遠野物語表紙

第四回読書会:柳田国男『遠野物語』レポート(感想・レビュー)


文語体に苦戦しながらも、なんとか読み終えました!

民俗学研究の草分け的存在の本書は、後年、あらゆる作家に影響を与え、いまだに古くなることはありません。

日本人が忘れてしまった原風景がそこにはあります。遠野とは、岩手県の真ん中あたりに位置します。

城下町として栄えた歴史のある街です。

「願わくば之を語りて平地人を戦慄せしめよ」

と柳田は序章部分で語っています。

平地人とは、山里の暮らしを知らない都会人のこと。

文明開化に酔いしれる東京に対する強い思いがあったのでしょう。

自然のすぐ側で生活を営む遠野の人たちにとって、天狗や河童、雪男、雪女、座敷童は当たり前の様に語り継がれていて、人間関係のトラブルの緩衝剤のような役割を果たしていたのではないかとの意見が出ました。

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でも、そうした「犯罪」を犯した人物は、逮捕されて刑期を終えればそれまでの生活に戻ってきます。

また元の集落で暮らし始めることが記載されているのです。

昔のコミュニティはそうした寛容さの上に成り立っていたことが偲ばれました。最後に出た意見として、このような暗黙の了解の空気は、現代では薄まったかもしれないが、なくなってはいない。

これが嫌で田舎を離れる人は多い。遠野物語を楽しめるのは都会の人だからなのではないか、との意見に、ハッとさせられました。

まさに戦慄が走りました!  

2019年11月9日土曜日開催

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【会場情報】
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【第4回課題本】


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