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【AIを使いこなすツール】コンピュータ出現時の状況を振り返る『予測マシンの世紀 第三部』#11

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。

目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定
第3部 ツール
 第十二章 ワークフローを分解する
 第十三章 決断を分解する
 第十四章 仕事の再デザイン
第4部 戦略(経営層にとってのAI;AIがあなたのビジネスを変容させるとき ほか)
第5部 社会(AIと人類の未来) 

第三部、ツールに関してです。昨日の記事は以下です。

■仕事の再デザイン
AIツールの導入により、仕事のワークフローが大きく変わり、仕事自体の再デザインが必要です。それでは第十四章の内容を詳しく見ていきます。

AIによる革命を考える上で、インターネットが登場する以前に起こったコンピュータ革命を振り返ることから始まります。コンピュータによって何が変わったのでしょうか?

コンピュータは算術、つまりたくさんのものを足し算することを容易にしたしました。最初のキラーアプリの1つは、簿記を簡単にすることだった。

非常にシンプルに考えると、コンピュータの登場で足し算が大量に早く正確にできるようになりました。ではそれ以前はどうだったのでしょうか?本ではVisiCalcを作ったダン・ブリックリンさんの話が出てきます。

ダン・ブリックリンは、MBAの学生時代、ハーバード・ビジネス・スクールのケースでさまざまなシナリオを評価するために、繰り返し計算することに不満を感じていた。そこで彼は、計算を行うためのコンピュータープログラムを書き、それが非常に便利であることに気付き、ボブ・フランクストンと共にApple IIコンピューター用のVisiCalcに発展させたのである。VisiCalcは、パーソナルコンピュータ時代の最初のキラーアプリであり、多くの企業がオフィスに初めてコンピュータを導入した理由でもある。計算時間が100分の1に短縮されただけでなく、より多くのシナリオを分析できるようになった。

VisiCalc、詳しくは知らなかったです。以下の記事が勉強になります。

本によると、1970年代、計算する人はブックキーパーと呼ばれており、アメリカで40万人以上が働いていたそうです。VisiCalcをはじめとする表計算ソフトにより、ブックキーパーが最も時間をかけていた「計算」が省かれました。それでは、ブックキーパーは失業したのか?

そうはなりませんでした。また、ブックキーパーから反発が起こり、表計算ソフトの普及を阻むこともなかったそうです。なぜ簿記係は表計算ソフトを脅威に感じなかったのでしょうか?

なぜなら、VisiCalcは実際にそれらの価値を高めたからだ。
計算が簡単になった。
どれくらいの利益を見込んでいるか、前提条件を変えたらどうなるかを簡単に評価できる
何度も再計算できることで、ビジネスの全体像を把握することができる
1つの投資で利益が出るか出ないかではなく、複数の投資を異なる予測のもとで比較し、最適なものを選ぶことができる。
しかし、どの投資を試すかは誰かが判断しなければならない。表計算ソフトを使えば、簡単に答えを出すことができ、その結果、質問をすることに対するリターンが大幅に増えたのだ。

ずっと議論して学んできたように、計算する行為のコストが劇的に下がったことで、その計算結果をどう生かすかの判断の価値が高まった、ということですね。むしろ補強されたのです。

スプレッドシートが登場する前に苦労して答えを計算していた人たちは、コンピュータ化されたスプレッドシートに対して適切な質問をするのに最適な立場にいたのだ。彼らは代替されたのではなく、スーパーパワーで補強されたのだ。

考えてみたら当然ですが、何らかの計算には目的があり、計算が簡単に計算できるようになったので、目的達成のために考える時間が増えたと。

このことは、予測マシンの導入の際にもあり得るシナリオです。

AIツールが導入されることで、仕事の一部をマシンが代行することで、仕事が拡張されるというシナリオは、自然な成り行きとしてごく一般的になるだろう。仕事を構成するタスクは変化する。予測可能なマシンがそれを引き継ぐことで、いくつかのタスクは削除される。人が時間をかけられるようになれば、追加されるものもある。
また、多くの仕事において、以前は必須だったスキルが変化し、新しいスキルがそれに取って代わることになる。ブックキーパーがスプレッドシートの魔術師になったように、AIツールによる幅広い仕事の再設計も同様に劇的なものになる。
予測マシンの導入により、仕事が拡張されます。そこに対応する必要がありそうです。今後見ていきますが、実際に予測マシンを導入する際はどのような流れでしょうか?

予測マシンを導入するためのプロセスでは、どのような結果を重視すべきかが決まる。それは、
仕事の流れ全体を評価し、
それが仕事内のものであるか、仕事を超えたものであるか(あるいは、部門や組織の境界線)、そして、仕事の流れを構成するタスクに分解し、
そのタスクに予測マシンを採用することが有益であるかどうかを確認することだ
その後、タスクをジョブに再構成する必要がある。

それでは明日以降、詳しく見ていきます。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/


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