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セールスのキャリア/年収/経験をレベルアップさせるためにやったこと

2020年6月30日に、アップアニーという外資系企業の日本法人を退職することにしました。そして同時に代表取締役を退任することにしました。

40歳にもなってエモい退職エントリを書くわけにもいかず、端的に経緯や理由をnoteで発信させて頂いたので、よろしければそちらもご覧ください。

2002年の4月に新卒サラリーマンになってから18年、合計4社でビジネスをしてきました。この中で着実に様々な経験を積み、キャリア面でもステップアップと評されるような軌跡を描いてきたと思っています。その中で特に何が良かったのかを振り返って言語化してみたのが本noteとなります。

今後セールスというポジションで自身の市場価値を上げていきたいと考えている方々に少しでもヒントになれば幸いです。

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1. 市場価値と年収について

僕が直近まで勤めていたアップアニーでの経歴が社会人生活で最も長い期間となりましたが、西海岸スタートアップということもあり、非常に濃密な6年間を過ごしました。

この6年間の間に4つのポジションで仕事をしてきました。うち3回はプロモーション(昇進)です。もちろんですが、プロモーションをするということは年収も上がります(この場合の年収はOTEベース)。

提示される年収というのは、会社から見る自分自身の価値であるため、僕は提示される年収は社会人経験において、今まで100%そのまま受け入れてきました。例えばプロモーション時に提示された昇給額が20%だった場合、この20%が多いのか少ないのかわかりません。会社が僕に対して「20%の昇給によるプロモーションが価値だ」と決めたのであれば素直に受け止めます。「いや何いってんの。俺は30%の昇給を得るべき価値のある人財だ!」とは僕は口が裂けても言いませんでした。なぜなら根拠のない不毛な論争になるし、例え勝ち取ったとしても遺恨しか残りません。

特に誰から言われたわけでもなく、昔から僕が年収というものについて意識していたのは、会社が僕に対して「これだけ出すからいいパフォーマンス期待してるよ」と価値を感じてもらえる仕事をすればいいだけ、でした。

もっというと、プロモーションするにあたり、思っていた以上に昇給した場合なんかは「まじかープレッシャーやん」って思っていたりもしました。このあたりは外資特有かもしれませんね。結果を出さないといられなくなるので、会社が期待している期待値が昇給によってハネ上がった場合、今までと同等のパフォーマンスだと「期待はずれ」になるわけなので。

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2. 昇進するためのヒント

ぶっちゃけ結果論です。会社のフェーズによっても違うでしょうし、経営者や人事、マネジメントチームの考え方によって異なると思いますが、その中でも1つ真理がありますのでそれは覚えておいてください。

昇進は「したい」と思ってできるものではない

はい名言きたー。金言きたー。

ということで興奮冷めぬうちにデスクトップ用にカッコいい背景を用意したので、是非使ってください(著作権フリー)。

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どういうことかと言うと、昇進って、会社が主語です。従業員じゃないです。会社が、当該従業員を昇進させるものであって、従業員が昇進するものではないということです。この違い、天と地ほど違います。ちょっと違う表現をすると、「会社が昇進させることによって、結果的に従業員は昇進する」のです。

よく考えなくてもわかると思いますが、昇進って基本的には皆したいじゃないですか。やりがいも増えるだろうし給与も増えるし。でも昇進したい!っていう人が昇進したら会社は機能しなくなります。何せコストばっかり増えます(名ばかり管理職を増やして残業代を払わなくてもいいようにしちゃおう、という話はちょっと横においておきますね)。

なので会社から見た時に「昇進させたい」と思ってもらうのが大事な視点なのです。相手の立場に立つというのはセールスにおいても非常に重要ですが、三流のセールスは社内の昇進が絡む話のときであっても主語は相変わらず自分だったりしますね。自分はこう言う貢献をした、とかここまで身を粉にして働いてきたんだぞ、とか。こういうときにも素養が出ますね。

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3. どうすれば昇進させたい、と思われるか

結論から言います。

最低でも上司の視座で仕事をしてるように「みせるか」です。
そして可能な限り、上司がやるであろう・やりたいと思っているであろう仕事を取りに行くことです。

例えばセールスであれば、JD(Job Description = 決められた仕事内容)には色んなことが書いてあるものの、要は課せられた売上ターゲットを達成することが求められます。

そしてセールスのマネージャーは、チームの売上ターゲットを達成することが求められます。チームには当然色んなメンバーがいます。インサイドセールスとフィールドセールスだったり、会社によってはカスタマーサクセスも一緒にマネジメントしていたり。加えてスキルセットも経験も全部異なりますし、もっというと仕事をする意義・目的も人それぞれ違います。

チームでターゲットを達成するというのは最低限の職責というか、もっと言うと義務です。なので目先の数字の達成だけではなく、将来に向けて継続的に達成し続け、極端な話マネージャーが半年不在でも問題なく自走してビジネスを成長させることができる組織作りをすることがマネージャーには求められます。

その期待値を超えるためにマネージャーが日々何を考え、何に悩み、何を見て何を聞こうとしているのかを理解しようとするか、「それマネージャーの仕事だから俺関係ないし」と一蹴するのか、この意識の違いが「マネージャーになってほしいと思われるかどうか」の一番最初の分岐点になります。

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4. 具体的にやったこと

当然、言うまでもないことですが会社にはそれぞれのポジションにおける人数枠というのがあります。タイミングによっては管理職を増やすことができないということもあるでしょうし、枠が増えたとしても候補者が多い場合は落選することもあるでしょう。

