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恋愛へのモヤモヤからできた架空のアプリ・「kipt(きっと)」

kipt(きっと)

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あらゆる関係性には、きっとこうあるべき、というものが存在しているように思う。恋愛には、とくに。

きっと、に縛られながらも、
きっと、からなかなか動けない。

自分のことを伝えるのは、相手の気持ちを尋ねるのは、とても勇気がいることだから。つい、「わたしはこう思う、あなたは?」よりも、「普通こうだよ」とか、「みんなこうしてるよ」なんて言ってしまう。


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それでも、2人の関係性は、2人でつくっていきたい。
わたしとあなたでいたいのです。


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Epilogue

「アセクシャルとわたし編、いったん完結です。」

アボカドを書いた、昨年の秋。
華々しい最終回を迎えたような気持ちになっていたのだけれど、
残念というか当然ながら、それでは終わらなかった。

あれから少しして、自分の中にアセクシャルさんがいることを頑なに否定するようになった。え?めっちゃ受け入れてる感じだったって?わたしもそのつもりだったさ~

受け入れて、自分を丸ごと好きになるとかつづっていたのだけど、結論から言うと、いまのわたしにはそれは無理っぽい。

アセクシャルさんは、ある日急にやってきた同居人のような存在。

出ていってほしくても出ていかないし、こちらには選択肢もなく一緒に住むしかない。だからどうにかお互いストレスフリーに生活する方法を探してきた。アボカドに書いた、(今のわたし)作戦もそのひとつ。

その作戦自体は意味のあるものだったと思うけれど、それだけでは、わたしたちの生活はうまくいかなかった。なんというか、お皿洗い当番はちゃんと決めて回るようになったけど、今度は風呂洗いでぎくしゃくし、その次は洗濯物の分担と、きりのない感じ。

それもそのはず、心の底では一緒に暮らしたくないと思っているし、早く出て行ってくれよと願っているわたしがいるから。2人の暮らしをつくることに前向きじゃない共同生活が、うまくいくはずない。

できるだけ顔は合わせないようにして、何かあればそのたびに仮説を出して解決し(たような気になり)、たまに、あなたもわたしだよと抱きしめてみたりする。無理がありすぎる。

思えば、(今のわたし)作戦も、とっても無理してる。これからもそうとは限らない、それは、今のわたしが続きませんようにと願う言葉。いいこと思いついた!というテンションでごまかしながら、顔はそむけて同居人をハグしようとしているみたい。本当は出ていってほしいけれど。結局どうしてもハグできなくて、また、作戦を立てようと頑張る。

もう疲れてきちゃったよ。いやいや何言ってるんだ、うまくいくまでやるんだと心の中で鬼軍曹が檄を飛ばす。そんで、やっぱりうまくいかない。こんなに苦しいのはアセクシャル、お前がいるからだ!!!とすっかり悪者扱い。

そしてどういうわけか、自分について話そうとすると、言葉に詰まるようになってしまった。自己紹介なんてもう、ドッキドキ。何を言ったらいいのかわからない。

たまたまFacebookでシェアされていた、どなたかのブログ。タイトルはLGBTQ講演についてだったけれど、アセクシャルであることも書かれていた。そこについていたあまりにひどい無数のコメントたちが自分にもつきささり、いやいやわたしは違うという謎の抵抗を見せたところでもう限界だったと思う。

そんなときに、友人と、釧路と帯広に旅行へ行った。

おいしいバナナシェイクを飲んで、丘を登って湿原を眺めて、温泉に入った。カレーを1日1食は食べて(念願のインデアンも!)、たっぷりの言葉と同じくらいの、たっぷりの無言に包まれながら過ごした。

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そして気づいた、どうやらわたしは、わたしの思考を過信しすぎていたみたい。作戦や仮説は万能じゃない。同居人をどうして受け入れられないんだろうとか、どうしたら一緒に平和に暮らせるんだろうとか。考えたって、どうにもならなかった。そんなときは、考えて、どうにかしようとしなくたっていい。

そしたらどうにもならなくて苦しいことを、誰かに聞いてほしくなった。
奥底に沈んだ"どうしようもないきもち"を、すくって、弔ってあげたくなった。言葉でも、言葉以外の何かでも。

それで、誕生したのが「kipt」。
批判でも否定でもなく、ただただ、わたしの嘆きです。

思考に加えて、ニューアイテム、嘆きの軸を手に入れたわたし。
またここから、始まっていく。




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