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第十四回読書会:外山滋比古『日本語の個性』レポート

1月の読書会は、少し視点を変えて、日本語について考えてみました。

課題本の選定に関しては、昨年永眠された外山滋比古先生の名著より取り上げました。

日常生活でも参考になるような考え方や、日本語の考察を肌感覚で分かりやすく綴られていて、読んでいるだけで心地よい本です。

私は話すのが苦手???

「いまかりに、いわゆるコミュニケイションを目的としないで、人間関係の確立、維持のために行われる言語活動をアルファー・コードと呼び、情報、意志などの伝達を主眼とする言語をベータ―・コードと呼ぶならば、われわれの日常生活の大部分はアルファー・コードによって営まれていることを知るであろう。」(外山滋比古『日本語の個性』中公新書 P.126)

この文章を読んだ時に、人前でベータ―・コードの伝達が苦手だけれども、アルファー・コードはむしろ得意だ、と私の癖について気付くことができ、できていることとできていないことが整理され、霧が晴れた気持ちになりました。

人前で話すことは苦手と思い込んでいましたが、そんなに悲嘆しなくても、できていることもあるじゃんと、自分を認めてあげることができました。


コロケイションを分かってない!ネットに氾濫する文章

「日本語の辞書の始末の悪いところは、引く人間が日本語を知っているだろうという前提に立っていることである。 ー中略ー 名詞ならどういう形容詞がつくのか、どういう動詞と結び、どういう動詞はとらないか、などの連結(コロケイション)をはっきり示している国語辞書がない。」(外山滋比古『日本語の個性』中公新書 P.180~181)

ネットの文章を読んでいても、違和感を覚えるのはたいてい、このコロケイションの考え方を知らずに書いている文章だと思います。

文章のねじれもさることながら、コロケイションは文章のリズムや品格、センスを生み出します。

ネットに文章をアップしている方は、せめてこうした基礎的な知識は持っておいてほしいなと思います。


近代に何があったのか?日本語を通して考えてみたい!

「日本語が心を打たなくなった理由のひとつは、いまの日本語が明治以降のものである点に求められる。明治初年のところに断層があって、前後に分断されている。 ー中略ー 近代日本語は明治以前の日本語といちじるしく違うのである。分断国家というのがあるが、われわれの国語は分断国語である。」(外山滋比古『日本語の個性』中公新書 P.178)

この部分を読んだ時に、あらためてこの「断層」に興味を持ちました。

一体私たちは、今、どんな歴史の流れの中で日本語を使ってきたのか。

そこで今年は近代日本文学を中心に、課題本を設定したいと思っています。

2021年1月17日日曜日開催

プラトー内部


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