死闘ジュクゴニア_03

総集編・第一章『勃発』 #死闘ジュクゴニア

今すぐ連載に追いつきたい。そんな貴方のための総集編プログラムです。

本編目次】【キャラクター名鑑【総集編目次】

第一話「超常なる帝国」

 超常の力〈ジュクゴ〉。創世の昔、神の発する言葉によって世界は創られた。その創世の力が込められた神秘の断片、言葉の連なりこそが〈ジュクゴ〉である。運命に選ばれし者の体に〈ジュクゴ〉が刻まれた時、その者は超越的な力を手にすることになる。人々はその超越者たちをこう呼ぶ。〈ジュクゴ使い〉と。

 ジュクゴニア帝国。それは恐るべきジュクゴ使いたちの帝国である。超常の力を駆るジュクゴニア帝国は、今や怒涛の勢いで世界を飲み込もうとしていた。

 占領下の街、調布。そこを進むジュクゴニア帝国皇帝フシト率いる親征軍。その前に独りの少年が立ちはだかった。その右の瞳には「不」。その左の瞳には「屈」。両眼に刻まれし〈不屈〉の二字! ジュクゴニア帝国の兵士たちを前にして、その少年は名乗った。

「俺はハガネ。不屈のハガネ! お前たちジュクゴニア帝国を滅ぼす者だ!」

 

第二話「死闘開始」第三話「加速する精神」第四話「不屈の闘士」

 ハガネはその力で親征軍の前軍を圧倒していく。前軍に属するジュクゴ使い、漆黒のザーマは呻いた。

「こいつ、まさか危機になればなるほど、強くなるというのかっ……!?」

 

第五話「劫火のカガリ」

 親征軍・前軍に属する劫火のカガリ。彼女はハガネに対し異常なまでの執着をみせる。彼女の劫火の力は仲間をも巻き込み前軍すべてを焼き尽くす恐るべきものだった。ハガネとカガリ。二人は劫火の中で闘いを繰り広げていく。一方その頃、親征軍後方ではハガネの属するレジスタンスのリーダー、電光石火のライによる皇帝フシト襲撃計画が開始されていた!

 

第六話「迫りくる驚異」第七話「真のジュクゴニア帝国」

 カガリと死闘を演じるハガネの前に現れた四人の強大なジュクゴ使いたち。彼らはジュクゴニア帝国憲兵団──苛烈なる治安維持のための恐るべき暴力装置であった。憲兵団団長、花鳥風月のミヤビはハガネに言い放つ。

「今から貴様に教えてやろう! 真のジュクゴニア帝国というものを!」

 

第八話「電光石火のライ」

 レジスタンスのリーダー、電光石火のライ。その力は壮絶であった。皇帝直属である親衛隊の精鋭たちですら、その超スピードの前に次々と圧倒されていく。ライは背負っていた。いまだ頑強に抵抗を続ける多摩、町田、八王子。その三都市に暮らす人々。ライは叫ぶ。

「待っていろ、皆。待っていろ、ハガネ! 私が終わらせる……終わらせてみせる。全てを、この手で終わらせてみせる!」

 

第九話「テロリスト」

 憲兵団団長、花鳥風月のミヤビはハガネの罪を糾弾する。積み上がる前軍の兵士たちの屍。この惨状は貴様が作り出したのだと。そしてかつて世界を襲った〈崩壊の日〉。それを救ったのは皇帝フシトであり、その秩序に挑戦するお前たちはただのテロリストであると──しかしハガネは叫んだ。

「俺は知っている! お前たちの行為を! ここまでにやってきたことを! お前の言葉が、嘘偽りだと知っている!」

 その拳はミヤビの体を貫く!

 

第十話「大元帥バガン」

 帝国の誇る移動幕営ジンヤ。皇帝フシトの在するそれは、超常の力で稼働する巨大な宮殿のごとき威容であった。親衛隊を圧倒した電光石火のライは、今まさに、その中へと突入しようとしていた。しかし。そのライの前に一人の光り輝く少年が降り立った。彼の名はバガン。帝国の大元帥バガンである。

 

第十一話「花鳥風月」

 ハガネの拳がミヤビを貫き、勝負は決したかに見えた。しかしそれはまだ闘いの序章に過ぎなかった。ミヤビの花鳥風月がその真の力を発揮する。その四字ジュクゴの力の前に圧倒されるハガネ。そしてミヤビの剣はハガネの体を刺し貫く。

 

第十二話「最強のジュクゴ使い」

 戦場から離れた府中の街。その酒場に奇妙な女が現れた。道化師のようなメイクをした女。彼女は酒場の客たちに嘯く。

「えぇー、まさかまさか、そんなまさか。ご存知ない? 最強のジュクゴ使いをご存知ない?」

 ジュクゴニア帝国を怖れて口をつぐむ酒場の客たち。しかし女は高らかにその名を告げる。

「本っ当は皆様もご存知のはず! そう! そうなんです! 空前絶後のジュクゴ力(ちから)! 最強にして至高! 万軍を前にして不敗! 世界の理すら覆す異能! そして在りとあらゆるジュクゴ使いを超越した……」

