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「女だったらこの仕事やってない?」(3月中旬〜4月上旬の日記)

■3月中旬の金曜日
 午後からある取材があり、とても緊張して起きる。午前中に原稿を完成させて送る。約束の時間に行き取材が始まるや否や楽しい時間がすぎるから不思議である。
 人に話を聞く仕事をしていると思うのが“話すのがうまい人”と“準備したことしか話せない人”がいるということだ。もちろんアドリブ的に話ができた方がいいのかもしれないけれど、インタビュアーとしては話すのが苦手な人でも話したくなるような雰囲気を作ってあげるのも仕事だなと思った。
夜はそのまま取材先の人とご飯を食べ、9%の缶チューハイを飲んで泥のように眠る。

■3月中旬の土曜日
 朝ゆっくりと起き、午後阿佐ヶ谷まで散歩をする。この土日は休もうと決めていたので清々しい気持ち。天気もいい。春の乾いて涼しい風を目一杯吸う(花粉も一緒に)
 前から気になっていた朝陽という中華料理屋に行く。

 阿佐ヶ谷姉妹のエッセイにも出てくるこの中華屋、お店のおじさんのキャラがいかにも姉妹が好きそうな感じだった。私はにら玉定食。オットは豚玉定食を注文。写真撮り忘れたけど味も美味しかった。
 帰りにジェラートを食べる。

“デュオ”という2種類選べるタイプにして、私はブルーベリーヨーグルトと魔除けのローズマリー。オットはピスタチオと桜フレーバーを注文。どうして桜にしたの?と聞くと「春を感じたいから」とオット氏。見るもの感じるもので春を感じようとしがちだけど味覚からも感じられるよねーという当たり前のことに気づく。

 夜はなんと確定申告を終えられた。還付金も結構戻ってくるので、また食いつなぐことができそう。

■3月中旬の日曜日
 昼頃に起きる。その後、お昼を食べる前にオット氏と名字について話し合う。
 今、結婚してオットの苗字を名乗ってるがもはやペーパー離婚をして事実婚の形をとったほうがお互い自分らしく居られるんじゃないか、というのが最近のハイライト。結婚(というか入籍)をしてよかったのは、病院関連(面会できるとか)と保険関連だけなので、自分の名字で居られないことと比べると、別姓で事実婚のほうがいいのではという結論だ。オット氏はもう少し考えたいということで、結論はまたペンディングになった。
 例えば子供を産むとなった時、今オットの名字を名乗る私はさらに身動きが取らなくなる。オットの婦人にみなされ、オットの名字を名乗る子供の母となる。それを考えるだけでしんどい。私は私のままでいたい。
 結局は、自分がどう扱われたいか、だと思う。「女として扱われたくない」「◯◯さんの妻として扱われたくない」という積み重ねの先に自分がどうありたいか、の答えがあるんだと思う。
 午後は、溜まってた古着を買取に出す。査定待ちの間、94歳のおばあさんに話しかけられたり、散歩して座・高円寺のカフェにはじめて入ったりした。

■3月の中旬①
 やる気が出ないんだろうなと思いながら起きる。正確にいうと一度目は自分の寝汗で寒くなって起きて、汗を拭いた後に二度寝した。起床10時。そこからネットやったり散歩に行ったりしながらなんとかメールを返し、インタビューの文字起こしを開始する。散歩では業務スーパーで冷凍ピザと冷凍の肉まんを朝ごはん用に買った。15時になりやっと動き出せそうと思う。

