【コンテストインタビュー】発想の源泉は「クリエイター自身の実体験」。GAME BBQ vol.1大賞受賞メンバーにゲーム開発への想いを聞いてみた
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【コンテストインタビュー】発想の源泉は「クリエイター自身の実体験」。GAME BBQ vol.1大賞受賞メンバーにゲーム開発への想いを聞いてみた

集英社ゲームクリエイターズCAMP

舞台となるのは人類が滅亡した世界。しかし、唯一の生存者である主人公のメアリに、死者たちからの電話が着信する。彼ら死者との会話によって【世界が滅亡した理由】や【彼らが電話を発信する理由】、そしてメアリの自身のことが明らかになるゲーム『シュレディンガーズ・コール』。

オリジナルゲームコンテスト GAME BBQ vol.1で大賞を受賞した
『シュレディンガーズ・コール』

『集英社ゲームクリエイターズCAMP』のオリジナルゲームコンテスト「GAME BBQ vol.01」で大賞を受賞した本作は、クリエイターさんたちの“実体験”から発想を膨らませたという。制作チームを代表してディレクター・アート担当のAchaboxさん、プログラマーのKoheiさん、音楽・ストーリーを担当するSeishi Irimajiriさんの3名。そして集英社ゲームクリエイターズCAMPからはプロデューサーの林 真理が参加して、本作の開発経緯から意気込みを語って頂きます!

左からAchaboxさん、Koheiさん、Seishi Irimajiriさん

――まずはGAME BBQ vol.01の大賞受賞に関する感想から!

Achabox
受賞を聞いたときよりも、シュレディンガーズ・コールを林さんたちCAMPスタッフに説明する面談のほうが記憶に残っています。面談の前日は緊張しすぎて眠れないほどでした。

で、当日はKoheiさんとSeishiさんと面接の2時間前に集合したら、ふたり共自信にみなぎってるんです。それを見て私も緊張がほぐれて、自分たちのやりたいこと、そして気持ちを伝えきりました。

――大賞の受賞メールをもらったときの感想は?

Achabox
結局、面談前日と同じように動揺してました。とりあえずSeishiさんに電話して落ち着いて、その後にお世話になった会社や家族に電話しました。その日は一日中落ち着かない感じになってましたね。純粋に嬉しかったです。

Seishi
大賞の知らせを聞いたときは、「これは本気で作るしかないよな」というプレッシャーはありました。大賞を獲得できたポイントとしては、やはりAchaboxさんとKoheiさんというメンバーが揃ったことが、なにより良かったのではと思っています。

Kohei
僕もAchaboxさんと同じで大賞を獲得できるとは思っていませんでした。でも、Seishiさんは「僕は獲れると思ってたよ!」と堂々としているんです。それが印象的でしたね。

Achabox
Seishiさんは面談の1時間前から堂々としていましたよ。「この人、お酒飲んでるの?」ってぐらい(笑)。

Seishi
飲んでない、ノンアルコール(笑)。

Achabox
こういったSeishiさんのお兄さんキャラ的な部分に引っ張られて、面談では自分のやりたいことを全部伝えきれたのだと思います。

――では開発メンバーたちの熱意は、面談を担当したプロデューサーの林さんにはどのように伝わったのか?

林 真理
Achaboxさんの過去の経験ですね。その原体験をゲームに取り込んだ部分が、「企画書を作っておしまい」というような作品とは違い、話してて面白かったし、魅力的だと感じました。熱意がしっかり伝わってくる面談でした。

――開発メンバーとして一番に伝えたかったことは?

Kohei
【電話に出るまで発信者はどのキャラクターかわからない】【電話相手との会話をプレイヤーが考えながら話を進める】【電話での会話から主人公のメアリのこともわかってくる】といった偶然性で、『シュレディンガーの猫』の理論をゲーム内で表現したいことを伝えました。

林 真理
シュレディンガーの猫とは、【箱の中に入っている猫は、それを実際に目視するまで、生死を確認できない】という物理学者、エルヴィン・シュレーディンガーが提唱した量子力学の理論です。面談ではこの理論の「偶然性を上手くゲームに取り込んでいるな」とストレートに感じましたし、今までにない発想のゲームだと思いました。

――シュレディンガーズ・コールというタイトルは、はじめから決まっていたんですか?