 それはミリシャ。世界五分前仮説のミリシャ。かつてジュクゴニア帝国に戦いを挑んだ超常の戦士。一方その頃、戦場では電光石火のライが地に伏していた。

「通用しない……まるで……通用しない……逃げろ……逃げてくれっ……ハガネっ……」

 ライを圧倒した大元帥バガンは吠える。

「ふっははっ! 誇れ! 誇るがいい! 電光石火のライよ。お前は強かった。我が一撃で滅んだ、あのミリシャなどよりはよっぽどな!」

 なおその頃、ハガネとの死闘を生き延びていた漆黒のザーマは憲兵団の二人・阿形のアギョウ吽形のウンギョウによって頭蓋を砕かれていた。

 

第十三話「一条の光」

 ミヤビの花鳥風月の力によってハガネの命運は尽きようとしていた。薄れゆく意識の中で、走馬灯のように過去の光景が流れていく。しかしその時。

「ハガネぇーー!!」

 力強い叫び。そして差し込む一条の光。その光に照らされ、ハガネは思い出した。己の闘う意味を。自分が背負っている人々の命の尊厳を! その光。それは劫火のカガリが憲兵団副団長、永久凍土のツンドラに放った炎の輝きであった。ハガネは再び立ち上がる。ハガネの不屈の力が蘇り、その肩からは不可思議な翼のような光が伸びていく。驚くミヤビ。その顔面をハガネの拳が撃ち抜いた!

 

第十四話「高みへ昇らんとする者」

 復活したハガネの力はミヤビの四字の力に肉薄するものであった。しかしミヤビには誇りと矜持があった。その誇りがミヤビに力を与えていく。

「私はより高みへと昇りつめていくべき男。ゆえに……ゆえに認めんっ! 今ここで、貴様ごときに躓くような事態を、私は断じて認めはしないっ!」

 二人は己を賭けて激突する。そして──地力に勝るミヤビが勝利した。ミヤビは剣を上段に振りかざし、ハガネに告げた。それはまるで悼むように、そして友に語りかけるかのように。

「さらばだ」

 

第十五話「無辺際のムサイ」

 ハガネの命は尽きようとしていた。ハガネに執着し、守ろうと孤軍奮闘する劫火のカガリ。その前に現れた一組の男女。レジスタンスの一員、無辺際のムサイ、そして隠密のステラ。ムサイはミヤビを引きつけ、ハガネたちを逃がす。ミヤビを挑発するかのように、ムサイはひらひらと手招きをして言った。

「まぁそうだな。時間ぐらいは稼いでみせるさ」

 

第十六話「繋ぐ想い」

 超常の念話によって全世界に対し大元帥バガンの布告がおこなわれた。それは翌日正午、電光石火のライの処刑をおこない、多摩・町田・八王子の三都市を殲滅するという恐るべき内容であった! その布告の最中、調布へと向かう道化師メイクの女の姿、そして死闘を繰り広げるミヤビとムサイ! ムサイは叫ぶ。

「お前たちはジュクゴニア帝国最大の脅威を逃してしまった。ハガネの持つ不屈。あの二字こそ俺たちの希望。決して屈することのない、抵抗する者達の灯。ハガネがいる限り俺たちの想いは繋がれていく! ハガネは、俺たちは、決して屈することはないっ!」

 ミヤビは笑い、確信に満ちた表情でそれに応える。

「それでこそ、我が好敵手であるっ!」

 

第十七話「飛翔」

 ハガネとカガリを抱え、逃走を続ける隠密のステラ。しかしその前に憲兵団の二人、阿形のアギョウ吽形のウンギョウが立ちふさがる。ステラの命運が尽きようとしたその時、ハガネはその不屈の力で再び立ち上がった。カガリとの共闘。そしてミヤビとの戦いの最中、覚醒しつつあった光の翼が調布の夜空を貫き飛翔する!

 その不屈の耀きを目撃する人々。ミヤビは笑っていた。

「はははっ! わかる! 私にはわかるぞ、ハガネ! あれは貴様だ! 貴様の仕業だ!」

 ムサイは叫び、そして散った。

「飛べ! ハガネ! 俺たちの希望! ライを……ライを任せた……ぞっ!」

 ハガネは吠えた。

「ライさん! ムサイさん!! 俺は! 俺はっ!! 俺は、決して立ち止まらない! 俺は決して、屈しはしない!」

 その翼の羽ばたきは強大なジュクゴ使いであったアギョウとウンギョウをも打ち破る。そして力尽きたハガネたちを、レジスタンスの仲間であり、家族でもあるゴンタとゲンコが救い出したのだった。

【総集編・第二章「翼」に続く!】

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