開したり、同サイドで連携したりして前進していました。

まずは、木村の認知・技術の部分はやはり素晴らしいです。的確に前進出来るスペースへボールを供給していたと思います。またこのシーンの五領のような「3人目」を使って、星→木村のパスを間接的につなげる動きは取り組んでいた痕跡が見えました。

全体的に、サポートする時の角度・タイミング・バランスの取り方が改善していたように思います。つまり、パスコースを2択にする=トライアングルの構成がスムーズになっており、そのトライアングルが全体に波及した結果、ロスト時にプレスを掛けやすい体制も整っていました。

(大嶽監督・試合後コメント)
ーー出せたこと出せなかったこと
まず出せたことはしっかりと守備です。
崩されたわけではなく、しっかり守備のバランスを取ることやセカンドボールの処理でのポジショニングは良かったです。とはいえセカンドボールの回収に時間がかかったことはできなかったところです。
攻撃については、ビルドアップからいい入り口と崩す優位性を持つことはできたのですが、最後のアタッキングサードです。
そこで相手にボールを取られるというより、我々のミスがあったところ、クロスの質、ゴール前の入りの精度を上げならなかったと思います。

この辺が上手く行ったのは、新戦力の力も大きかったと思います。星・薩川は内外の使い分けが上手く、SHとの関係性で崩したり、ビルドアップの出口になったりと柔軟に対応していました。同点弾の起点になったのも、岡本→米澤と繋ぎ、インナーラップした薩川がファウルを貰ったところからでしたね。砂森や木出も上手い部分ではありますが、心強い仲間が来てくれました。

尻込み?

試合は1-1で折り返し、後半に入りました。
果敢に前プレするいわきですが、50~60分頃にはプレスが追い付かず、鹿児島が押し込める時間帯が続きました。先ほどの24番山下のコメントの後半部分を見ると、精神的な部分で引けを取っていたと読めます。

(24番山下・試合後コメント)
--やれたところとやれなかったところは?
攻撃では前をどんどん追い越して出ていくのはやれていたと思う。逆に守備で前から取りにいくけれども取り切れなかったり、はがされて相手に押し込まれて、自分たちも構えてしまうところがあった。

前プレが掛からなくなり、鹿児島はSBが積極的に前進。いわきSHがそれに付いて行くことで、5~6バックの状態になることも度々ありました。こうして元々コンパクトなブロックを組んでいるに加え、重心が低くなったいわき。鹿児島の選手へのプレス距離が遠くなったので、跳ね返しても2ndボールを回収出来たことで、鹿児島のターンが続きました。

とはいえスタメンの項でも述べたように、いわきの両CB15番家泉・4番星はなかなか好きにはやらせてくれませんでした。クロスを入れても跳ね返される、が多かったので次回対戦時にはもう一工夫出来ると良いです。

一方で、いわきの強度が落ちたわけでもなく、2ndボール回収が間に合わない場面もありました。その場面では鹿児島にとって分の悪いデュエルが頻発し、何度かシュートまで持ち込まれています。

攻守交代制らしきそれ

試合終盤になると、疲労からか実のあるビルドアップから前進する機会は減りました。むしろ、前線の米澤までロングボールを蹴りこむことが多く、決定機らしきシーンはあるもののゴールが遠い時間帯に見えました。

いわきは常にそういったコンセプトで攻めてきていたので、その意味ではいわきペースだったと言えるかもしれません。とにもかくにも両チーム共にロングボールが増え、陣形は間延び、相手陣内までは運べるので、交互に攻守しているような印象でした。野球に近いそれ。

それ自体の是非は一旦置いておくことにして、いわきに有利な展開だったのは間違いありません。広瀬の試合後コメントの通り、ピッチ内の判断でそういった展開を断ち切ることが出来れば理想だと思います。

(広瀬・試合後コメント)
--チームとして今日できたこと、できなかったことは?
相手が蹴ってくるのは分かっていて、それに付き合ったら相手のペースになるのは分かっていた。実際最初のほうは付き合ってしまってドタバタして失点してしまったが、その後落ち着いて対処し、前半のうちに追いつけたのは良かった。後半は相手に合わせてしまう部分が多かったので、ピッチの中にいる選手たちが自分たちで話し合って、改善できるようにならないと今後の試合が厳しくなると感じた。

やはり後半はフィジカル的な限界が近く、交代を余儀なくされる選手・足を攣る選手が出てきて、最後は押し込まれる展開が続きました。とはいえ今節に関しては、よくぞここまで闘ってくれたことに尽きます。お疲れさまでした。

あとがき

試合は1-1で終了。
実際に対戦しないと分からない部分もある中で、勿論課題はあるものの自分たちで光明を見出すこともでき、まずまずの開幕戦だったと思います。

いわきも、持ち前のフィジカル面の強さで優位に立つことができ、他のチームもなかなかに苦労するんじゃないかというチームでした。例えば、岐阜みたいなチームと対戦する時に、ドンパチするのかどちらかが論理を求めるのか気になるところであります。

我が軍に話を戻しましょう。
今節を見る限り、去年とやりたいことは大きく変わらない印象です。米澤・五領で幅を取り、インナーに入ってビルドアップに関わるSB、DHやトップ下が関わったボール保持。それに加え、サポートの意識・早速得点して補強した有用性を示した有田・木村の冷静なボール配分など、プラスな点が多く見えました。

大嶽体制の話をすると、加速傾向の攻め方だと今回は分が悪かったからとも考えられますが、やはりある程度ボール保持して支配はしたいんじゃないかな?と思わせる人選・準備でした。

一方で、結局WGどう活かすねん!問題は継続しているように思います。

(大嶽監督・試合後コメント)
ーー出せたこと出せなかったこと
まず出せたことはしっかりと守備です。
崩されたわけではなく、しっかり守備のバランスを取ることやセカンドボールの処理でのポジショニングは良かったです。とはいえセカンドボールの回収に時間がかかったことはできなかったところです。
攻撃については、ビルドアップからいい入り口と崩す優位性を持つことはできたのですが、最後のアタッキングサードです。
そこで相手にボールを取られるというより、我々のミスがあったところ、クロスの質、ゴール前の入りの精度を上げならなかったと思います。

プレス強度、トランジションが速いいわきに対して、もう一つパススピード・精度を高めないとWGが時間とスペースに余裕がある状態でボール持てないね!で終始した課題が大きい試合になりました。

今後も着手していく部分だと思いますので、注目していきたいですね。

それでは、今回はこれくらいで終わります。
また来週よろしくお願いします。

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