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人を動かす3つのポイント

タイトルはとても大げさですし、カーネギーの「人を動かす」という名著に被せるつもりも全くありません。カーネギー博士のいう3原則について論評できるほどエラくもないですし笑

ただ、ビジネスにおいてクライアントや社内の人たちを動かす時、交渉する時に、大事なポイントが3つあると思っており、そしてそれを意識するかしないかで結果が大きく変わってきたな、と個人の経験としてありましたので、多少の参考になれば嬉しいと思って書くことにしました。

以前、鬼のように恐ろしい方と一緒に仕事をしていて、その方に教えてもらいました。とにかくその方との仕事は頭おかしくなるほど大変だったのですが、とにかく凄い方でした。他に良い表現が見当たらないのですが、とにかく凄い方でした。僕が唯一勝てたのは、身長の高さくらいです。

で、その人から教えてもらった「人を動かす3つのポイント」ですが、これは僕も含めて皆さんが色んな手法やテクニック、寝技とか、日々の生活で交渉をする際に行っている事が、全部この3つに集約されると思うので、皆さんはどれが得意で良く使っているのか、どんなアプローチに弱いのか、そういう視点で見てもらえると面白いかと思います。

ちなみに、これは必ずしもビジネスにおいてだけではなく、プライベートでも有効だと思います。多くの人たちは無意識にやっていると思いますので、改めて体系的に整理すると、自己分析にも役立ちますし、交渉して物事を進めたいけどなかなか進まない、とかリジェクトされた、という場合に役立つかと思います。

加えて言うと、マーケティングにおけるHowを考える際にも有効だと思いますので、敏腕マーケッターの方々からすると日常的にやっていることかもしれません。

人を動かす3つのポイントは以下です。

愛、恐怖、損得

少しだけ説明します。

人を動かすポイントその1 「愛」

分かりやすく理解するために2つ例を出します。

あなたが冬の間着たダウンをクリーニングに出すとします。近所には2つのクリーニング屋さんがあって、値段は同じ、クオリティも同じ、家からの距離も同じです。あなたはどちらとも同じくらいの頻度で利用しています。ただ1つだけ違うのはスタッフの方。

クリーニング屋Aのスタッフはあなたを覚えており、とても素敵な笑顔で挨拶をし、ダウンのお手入れについてアドバイスをしてきます。これくらいの汚れであれば軽く水拭きしてから陰干しすればクリーニングに毎年出さなくても大丈夫ですよ、とも言います。

クリーニング屋Bのスタッフは、無愛想ともいえるほど事務的に応対し、もちろんあなたのことは覚えていないようです。受け取りの日を少しでも過ぎると「早く取りに来い」と言わんばかりの口調で連絡が来ます。

あなたはどちらを選びますか?

また別の例を挙げます。
あなたはCIOとして社内のシステムを新しくするために、多額の予算を元にベンダーを選ぶ必要があります。ただCIOになったばかりで自分には深い知見や経験がないため、優秀なパートナーになってくれるベンダーを見つけたいと思っていました。提案内容はどちらも要件を満たしており、金額も予算内。アフターサポートの充実度や品質等も同じレベルです。

少しでも安い方を選ぶこともできますが、ベンダーの営業に違いがありました。

ベンダーAの営業は、あなたがシステムを新しくするする要件をしっかりと読み込み、社内のエンジニアや外部パートナーとの座組をうまく調整し、期日よりも早く提案書を仕上げてきました。要件は当然満たしており、プレゼンテーションもスムーズで、時折不明確なポイントのヒアリングもし、さらに今後の拡張プランも付録として付けてきて、営業としてとてもレベルの高いものだと感じました。

ベンダーBの営業は、基本的な営業活動はベンダーAの営業と同じくらいのレベルです。ただ違ったのは、あなたが課せられているビジネスゴールに関心を寄せ、そのゴールと今回のシステムで成し得るところはどこにあるのか、IT投資のあるべき考え方やリプレース後に起こり得る現場の不満等のリスク、コストではなく投資と捉えたときにどのようにROIを考えるとよいのか、さらには役員に上申する際に必要だろうということで役員向けのエグゼクティブサマリーを用意してきました。

あなたはどちらの営業に発注しますか?

相手に心を寄せるというか、相手の立場にできる限り立ってみて、愛情を持って接すると行動が変わります。これは抽象的な言い方ですが、具体的な行動は上の通りです。

ディシジョンクライテリアを満たすためにロジカルに設計するだけではなく、あとひと押し、「あなたが言うなら」と思ってもらうためにできることです。

人を動かすポイントその2 「恐怖」

だいぶイメージ湧いてきたかと思いますが、こちらは愛の逆に位置します。分かりやすくイメージしてもらう例として、あまり日本の現実世界では起きないかもしれませんが、「額に銃口を突きつけられた状態で決断させる」こと、といえばわかりやすいです。

やるのか、やらないのか。生か死か。

さすがに日本の通常のビジネスでこのようなシーンはほとんどないと思いますが、これもれっきとした交渉です。

「このバグ何とか収束させないと役員への道が途絶えますよね」とかグサッとくること言われたりすると、最優先で取り掛かりますよね。自分で動かせる予算動かして。

この恐怖をただ刺激するだけだと、多くの場合人間関係は長続きしないと思いますが、長続きさせる必要がないのであればいいかもしれません。

が、かつ相手を思って「聞きたくないことを敢えて言う」というアプローチは信頼関係の構築にとても大事だったりします。特にエラくなってくると、周りは当然気を遣いますから、なかなか本音で言ってくれる人がいなくなっていくでしょう。

なので、ショック療法的に恐怖を刺激する事ができるようになると強いですね。そしてその裏には信頼があるという構図だとパーフェクトです。

人を動かすポイントその3「損得」

いわゆるROIの話がイメージし易いですね。自分の行動や決断によって、具体的な(例えば金銭的な)見返りがあるからやるよ、というケースです。目に見えたコストダウンが見込めるソリューションだったり、やらないことで明らかな損を出してしまう事が予想できるケースはこれにあたります。

この損得、という定義には注意が必要だと思っています。いわゆる「ビジネス」に関することだけではなく、「プライベート」に関する損得も意思決定や行動を左右します。

プライベートに関する損得、はどういうものか、以下のような例がありますね。皆さんも心にもっている項目があるのではないかな?と。

- 昇給、昇進
- 知名度、ステータス
- 人間関係、人脈
- 家族との時間、自分の時間

ビジネスにおける損得はイメージしやすいですが、プライベートにおける損得は結構忘れがちというか想像しづらい点かな、と思いますが、ここを刺激するとしないとでは結果が大きく変わってきたりもします。

先方の抱えている仕事の成功だけではなく、その人の昇進&昇給という点も(もしそこを優先度高く据えていれば、ですが)訴求できれば、さらに動機づけでその人を動かすことができると言えばイメージ湧くでしょうか。

愛、恐怖、損得

この3つどれかによって人は動くなぁと今までの経験を振り返って思う次第で、自分はどれで動くのか、は結構その時々によって違ってきたりしますし、特にプライベートなクライテリアは公にしたりしないものなので、しっかりヒアリングをして把握することが大事ですね。

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