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EURO2024 GroupD 第1節 レビュー【オーストリアvsフランス】

2024.6.18
EURO 2024
Group D 第1節
オーストリア vs フランス

※6.10親善試合フランスvsカナダ 概況

スタメン

フランスは直近のカナダ戦からカマヴィンガ→ラビオの1枚を交代

雑感

前半

・オーストリアの保持は、DHのどちらかが最終ラインに落ちた3-1でのビルドアップがメイン。
・SBが大外で幅取りを担当し、SHはインナーに入る。
・数的優位を活かしてフランスの1stライン越えられる場面はあるが、その後は前線に蹴ることが多い。
・序盤はインテンシティの高さもあり、蹴り込むことに一定の効果はあったか。
・とはいえ、35分には左サイド3人のチェーンで旋回して大外のSBに展開⇒他の2人がゴール前に入り、決定機を作るなど、ユニットの優位性もある。このシーンが1番フランスゴールに迫ったシーンだと思う。

・オーストリアのロングキックに対し、フランスはコンパクトなブロックを維持。大外のスペースから自陣深くまで侵入される。
・しかし、4-4ブロックの中に入らせず、ゴール前では好きにさせない。ここはDFラインとカンテ、ラビオの存在も効いていた。
・グリーズマンの位置に応じて、カンテが柔軟にアンカー化して4141になる瞬間も。意図があったわけでは無さそう?

・オーストリアの守備はDFもCBやGKまで出てくるハイプレス。左SHハウムガルトナーが最前線に出てきて、2トップの体制で追う。
・気になったのは、CFグレゴリッチュ。2度追いはしないため、2トップのゲートが空きやすい。(サイドへの誘導は頑張ってくれるのだが)
・そこで、ゲート管理はトップ下の19番ザビッツァー。前まで出てきて、カンテやラビオを捕まえる。
・それに続けてサイドの面々も援軍に駆け付ける。
・なので、芋づるに釣り出せそうな雰囲気はある。実際、左サイドから楔⇒レイオフでテオが最終ラインに勝負できるところまで運べたシーンもあった。(23:25。最後は足がもつれてしまったが)
・しかし多くのシーンでは、ハイプレスをいなせず、WGに放り勝負させることが多くなる。そして、なかなか保持の時間は出来ず安定しない。
・よって序盤は、フランス非保持の時間が長くなった。ネガトラで即時奪回を志向してるチームではないので、必然ではある。

・一方で、WGの位置で勝負するのはエムバペなりデンベレなりテュラムなりなので、惜しいシーンはいくつか作れている。

縦に蹴って勝負させれば勝てるタレントは健在

・オーストリアのハイプレスによる負荷を考慮しても、もう少しライン間を経由してからWGに届けたかった気もする。

・30分頃〜、少しづつ落ち着いてフランスが安定した保持を見せ始める。
・オーストリアがの運動量がやや落ちてきた影響もあるが、グリーズマンがサイドに流れて貰う動きから、相手ブロックに留まって引き付け役に回った影響も大きいように見えた。

・グリーズマンが引き付けて空いたゲートをCB⇒ラビオ⇒エムバペと繋げたのが、32:10のシーンであった。

オーストリアのハイプレスの足を止めるグリーズマンのポジショニング。安定したボール保持の中で、少しずつ押し込み始める。

・安定したボール保持で押し込む時間が増えていた37分、フランス先制。
・トリガーは相手のミスからではあったが、主導権を握り返した上でエムバペ、デンベレといったタレントで取り切ったのは見事だった。

後半

・後半開始直後こそギアを入れ直してハイプレスするオーストリアだが、すぐにブロック形成に移行する。
・運動量が落ち、蹴っても前線で収支が合わなくなった影響からか、繋いで前進しようとする場面も増えた。

・54:10頃のオーストリアB-up。DH2人がラビオサイドに寄り、カンテにマークがいない状況にしつつ、ラビオに数的優位を作る。
・さらに10番グリリッチュはサイドに流れ続けてテュラムにも影響を与える。そうして空いた大外のSBに繋ぐことが出来た。

カンテを浮かせつつ、影響を与え続けて大外に展開までは良かったが…


・しかし、テュラムの猛烈なプレスバックにより、時間の余裕を無くした5番ポッシュのクロスは失敗に終わる。
・守備ブロックでは正確にポジションを取り続け、それでも手の届かないところをカバーできる能力がある、カバーを怠らない選手がいる。
・他の被カウンター時なども、各レーンと高さへの帰陣意識が高く、統制されている印象。

・フランスの保持は、引き続きオーストリアの運動量低下の影響が大きいように見えた。
・65分のGKメニャン⇒右SBテオへのパス等も両者余裕を持って届けられている。13:20のハイプレスによりロストしたシーンと比べると(65分のシーンは、ややオープンな展開とはいえ)対照的だった。
・相手が落ちてきた中で、カンテが凄まじい。持ち味のプレス、ボール奪取、ポジトラで出ていくシーンの見極め…スーパーだった。

・80分以降はオープンに。運動量の差もある上、フランスの選手の持ち味を発揮できる展開。シュートまで持ち込める数はフランスが多数。
・内側に入った選手がパラレラでポケット取れば、簡単に裏が取れるような状況も生まれていた。
・87分にエムバペ負傷のアクシデントありながらも、フランス勝利。

総括

・保持の不安感はカナダ戦同様だったし、非保持での守備機構も「やっぱり、みんなちゃんとしてる!」印象だった。

・エムバペは終盤のアクシデントで鼻が折れたっぽい。こんな形でジルーの大会になるのか…?と思ったが、大会期間中には戻ってきそうな気がする。なんとなく。

・CBも2人とも良かったが、アクシデントがあった時などにバックアップが出来る選手の存在は懸念。

試合結果

オーストリア 0-1  フランス
得点者:OG(37分)

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