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筋トレは,認知機能を改善する?!?!

筋トレといえば,身体を鍛える最も有効な方法の1つです.多くの人が,ダイエットのためや,筋肥大のために筋トレをすると思います.しかしながら,最新の科学では,筋トレが認知機能を改善することがわかっています.

今回は,筋トレが,認知機能に及ぼす影響について述べたいと思います.

人の脳には様々な認知機能が備わっています.例えば,記憶力.脳はたくさんのことを記憶することができます.しかしながら,加齢によってその能力は衰えていきます.名前が思い出せなくなったり,アルツハイマー病を引き起こす原因になります.他にも,不適切な行動を止める”抑制”という機能があります.赤信号で止まるなどの状況で抑制という機能が働きます.

では,こういった人の脳に備わっている認知機能に筋トレはどのような影響を及ぼすのでしょうか??

筋トレの効果

2019年に発表された論文では,メタ分析という,信頼性のとても高い分析方法で筋トレが認知機能に及ぼす影響について検討しています.

結果は,筋トレは多くの認知機能の側面に好影響を与えることが示されました.例えば,MMSEという認知機能障害を診断するテストの成績が筋トレによって改善(認知症リスクの軽減)されたり,抑制などの機能を含む実行機能が改善することが示されました(実行機能;複雑な課題を遂行するために、情報の更新などを行い、思考や行動を制御する認知システム).

運動中は,我々が思っている以上に,脳は活発に活動しており,様々な認知活動を行なっています.そのため,運動によって認知機能の改善が見られます.筋トレに関わらず,有酸素運動や,スポーツを行うことによっても様々な認知機能の改善が見られています.

認知機能向上の理由

多くの研究が,運動によって認知機能が向上する理由として,運動中の脳活動の向上を上げています.我々が意識的に運動中に認知活動を行なっていないのにも関わらず,脳は様々な認知活動を行い,我々の脳にとても良い影響を与えています.

さらに,先ほどのレビューにおいて,筋トレ中に特に使われる認知機能がより改善する可能性を上げています.(例えば,空間把握が必要な動きを行うと空間把握能力が向上するなど) もしくは,筋トレによって脳由来神経向性因子(BDNF)やインスリン様成長因子(IGF-1)などが向上することによる神経系の変化や,ホルモン分泌,脳血流の向上などが認知機能改善の原因である可能性を報告しています.

スポーツの特異性

スポーツでの研究ですが,水泳選手とテニス選手の認知機能を比較した場合,絶えず変化する周りの環境を把握し,適切な運動を行うことが要求されるテニス選手は,水泳選手よりも抑制機能が高いことが報告されています.

脳トレは効果なし?!

認知機能の改善には,脳トレが効果的と考える人もいるかもしれませんが,脳トレは,根本的な認知機能の改善には効果がないことが報告されています.脳トレは課題に慣れさせてくれるため,課題の成績は向上しますが,同じ認知機能を測定する他の新規の課題の成績を向上させません.その一方で,運動は,脳の構造的な変化(脳の体積の増加など)をもたらし基本的な認知機能の改善をもたらします.

年齢の影響は??

この効果は,年齢に関係なく起こります.したがって,子どもの学業成績を向上させたい親,作業効率を上げたいサラリーマン,認知症を予防したい高齢者などどんな人でも運動することによって身体的な健康のみならず,脳の健康までも得ることができます.

運動して,心身ともに健康になりましょう

主に,スポーツ医学や子どものスポーツに関することについて配信します.