Seishi
決まっていました。コンセプト的にも【通話内容から人物が確定する】【通話相手のキャラクターは動物】という部分も決まってました。

その中から【人と人が繋がる大切さ、それが自分を救うことにもなる】ということをプレイヤーに体験してほしいと思いました。

コロナ前は人と会うにしても、予測外で偶然の出会いがいっぱいありました。ただ、現在は「じゃ、明日のお昼すぎにリモートで」とはじめっからスケジュールが決まり、そこへ偶然的に居合わせる人は存在しません。

普通、人に会う時って【名前】が初めからわかりますよね。しかし、本作はそれが判明するのは最後。そこにはゲームを通じて、コロナ前にあった予想外の出会いやイベントを取り戻したいという思いがあります。そこを企画書の段階で強調しました。

Achabox
コロナで本当に人に会えなくなって、気軽に相談できる環境がなくなりました。私自信、それに対していろいろと悩みがあって、「とにかく誰かに話しを聞いてほしい」という願望が強くなりました。

そんな時に、ゲームのメインビジュアルの「電話を待っているメアリと動物たち」の絵が浮かんだ。その気持ちでゲームを作りたいなと思ったのが2020年の冬でしたね。

同時期にDiscordの通話で悩みを打ち明けたり、嬉しかったことを共有したりして、とても励まされていました。そこからシュレディンガーズ・コールに入れたい要素を半年ぐらいかけて考えたんです。

――プロデューサーの林さんとしては、今後シュレディンガーズ・コールをどう煮詰めていくつもりですか?

林 真理
シュレディンガーズ・コールそのものはシンプルなゲームだと考えています。ゲームをプレイして「考えたり、探したり」する。

ただ、プレイヤーが受ける感情。これは「感動するのか、それともショックを受けるのか」、そういった部分を慎重に煮詰めていくための試行錯誤が多く必要だと考えています。

――ちなみに、林さんが初めてシュレディンガーズ・コールの【電話】というコンセプトを見たときの感想とは?

林 真理
まずビジュアル的に雰囲気があるなと感じました。電話もスマホだけでなく、昔のダイヤル式の電話もある。20世紀初頭から一般にも普及した電話は、現在でもコミュニケーションの主力です。それを、これまでと違う面白い形で表現することが、シュレディンガーズ・コールの大きな要素だと思います。

――では、今後は具体的にどのような支援を考えているのでしょう?

林 真理
資金面や環境面でのサポートもあります。ただ、私が一番やっていきたいことは、彼ら開発チームが必ず壁にぶつかって悩む時期が何度もあると思います。その時、最初のコンセプトからズレることなく進行させる。そういったサポートが重要だと考えています。

――開発メンバーにお聞きします。シュレディンガーズ・コールの企画がうまく回りだしたと感じた瞬間は?

Seishi
集英社さんに企画書を出す締め切りの一週間前(笑)。

Achabox
確かに! 残り一週間からの企画書のクオリティーアップがすごかった。もともとある程度は出来上がっていたけど、それが残り一週間でまとまった感じでしたよね。

Seishi
実はタイトルも最初は「シュレディンガーの電話」だったんですけど、これは面白いけどちょっと間抜けかなと。で、元ネタの「シュレディンガーの猫」は英語圏ではなんて呼ばれているのか調べたら、「シュレディンガーズキャット」だった。

Kohei
そこからシュレディンガーズ・コールになって、みんな「これだ!」ってなりましたよね。

Achabox
タイトルに使う予定はなかったけど、Slackのプロジェクト名は「call me」でした。

林 真理
そこはシュレディンガーズ・コールで正解だったと思います。タイトルを聞いただけでインパクトがあったし、メインビジュアルと併せて見たときハマりが良かった。

それとパワーポイントの資料や、メンバー紹介も兼ねたオリジナルの動画も用意されてて、彼らのやりたいことが頭に入ってきやすかったんですよ。この開発チームは人に物を伝える能力が本当に長けていると感じましたね。

そして3人共まじめだけど、それぞれ面白みがある。Achaboxさんが突っ走る部分を、Koheiさんが止めると思いきや同調する(笑)。それを、しっかり者のお兄さん的なSeishiさんが止めると思いきや、今度は静観しているという。本当に面白いメンバーですよ。

――そんな3名様が出会ったきっかけとは?

Achabox
Koheiさんと私はroom6というゲーム会社で、ほぼほぼ同期で一緒に開発をやっていました。Seishiさんとはボードゲーム仲間で知り合いましたね。

Seishi
家がめちゃくちゃ近所で、よく近くの美味しい餃子屋で一緒に食べてたんです。そこで、「私たち、ゲームを開発しているんです」と誘われて参加しました。映画の話で盛り上がりましたよね。

――それこそシュレディンガーズ・コールの開発のヒントになるような映画は?

