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松井周×米光一成 「ゲームと演劇の交差点」|標本室 路地#6

第6回路地のゲストは、ゲーム作家の米光一成さん。「標本」をキーワードに対談を行いました。アーカイブ動画を公開致しますので、よろしければご覧ください。

■イベント概要

松井周の標本室 路地#6
松井周×米光一成 「ゲームと演劇の交差点」
2022年6月3日(金) 19:00~ (約120分)
※対談の様子を一部、松井周のMonthly Letter7月号、8月号で公開いたします。ご登録はこちらから。(無料)

■ゲストプロフィール

米光一成さん

ゲーム作家。広島出身。

代表作「ぷよぷよ」「はぁって言うゲーム」「変顔マッチ」「BAROQUE」「記憶交換ノ儀式」等。新作「あいうえバトル」「むちゃぶりノート」。
デジタルハリウッド大学教授。池袋コミュニティ・カレッジ「表現道場」の道場主。
著作『東京マッハ 俳句を選んで、推して、語り合う』(共著:千野帽子, 長嶋有, 堀本裕樹, 米光一成・/晶文社)『思考ツールとしてのタロット』(こどものもうそうブックス)
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■コンテンツ

・ゲームとは何か?演劇とは何か?
・演劇はゲームに近づいている?
・なぜ演劇を観るのか
・ゲーム作家の標本:米光一成とは何者か?
・質疑応答

■対談の様子を一部お届け!

※同じ内容をサンプルのMonthly Letter6月号、7月号でお届けしています。ご登録はこちらから。(無料)


松井:今日は3期始まって初めての路地(標本室で行う、外部からゲストを招いたトーク)です。よろしくお願いいたします。

米光一成さん(以下、米光):路地じゃなくて、おしゃれな場所ですけどね(笑)。

松井:確かに、本当に道端でやったらまた違う雰囲気になりそうです(笑)。

この標本室というコミュニティでは、メンバーは原則何かしらのアウトプットを目指して活動しています。アウトプットは演劇でも小説でもなんでもありで、来年の3月までに完成させる。

米光:去年の活動だと思うのですが、「遊び場的ワークショップ集」のWebページを見たらとても面白そうでした。

松井:ありがとうございます。自分の経験や関心をベースにワークショップを作ってもらいました。どんな人でも、自分がどうしても気になってしまうことをヒントにすれば、その人ならではの思いもかけないような表現ができるんです。ただ、そうは言ってもどうしたら良いかわからないという方もいるので、今日はアイディアの仕方についても色々お話しできたらと思っています。

「はぁって言うゲーム」をモチーフにしたTシャツでいらした米光さん
(https://booth.pm/ja/items/998585)

松井:米光さんといえば「ぷよぷよ」なのですが、そこから今までの変遷は色々ありますよね。

米光:コンパイルというゲーム会社に務めていたときに、代表作となる初代「ぷよぷよ」を作りました。そのあとに会社を辞めて、Tシャツ作りをしていた時期も経て、フリーランスのゲーム作家兼ライターになって、今に至ります。

松井:やはりゲームが作りたくて入社したのですか?

米光:どうでしょう。
僕は大学もゲームと関係ない英語英文学科卒業ですし、若い頃はさして方向性が定まっていなかったかもしれません。

ただ、普通の会社に入って、朝起きて、ちゃんと出勤するということはできないだろうとは分かっていました。まだフリーターという概念がない時代でしたが、もしその言葉を知っていたら、おそらく就職していなかったでしょう。

コンパイルは、当時は普通のマンション2部屋をオフィスにした、社員20人ぐらいの規模。面接に行ったら、社長はスーツにスリッパで出てくるし、先輩のプログラマーさんたちが、冷凍マグロなのかな、でっかい魚を振りかざして、スターウォーズごっこをしていた。やばい会社かもしれないけど、他の会社は無理だろうから、ここで一か八か賭けてみようと思って就職しました。

松井:そこでコンピューターゲームを作って、今はボードゲームなどアナログゲームに向かっているんですね。やっぱりゲームに戻ってくるというか、米光さんにとってゲームはどうしても手放せないものですか?

米光:ゲームが好きというよりは、自分が確信している名付けられない好きな感覚があるのですが、それがゲームと呼ばれているっていう感じです。
だから、本当は違うのかもしれないけど、わかりやすく言うために、「インタラクションが好き」と言っています。

松井:なるほど。

米光:アクションを互いにしあうことが好きで、ゲームってそのインタラクションを生み出すための、装置です。

松井:面白いですね。

■ゲームって何?演劇って何?

米光:今は講師業もしているのですが、初めて講師としてお声がけいただいた時は自分には難しいと感じていたんです。それで、あるカルチャースクールで実施されている他の講義を覗かせていただいた際に、翻訳家の柴田元幸さんの講義がとても面白くて。

サリンジャーの短編、確かバナナフィッシュを読んでいたのですが、柴田先生はサリンジャーや時代背景の説明をしているんですけど、最初は誰も質問しない。しばらくすると誰かが「主人公は最後自殺して、奥さんは大変だから迷惑な男だと思います」と。文学の話をしていたのに「迷惑だと思います」って、僕は驚きました。

でも柴田先生はちゃんと受け取って、
「わー、その視点なかった。確かにこの男迷惑だよね。いいホテルで、自殺しちゃって奥さん後始末大変だ。たしかに、この奥さんは……」とそこから話を深めていくんです。そうすると、皆がそこにいろいろ言いたくなって、どんどん質問してそれをまた柴田先生が受け答えして…それが面白くて!自分もこれをやりたいと思いました。

これって色んな角度からインタラクションが起きていて、ゲームじゃんって思ったんです。

松井:本当納得というか、僕がワークショップをやっているときに近い気がします。
でもワークショップじゃなくて演劇を作っていると、演劇って閉じているというか、作り手側が作ったものを鑑賞するということに少しモヤモヤするというか、もっとインタラクションが起きるような演劇って作れないのかとよく考えます。

米光:演劇も好きだから、このトークにお誘いいただいてから演劇とゲームについて考えたんですが。

松井:ええ。

米光:ゲームって観客がいないんです、今の所。ルールブックが戯曲、プレーヤーが俳優。戯曲と演じる人はいても、それを観戦するってあまりない。将棋ぐらいになると観戦もあるんですが。その代わり、普通の戯曲よりは読まれるかもしれない。

松井:そうそう。だから、演劇をやっている人ってそんなにいないと思うんです。でも僕は演劇のハードルを下げたい。演劇の楽しさを知ってもらうためには、皆に気軽にプレーヤーになってほしいけど、難しいです。気軽に演劇ができるカードゲーム(標本会議)を作ったりしているんですが…どうしても演劇的に考えて、そうなるとプレーヤーに複雑な行動をさせようとしてしまう。

米光さんは、ゲームを作るときにプレイヤーの行動はどんなふうにデザインしているんですか?

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