死闘ジュクゴニア_03

第9話「テロリスト」 #死闘ジュクゴニア

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前回

「俺は……俺はテロリストでもなければ、鼠でもない……!」
「ほぅ?」

 ハガネの瞳、不屈の二文字が凛と輝く。

「俺はハガネ……不屈のハガネだ!!」

「ふっ……くっはっはっはっ!」

 ミヤビは突如、肩を震わせ笑い始めた。

「この鼠は! 自分はテロリストではない。そう言ったか!」

 嘲るような声音。それととともに旋風のような剣がハガネの体を切り刻む。一撃、二撃。かすめたその体から、ぱらぱらと花びらが散っていく。

「それでは鼠! 貴様の産み出したこの光景、これはなんだ言うのか!」

  凄まじいスピードの刺突! ハガネは辛うじてそれをかわす。ミヤビの剣撃に呼応するかのように一陣の風が吹き抜け、二人の間を花びらが舞った。辺りには瓦礫、そして焼死体。おぞましい光景が広がっている。

「貴様がどのように言い繕おうと! この光景は貴様が産み出したものだ! だから貴様は!」

 ミヤビは剣を大きく振り上げた。

「人殺しに過ぎん!」

 縦に撃ち降ろす強烈な剣撃! ハガネは半身を引いてそれをかわす。

「だが貴様の罪はそれだけではない!」

 下段からの斜め切り上げ! ハガネは前転するようにそれをかわし、後ろに飛び退く。距離を開けたハガネに対し、びしりと剣を突き付け、ミヤビは言った。

「子どもである貴様とて知らぬわけではあるまい。かつて世界に訪れた『崩壊の日』のことを。そしてその後の世界の混沌を!」ミヤビの口調が熱を帯びる。「それを救い、世界に秩序をもたらした者。それは誰か! それはフシト皇帝陛下、そして我らジュクゴニア帝国である!」

 バァアアアーーン!! ミヤビの体が爆散! 花びらの暴風となってハガネの周囲を取り囲んだ。

「地獄のような世界。そこにジュクゴニア帝国が秩序をもたらしたのだ。そのもとで人々は安寧を得た。貴様の暴力、それは秩序、そして安寧への挑戦である!」

 ゴウゴウと渦巻く花びらの暴風。ミヤビの声が木霊する!

「なるほど、その過程ではたしかに犠牲もあっただろう。だがより多くの人間が救われたのだ。にも関わらず! 貴様は、お前たちは! 身勝手な妄想を抱き、そして己の暴を頼み、その力によって平和を破壊しようとしている! 故に貴様はテロリストである。それ以外の何者だと言うのか!」

「……黙れ」

 ハガネは拳をギュッと握りしめた。胸から噴き出していた花びらがピタリと止まる。

「ではなぜ、お前たちはここにいる……!」

 不屈の二文字がギュンっと輝く!

お前たちはここまで、どのようにしてやって来た!

 叫びと共に、ハガネは回転を始めた!

「俺は知っている! お前たちの行為を! ここまでにやってきたことを! お前の言葉が、嘘偽りだと知っている!」

 回転の勢いが増していく!

「俺は確かに人殺しだ。しかし! 俺が殺したのはジュクゴニア帝国、その兵士だけだ! だがお前たちは違う。お前たちはここに来るまでにどれだけの人間を殺してきた! どれだけの人々の生を踏みにじってきた!」

 ハガネの不屈の二文字が輝き、光の渦を描いていく! 猛烈な回転が風を生み、ミヤビの花びらを吹き飛ばしていく!

「なんだとっ!」

 ハガネが生み出した竜巻めいた突風。その渦の中心へと花びらが寄り集まり、ミヤビが実体化していく!

「お前にはわかるまい。俺の、俺たちの後ろに立つ人々を! 俺たちは独りじゃない! 俺は、俺たちは、決して屈しはしない!

 凄まじい回転とともに跳躍するハガネ! 目を見開くミヤビ!

うぉおおおおぉーーー!!! ズォン!!

 弾丸のごとき勢いで、ミヤビの体を貫いた!

【第十話「大元帥バガン」に続く!】

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