Seishi
失踪した娘の行方を探す父親の行動を、各種SNS上の映像で表現した『search/サーチ』。あと警察への緊急ダイヤルを受信する担当者の通話を中心に物語が進行するサスペンス『THE GUILTY ギルティ』。セリフだけの進行で事件発生から犯人の判明まで進行するスタイルはシュレディンガーズ・コールにも生かせると感じました。

Achabox
企画を考えている時に観た「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」っていう映画に強い感銘を受けました。この映画はアメリカの9.11を下敷きにしているんですが、少年と留守番電話に残されたメッセージをめぐるシーンが頭から離れられなくて。

Kohei
ゲームを作っている人間だからといって、ゲームだけやってるのはダメ。映画、マンガ、アニメ、哲学書とかいろんなコンテンツを楽しんでいるのが僕ら3人。そもそもSeishiさんはゲーム業界じゃないけど、それが僕らチームにとって良い意味で制作活動の厚みになっている。

林 真理
私、このチームは安心して見ていられます。人として面白みがあって、クリエイターとしてのエゴもしっかり出す。そしてなにより、お互いを尊敬しあっている。こういった関係性があると、アドバイスを出す側も楽なんですよね。こちら側の指摘をきっちりメンバー同士でまとめ、上手く消化していってくれる。なにも心配のないメンバーです。

――そんな3名様は、集英社ゲームクリエイターズCAMPの活動をどう思っているのでしょうか?

Seishi
僕は、これまでに音楽や舞台、映画などをインディペンデントでやってきました。なので自分たちでコンテンツを作り、自分たちでリリースできることを知っています。しかし、より多くの人にそれを見てもらおうとした場合、それぞれ【見る側の感情】が変わりますから、これまで以上の治験やフィードバックが必要になります。

そういった部分のサポートをしてもらえるのは、とてもありがたく思います。

Achabox
シュレディンガーズ・コールは制作チームである私達もまだ見えない部分がいっぱいあります。このゲームをより面白くするには、経験豊富な方々の意見が必要になります。そういった部分をここ最近で、集英社ゲームクリエイターズCAMPのスタッフさんに気づかせてもらっています。

ひとつのアドバイスが自分たちの背中を押し、次々と新しい発想が生まれる。こういった部分は、クリエイターとして本当にありがたいですね。

Kohei
僕、言おうとしたこと全部言われちゃいました(笑)。

林 真理
こういう所が、このメンバーの面白みなんです(笑)。ちゃんとオチをつけられる。でも、自分の意見もお願いします。

Kohei
僕、じっくりとゲームを作り出したのは、ここ5年ぐらいです。そこで感じたのはプロトタイプを作りマイルストーンを設定するけど、手探りの部分が多かったこと。そういった部分で明確な手助けをしてくれるのが集英社ゲームクリエイターズCAMPのスタッフさん。この環境でゲーム制作を行えるのは、幸せなことだと感じています。

林 真理
そうやって頼りにされるのは、僕らのとって本望だしありがたいですよね。経験だけはみんなよりありますので(笑)。

――開発チームから集英社ゲームクリエイターズCAMPのスタッフの要望は?

Achabox
すでにたくさんお世話になっていて感謝しきりなのですが、強いて言うなら、大賞のトロフィーがもし貰えるなら(笑)

林 真理
それは良い指摘です。というか、そもそも大賞が決まった後にトロフィーを考えるというのが変な話なんですけど……。これは前向きの検討しますっ! なので、最後にみなさんのシュレディンガーズ・コールに対する意気込みを聞かせてください。

Seishi
集英社ゲームクリエイターズCAMPが、シュレディンガーズ・コールを大賞に選んでくれたということは、「これを世に出す必要性を感じてもらった」と解釈しています。これは僕らの作家性を評価してもらったことよりも重要なことで、僕らと集英社ゲームクリエイターズCAMPが、シュレディンガーズ・コールに対して同じ思いでいるということなんです。

この“世に出す必要性”を忘れないよう、作っていきたいと思います。

Kohei
今、インディーゲームがめちゃめちゃ盛り上がってます。だけど、ゲームを作りたいけど資金がない、環境がないという問題があるなか、僕らはサポートしてもらえてます。なので、ここで僕らが成功することが大事なんです。そうすれば、日本のインディーゲームを取り巻く環境がより盛り上がるはずですから。

Achabox
私自身、コロナの影響で悩み「自分を電話で話して救って欲しい」と強く感じました。私達3人は、考え抜くことは得意です。なので人生かけて頑張りますっ! 林さんも一緒に頑張りましょう!!

林 真理
はい! 頑張って成功させましょう!!

『シュレディンガーズ・コール』では現在エンジニアさんを募集しています。
以下募集ページをご覧いただき、是非ご応募ください!!

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