骨を良くするものとは?【手技道コラムNo.208】(再掲)
2018.4.22掲載
こんにちは、手技道の多治見です。
やっとスギ花粉もヒノキ花粉も落ち着き、
くしゃみも鼻炎も楽になってきたお蔭で、
窓を存分に開けて換気ができることが大変嬉しいです。
窓を閉め切って換気していないと、家の中の空気が淀んでしまい、運気が悪くなります。
この運気というのは、目に見えないエネルギーを言うだけでなく、
ほこりや臭いが溜まることで、嗅覚、触覚など、自分の五感を狂わせることになり、
心理的にネガティブになりやすいので、やはり、部屋の掃除も空気の入れ替えも大切ですね。
さて、最近、手技道のキーポイントである筋膜について、
まとめている中で、院長が大変面白い表現を
それは、「筋膜は『第2の骨格』」というものです。
骨格とは、簡単に言うと骨で出来た関節で人の形を作るという事です。
骨や軟骨などの骨成分を含むものを指し、筋筋膜系は普通含まれません。
では、何故筋膜を骨格と呼ぶのか?
よく聞く「骨粗鬆症」など、骨が弱くなった時や普段から弱らない為にどうすれば良いのかを交えてお話したいと思います。
◯カルシウムをとっても骨粗鬆症
さて、皆さん、骨は一番どんな栄養で出来ているかと聞かれたら、何を想像しますか?
TVやメディアの影響で、やはり「カルシウム(Ca)」とお答えする方が多いと思います。
特に健康補助食品やヨーグルトなどのCMで見慣れているかも知れません。
しかし、本当はカルシウムではないのです。
飽くまでもカルシウムはこんな写真の鉱物、石であり、これが行き成り骨に成るわけではありません。
カルシウム -Wikipediaより
正確には骨の主成分と成るのは、「リン酸カルシウム」と言う物質です。
やはりカルシウムじゃないかと思われるかも知れませんが、
大切なのは、ちゃんとリンと結合して必要な成分に化学変化しているということです。
患者さんからも真面目にカルシウムを摂っていても、
骨粗鬆症になってしまった家族がいてどうしたら良いか困っているという相談を受けることがあります。
こういった場合、カルシウムやリンをいくらとっても改善が見られ無いことが多くあります。
では、実際何が必要なのでしょうか?
◯骨を作るのに必要なもの
前述のように、骨はカルシウムだけで出来ているわけでありません。
骨を丈夫にしたい場合、
1.栄養
2.システム
この二つが必要です。
栄養で代表なのは、カルシウム、リン、ビタミンDなど。
リンとカルシウムが結びついて、主成分のリン酸カルシウムになりますが、
同時に骨の内部がスカスカにならないようビタミンDが活躍してくれています。
骨のカルシウムを腸から吸収したり、逆に濃すぎないよう血中に逃したりと骨密度を最適に維持するビタミンDの働き。
ただし、このビタミンDは日光がないと活性化しにくい特性があります。
以前バンブリアンの記事でもミトコンドリアの活性にも日光が必要と書いたように、陽に当たることはとても大切ですね。
太陽は偉大です。太陽万歳。
因みにストレス軽減や抗鬱に効果のあるセロトニンの分泌も日光を浴びることで増加します。
ビタミンD自体は食品で言えば、イワシ、シラス、サンマなどの魚類や、シイタケなどのきのこに多く含まれますので、これらを意識して食べてみてください。
どうでしょう?皆さんは食べていますか?
ここまでが、一般的な骨形成に必要な栄養素の行程ですね。
でも、これらの栄養素だけでは不十分。
更に骨を作るシステムに関するものが必要になります。
それが中胚葉系の物質です。
◯必要なのは「中胚葉」系
中胚葉とは、皮膚と内臓の間にある組織細胞の殆どをいい、
特に神経系など、身体の情報を伝えるのに大切な組織も中胚葉系由来です。
骨格に必要な骨、軟骨、筋肉、筋膜も中胚葉系に属していますね。
そう、骨の材料となるカルシウムやリン以外にも、骨を作る為のシステムである中胚葉系を活性化させる栄養素も取らないと本当の意味で骨を作りやすくすることはできません。
そんな中胚葉系を補充するために必要なのが、「ムコ多糖体」というものです。
ムコ多糖体とはグリコサミノグリカンやプロテオグリカンと呼ばれる糖タンパクの複合体で、有名なのはコラーゲンや、コンドロイチン、ヒアルロン酸などのことを言います。
この辺りの名前は聞いたことあるんじゃないでしょうか?