■3月の中旬②
 朝7時起床。終日撮影の仕事。薬を飲まずに頑張ろうと決めたら意外とできた。以前撮影で薬を飲んだら眠くなってしまって大変だったのだ。17時ごろ終了して、帰宅。オットがカレーチャーハンを作って待っていてくれた。
男性ばかりの撮影現場だったので疲れていたこと、現場にいたヘアメイクさんと話をして、「一流って何だろう」と思ったことなどをオットに散歩しながら話す。
 以前、女性のカメラマンさんが「私、女じゃなかったらこの仕事をやっていない」と言っていて、そういう女性のフリーランスの人は意外と多いのかもしれないけれど、私はずっと違和感があって。その話も散歩中にオットにしたら、「結婚しているからといってフリーになるとかならないとか僕はないけどなあ」とのこと。そのカメラマンさんは、”収入が不安定な職業”という一点で、女じゃなかったらフリーはやらないと言っていたと思う。 
 私は一応世間的には結婚している女なのだが、周りからそう見られているんだろうか。だとしたら嫌だな。そんなことを考えた。
 結婚、なんて別にしてもしなくてもいいと思っているのだけど、誰かと暮らしているということは、そんなに悪いもんじゃないな、結婚の良さを一つあげるとすれば、帰ってこうやって話の聞いてくれる相手がいる、ある意味”安定感”なのかもしれないな。

■4月上旬①
 別に何かあるわけじゃないのに朝から疲れてる。たまっていくメールたち…。なんで誰とも喋ってないのに気疲れしてるんだろう。みたいなことが続いて、昨日念願のカウンセリングに行った。体調不良でなかなか行けなかったカウンセリング。境界性パーソナリティ障害はもちろんなんだけど、「ひさこさん、HSP関連の本読んでみたらラクになるんじゃない?」とアドバイス。自分の生きづらさに向き合うきっかけになったのは、たしかにHSPなので本を読んでみようと思う。

■4月上旬②
 試験に落ちていた。そのまま「死にたい」になっていたので、これはまずいと思って文章にしている。落ちたら這い上がると聞いたことがある。弁護士の試験とか、天気予報士の試験とか。こうやって落ちる経験をして、それでもがんばりたいと上を目指すその意思というか、私は、もう、自分が恥ずかしい。恥ずかしいというか、きっと「あの人は無能だ」と誰かに指さされているような状況が苦手で、試験に落ちるということはそういうことを意味するように思う。それでも。・・・とここまで書いて、その後は赤ちゃんのように大声を出して泣いた。感情がコントロールできない。

■4月上旬③
 心がおどるような音楽も嫌なこと全部忘れてしまえるほど没頭できる映画もない。傘を入れる長細いビニール袋に溜まった水を喫茶店の床にぶちまけ、ファミレスのドリンクバーではお茶をこぼした。もちろん一日中降っている雨にも濡れた。そうやって自分の周りをびしょびしょにした一日だった。まつげエクステをバチバチにつけた店員と目があったとき、何を言っても勝てないような気がした。だから、無駄なオプションを契約させられたんだと思う。自分にも自分のやっていることにも全く自信がなくなってくる。一瞬、ジェーン・スーだったら「落ちている日もあるわ」と大雑把に笑い飛ばすのかなとか、フリーアナウンサーの堀井美香さんだったら「そういう日ありますよね」と麗しい声で言ってくれるのかなとか、考えるけど、それは本当に一瞬。泣くか、文章を書くか、一瞬でも自分を紛らわせていないとすぐ死にたいが襲ってくる。

■4月上旬④
 今日も椎名林檎に心を救われた。NHKアニメおじゃる丸の新エンディングテーマだという「いとをかし」は、椎名林檎ソロ名義2年ぶりの新曲だ。椎名林檎が作詞作曲編曲まで担当したこの曲の楽器はピアノのみ。私はピアノのみの楽曲にとても癒やされるタイプなので嬉しいことこの上ない。おじゃる丸の有名なセリフ「許してたもう」も歌詞に入っている。今回は歌詞でぐっときたところというより、繊細なメロディによってかなり泣かされたという印象。以前、何かのインタビューで「死にたいなと思っている女の子がいたら私の曲を聞いてお腹すいたな、と思いとどまってくれたら」というようなことを椎名林檎は言っていた。昨日から希死念慮が出て仕方のない私に突き刺さ楽曲だった。サブスクで聞けるので聞いてみてほしい。


今度一人暮らしするタイミングがあったら猫を飼いますね!!