そのタイミングはコントロールできるものではありませんが、然るべき機会がきたときに声がかかるようになるために、僕が意識したことを3つだけ紹介します。

①問題を発見し、整理し、改善案を提示する

当時、The Modelを参考にしたチーム構成になっており、各ポジション間で多少の軋轢やコンフリクトが発生していました。マネージャーではなかったのですが、これってターゲットの達成だけではなくて「チーム作り」と「仕組み作り」に影響を及ぼすポイントでもあると思えたので、何が起きていて、何がビジネスへの影響で、改善案は何で、そうするためにやらないといけない事は何か、という整理をして必要に応じて上司に提案をしていました。特に会社の現状のプロセスを大きく変えたり会社のアセットを使う場合は承認を得ないといけないので、そういう場合は丁寧にロジカルな資料を作りました。

自分たちで改善できる内容であれば、上司には事後報告をしていました。「こう言う問題があったから、こう改善して、いい感じだよ。他の国にも展開することを勧めるし、なんなら手伝うよ」という感じです。

一方で、大事かつ難しいのは当該メンバー達とのコミュニケーションです。僕自身100点でやれたかというとまだまだ不足していたこともあります。少なからず変化を求める場合はストレスを与えます。そしてストレスはエモーショナルなものなので、ロジックでどうこうできるものじゃないです。なので、メンバー達に対して改善変更の話をしていく際は、意義や目的を熱意とともに伝え、マジ頼むわ!と想いを伝えるスタンスでコミュニケーションをとるようにしていました。


②先読みして動く

正確に言うと、先は読めないです。特に僕が直近までビジネスをしていたアップアニーはモバイルアプリの領域です。メルカリやTikTokが急速にここまで広がるなんて誰も予想しておらず、そういう変化の激しすぎる業界でビジネスをしてきました。

なので、「読む」というよりは「創る」というニュアンスのほうが近いかもしれません。ゼロから何かを生み出すというものではなく、僕がやってきたのは「メッセージ作り」です。需要創造のためのメッセージ作り、というとわかりやすいでしょうか。

例えばゲーム業界各社からすると、アップアニーの提供する市場データってとてもビジネス上の価値があります。彼らの収益に強く影響を及ぼすので、セールスとしてのメッセージはとてもわかりやすいものになります。
しかし僕は入社する前から小売や外食、製造や金融といった業界こそ今後ますますモバイルが重要になるはず。なぜなら絶対に人口が減るので、顧客一人一人とのエンゲージを高めないと成長しないじゃん、と思っていました。
そうなるとゲーム業界向けのメッセージでは売れるはずもないと思い、モバイルの位置付けを「マネタイズ」ではなく「マーケティング」と位置付け、そのマーケティングが業務として何が行われているのかをたくさんの企業の中の人たちと仲良くなりながら教えてもらってきました。

こういう業界特有の話を聞きながらも、モバイルにおいて起きている潜在的な問題を指摘しながらビジネスをしていくという「やり方」を作り続けてきました。どういうことかわかりづかいかもしれないので、イメージを持っていただけそうな話として、以前MarkeZineに連載させてもらったときのコレ↓を読んで頂ければと。

つまり、誰に(Who)何を(What)をぶらさず、どうやって(How)のところの工夫を常にしてきたと言えます。このあたりは仮説立案と置き換えることができる領域です。


③意義目標を持つ

セールスである以上、課せられたターゲットを達成し、青天井のコミッションを稼ぎまくるというモチベーションを持っている人は少なくないと思いますが、チームを作っていくという観点で見ると、僕は意義目標を持つ人をチームに入れていくことが大事だと思っています。この辺りについては麻野さんの名著「The Team」にとてもわかりやすい解説があるので引用させていただきます。

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イソップ童話の「3人のレンガ職人の話」はあまりにも有名ですが、いわゆるセールスにおける「数字の達成でお金稼ぐ」というのは行動目標(つまりKPI)です。コツコツとただ数字だけを見て仕事をして会社に大きな貢献をするのであればいいじゃないかと思うかもしれませんが、経験上こういうタイプは長続きしません。良い条件をチラつかされるとグラッときて悩むことなく転職をしていきます。

僕ができるだけ意識していたのは「なぜうちの会社は商売をしているのか」「なぜ俺はこの会社で仕事をしているのか」「そもそも我々は何者なのか」を自分の中で腹落ちさせることです。そして腹落ちしたものを言語化してあちこちで言って回るのです。アップアニーに入社する前から言っていたのは「ゲームとかコンテンツに1兆円近いカネが流れてるのにその他の業界全然儲かってないのってなんかイビツだしキモチ悪い」でした。

この意義目標は、会社が掲げるビジョンだったりミッションだったりカルチャーだったり、そういうものに極力合う形で言語化したほうがよいです。事実本社から偉い人が来た時に、僕なりの意義目標と市場に対するメッセージ、その背景を伝えると、えらい感激されました。
やらしいかもしれませんが、特に外資においてはこういう「ワシ、会社のこと、ちょー考えてまっせ」というアピールはメリットしかありません。やることをお勧めします。

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昇進が全てではないですし、興味ない人がいることについても僕は全く異論はないです。生き方や働き方、仕事への向き合い方は人それぞれですので。

ただ、今後ますます「ヒトじゃないとできない仕事」の争奪戦になるでしょう。そうなるにあたって「ここ自動化すっから今のヒトを15%削減しよう。残すやつ誰にしようか」という断捨離が始まると思っています。昇進を目的にする以外にも、会社から見た時に重要だと思われる存在になるためにも、このnoteでお伝えした内容は参考になるかと思います。

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