更に“ムコ”とはラテン語のMUCUS=動物の粘液を意味しているそうです。
このプロテオグリカンは細胞外マトリクス(細胞を包み細胞を形作る膜)の成分の一部で、細胞の修復維持機能を持ちます。
ここでも手技道で注目する筋膜と同じように膜組織は体の形、機能を維持すること=健康を維持するのに重要な役割を持っているのですね。
このムコ多糖体が多く含まれるのは、ウナギやすっぽん、牛軟骨、フカヒレ、ナマコなどですが、これらはタンパクや塩分過多になりやすいので取りすぎには要注意。
そんなムコ多糖体の中で面白いのが、キチン・キトサンという物質です。
これはカニなど甲殻類の殻やきのこの細胞壁に含まれており、よく変形性膝関節症などの改善に用いられるグルコサミンの元となる物質です。
私が入社する以前にこのカニの甲羅を基にした大変良い健康食品があったそうなのですが、その会社の世代交代の折に残念ながらその商品もなくなってしまったようで、現在手技道でも取り扱いがありません。
代わりに今でも、骨に有効な商品として、以前も紹介させて頂いた「ホメオスター」があります。
【手技道コラムNo.148】骨も身体も頑丈に~ホメオスターのご紹介~
こちらは、カルシウムに加え、情報伝達物質であるサイトカインが含まれていますので、骨折の際に飲んだり、骨粗鬆症の方に飲んでいただくと、骨再生が早くなったり、骨が強くなったという声を何人もの方から頂いています。
中胚葉には神経も入っていると言いましたが、ここでいう神経とは、背骨の中や肌が痛みを感じる細い糸のような索状神経ではなく、ホルモンや上記のサイトカインなどの液状の情報伝達物質も含み、神経もしっかり働かないと骨を作る命令も体に伝わりません。
ただし、こう言ったキチン・キトサンはじめとした各種のサプリメント、
カルシウムやビタミンなどの過剰摂取も大変危険です。
サプリメントは取りすぎることでアミノ酸過多となり、
各種の病気、例えば結節(関節)や臓器の異常、腫瘍の形成など、怖い場合は癌にまで発展する可能性も0ではありません。
また、カルシウムも単体で働くのではなく、体内のナトリウムとお互いの総量のバランスをとっています。
その時々の体調に合わせて、体の中の必要なところにそれぞれの栄養素が行くようにしているので、
このバランスが崩れて片方だけが多くなりすぎても、
体調を維持する恒常性(ホメオスターシス)が働かなくなります。
どの程度必要なのかも、その時々の個人の体の状態で全く違うので、
沢山取ればいいというものでもありませんのでご注意ください。
◯筋膜は骨や身体を作る情報を伝えるシステム
さて、冒頭で「筋膜は『第二の骨格』」と書きましたが、筋膜も中胚葉由来のコラーゲン質でできています。
このコラーゲンでできた膜組織が、それぞれ皮膚(外胚葉)と内臓(内胚葉)の情報を、
骨や筋肉(中胚葉)に付着する表層筋膜と深層筋膜、骨膜にある神経系を介して、
身体の状態を意識的、無意識的に感知することで、
骨や筋肉の形や位置を維持し、
細胞を元の元気な状態に働くよう情報伝達信号を脳に送る重要な役割を果たしているからこそ、
第二の骨格と呼べるのだと思います。
何より、カルシウムをはじめとした栄養を腸が活性してないと吸収することもできませんので、
筋膜を通して内臓を元気にするために治療することもとても大切ですよ。
また、骨粗鬆症の大きな原因として、閉経後の甲状腺機能が良くない場合にエストロゲン減少(エストロゲンは骨産生を促す作用があります)から起きることがあります。
こういった臓器が悪くなることが原因の場合、どんなに栄養ばかり取っても既に機能が壊れている場合は、なによりその臓器、機能、システムを治さない限り、再発の危険性がある場合や、
補充の為にとった栄養を吸収できないことで過剰摂取と同じように体にたまりこむことで、違う病気や症状を引き起こす可能性があることも覚えておいてください。
そういった体の異常を原遺障害と呼び、手技道では治療させて頂いております。
骨は体の深部、内臓同様、一番奥で体を支えるものですから、作るのも維持するのも大変で大切ですね。
必要な栄養と一緒に、皆さんの健康づくり、骨作りのシステム作りをして、
骨折や大病の予防の一助となれば幸いです。